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俗人の私たちがブッダのように悟れるはずはない。しかし、紀元前500年ごろに80歳という高齢まで生きたブッダの人生、特に悟りを開く以前の「俗人ブッダの生き方」、あるいは「最晩年の生き方、死に方」に長い老後を生きるヒントがある。坐る、歩く、そして断食往生まで、老いと死と向き合う実践的な知恵を探る。
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Posted by ブクログ
まず、ページを開いて字の大きさにびっくり。ページの薄さと相まって、何だか商業主義的な微妙な本かなと思い、疑ってしまった。こうした類の本は、一定の購買数が期待できるので、とりあえず出しておけという感じのものもある。文字通り、信者ビジネスだ。と思ったのだが、著者名を検索すると、宗教学者だが、1931年生...続きを読むまれで90歳を超えているではないか。よく分からないが、字の大きさも含めて感服してしまった。それなら仕方ないか、と。 老いと死に対する仏教的な視点を探る一冊。紀元前500年頃に80歳という高齢まで生きたブッダ(釈迦)の人生を通じて、老い方や死に方についての洞察を提供する。どうやら超高齢者と縁がある。 色々学びはあるが、印象的だったのは、ブッダの弟子の一人のアーナンダの話。血の繋がった「いとこ」だが、ブッダの最期を看取り、その言行を記録にとどめて後世に伝えた重要な弟子。本当は、ブッダは自分の死後、遺骨の供養などに心をわずらわせるな、と言っていたが、アーナンダをはじめとする弟子たちは守らなかった。ブッダの遺体は、入滅後七日経ってから火葬にふされ、さらに七日経ってからプッダと親しいマガダ国王を含む八部族の要請もあって、遺骨は八つに分配される。この話を著者は、「アーナンダの裏切り」と呼んでいたらしい。しかしその裏切りは、ブッダを否定するためのものではなく、弱い人間たちの悲嘆と苦しみの中でブッダの遺言を裏切ったもの。このブッダを裏切った歴史によって仏教は、むしろ宗教として発展するための基礎を作ったのだ。つまり、ブッダが死んで仏教が蘇ったのだと。また、ブッダが、一人息子にラーフラ(悪魔)という名前をつけていたという話も知らなかった。 人間は年老いてやがて死ぬ。仏教の基本原則「無常」である。著者は言う。「あきらめる」という言葉には二重の意味があり、「望みを捨てる」という意味だけではなく、もう一つ「本質を明らかにする、見極める」という意味だと。92歳の著書であり、なんとも含蓄のある言葉だ。
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ブッダに学ぶ 老いと死
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山折哲雄
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