ダーウィンの呪い

ダーウィンの呪い

1,265円 (税込)

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ダーウィンを祖とする進化学は、ゲノム科学の進歩と相まって、生物とその進化の理解に多大な貢献した。一方で、ダーウィンが提唱した「進化論」は自然科学に革命を起こすにとどまらず、政治・経済・文化・社会・思想に多大な影響をもたらした。そして、悲劇的なことに、進化論を曲解した彼の後継者たちが「優生思想」という怪物を生み出した。〈一流の進化学者〉たちによって権威づけられた優生学は、欧米の科学者や文化人、政治家を魅了し、ついにはナチスの反ユダヤ思想とつながり「ホロコースト」という悲劇を生み出すことになる。

第一線の進化学者の進化学の歴史に詳しい著者は、ダーウィンが独創した進化論は、期せずして3つの「呪い」を生み出したと分析する。「進歩せよ」を意味する〈進化せよ〉、「生き残りたければ、努力して闘いに勝て」を意味する〈生存闘争と適者生存〉、そして「この規範は人間社会も支配する自然の法則だから、不満を言ったり逆らったりしても無駄だ」を意味する、〈ダーウィンもそう言っている〉である。順に、「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」である。

本来、方向性がなく、中立的な進化が、なぜひたすら「進歩」が続くと信じられるようになったのか。ダーウィンとその理解者、そしてその志を継いだ後継者たちが、いかにして3つの呪いにかけられていったのか。稀代の書き手として注目される著者が、進化論が生み出した「迷宮」の謎に挑む。

第一章 進化と進歩
第二章 美しい推論と醜い
第三章 灰色人
第四章 強い者ではなく助け合う者
第五章 実験の進化学
第六章 われても末に
第七章 人類の輝かしい進歩
第八章 人間改良
第九章 やさしい科学
第十章 悪魔の目覚め
第十一章 自由と正義のパラドクス
第十二章 無限の姿

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ダーウィンの呪い のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ダーウィンが示したことと社会に流布している進化論的イメージや社会進化論など進化論の他分野への拡大解釈や進化論的比喩との差が大きいかということは吉川浩満『理不尽な進化』でも読んでいたが、ダーウィンの進化論の名の下に「ダーウィンが言っていた」という呪いの言葉でいかに誤った認識が広まり、社会に代償さまざま

    0
    2025年07月31日

    Posted by ブクログ

    そもそもダーウィンは進化という言葉をあまり言っていなくて、論文の最後の方に使っただけらしい。進化に対する誤解を解くという始まり方をした本だが、中身はかなり難解な優生学の議論。避けては通れない進化論の難しさ。「進化」という言葉の使い方に対して慎重にするように人々に語りかけるには、まあこれぐらいのボリュ

    0
    2024年05月06日

    Posted by ブクログ

    人類が神という存在を発明したのと同じように進化論は発明だと感じると思います。
    進化の意味には退化も内包することを噛み砕くために、HGウェルズの『タイムマシン』を引用するくだりは最高です。
    進化の意味合いがいつの間にか拡大解釈され、進化と進歩が同一視されていってしまう過程。進化論がやがて優生学と結びつ

    0
    2024年03月05日

    Posted by ブクログ

    ダーウィニズム、進化と進歩、これらのキーワードを耳にすると、なぜかモヤっとします。その理由が本書には詳細に書かれています。
    書名通り、ダーウィンや進化論にまつわる呪いについて詳しく書かれており、この呪いは現在も進行中のようです。
    「呪詛だの祟りだのは、古き世を支配していた神の摂理の残滓である場合が多

    0
    2025年12月04日

    Posted by ブクログ

    新たな発見が多くあった。
    心理を知ることが必ずしも幸福に繋がることではない、というのは心に響く。人間とは?自分とは?という壮大な問いを心に持って、地に足つけ生きよう。

    0
    2025年03月05日

    Posted by ブクログ

    ダーウィンの進化論が如何に誤用され、優生学のような危険な思想の論拠として引用され続けてきたかを説明した本。

    ポケモン好きな子供たちから「進化」という言葉を聞かない日はなく、サブリミナル効果的に進化論に興味を持ち本書を手に取った。
    ポケモンにおける「進化」は完全に誤用だが、もっと深刻な誤用が各所でさ

    0
    2025年01月27日

    Posted by ブクログ

    知っていたつもりの進化論から様々な呪いが、、
    帝国主義、人種差別、優生学、、、
    新しい気付きを数多く得られた

    0
    2025年01月12日

    Posted by ブクログ

    【概要】
    ダーウィンが出版した『種の起源』をめぐる進化論の解釈の流れを追う科学史かつ社会史。
    自身の差別を正当化するために何度『ダーウィンが言った』と言われてきたか……。
    優生学にも勿論触れながら、ダーウィンの呪いが未だ社会に続けていることを指摘する。

    【感想】
    優生学の結果劣った存在だと社会から

    0
    2024年10月01日

    Posted by ブクログ

    ダーウィンの進化説が発表されてから今に至るまで、生物学のみならず政治、人々の考えにどのような影響を与えてきたのかが分かる一冊。学者の名前が多く出てきて、誰が何をしたのか把握するのに大変だったが、進化の考え方の変遷は掴むことができた。人から人へ伝わるごとにダーウィンが考えていた理論や意見とは違ったもの

    0
    2024年08月07日

    Posted by ブクログ

    ダーウィンの進化論のインパクトがいかに大きかったかがわかる内容。適者生存の理解の相違による激論、統計学と生物学の進歩、優生学、政治利用の悲劇、遺伝子操作などまさに呪いとも言える影響の凄まじさを感じました。
    これからも呪いからは抜けだけないでしょうね。

    0
    2024年06月15日

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