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『赤毛のアン』『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』などの少女小説に描かれる,強く生きる女性主人公の物語はいつ,どのように生まれ,広まっていったのか.英国の古典的名作『ジェイン・エア』が与えた衝撃と,そこから始まる脱シンデレラ物語の作品群を読み解き,現代における物語の意味を問う.
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Posted by ブクログ
とても面白かった。我々はみんな王子様に認めてもらえるシンデレラになれるわけではないが、ジェイン・エアになることはできる。 自分の運命を諦めない。 要約がとても上手くて挙げてある本全部読んでみたくなる。 『若草物語』のジョーがとても好きだったことを思い出しました。
ジェイン・エアを読んだ少女たちに与えた衝撃が、世界で赤毛のアン、若草物語、あしながおじさんなどの名作少女小説が生まれる素地となった。 取り上げられた小説が大好きなものばかりだったので、とても興味深く読んだ。
シンデレラのことではなく、シンデレラでは語られなかったそれ以後の小説として、ジェインエア、あしながおじさん、赤毛のアン、木曜日の子どもたちについて、あらすじを含めて説明したものである。 小説を読まずにその内容がわかるので楽であるし、ジェンダーの視点が獲得できるのでお勧めな書籍である。
『若草物語』『赤毛のアン』『秘密の花園』『あしながおじさん』、このあたりが小さい頃から大好きで、『小公女』もアニメで慣れ親しんでいたため、全体的に非常に面白かった。 現状に抗い、自分で自分自身の未来を切り開く新しいヒロイン像は、確かに今の自分に多大な影響を与えていると思う。読んだことはないが『ジェ...続きを読むイン・エア』など仲間として紹介された本も読んでみたい。
いつか王子様が・・・のシンデレラの寓話から、 自ら行動を起こす少女が主人公の少女小説へ。 そのきっかけは「ジェイン・エア」だった。 序 『ジェイン・エア』から少女小説へ 第1章 脱シンデレラ物語の原型 第2章 アメリカへ渡った「ジェイン・エア」の娘たち 第3章 カナダで誕生した不滅の少女小説 第4章...続きを読む イギリスでの変転とその後の「ジェイン・エア」 終章 変わりゆく物語 ・あとがき 参考文献有り。 世界中に異本がある「シンデレラ」の起源と伝播による変容。 イギリスの感傷小説に、ゴシック小説にも「シンデレラ」は 影響を与えた。 そこに登場した「ジェイン・エア」は「シンデレラ」とは 真逆の主人公の物語。孤児の彼女は自ら行動し、 経験とキャリアを積み、波乱の人生を歩む。 対等なパートナーを得、そして更にその先へ。 「ジェイン・エア」はアメリカの女性たちに受け入れられる。 開拓精神と相通じる自己解放は、オルコット、ポーター、 ウェブスターたちに行動力のある少女たちの物語を描かせる。 カナダでは、モンゴメリが赤毛のアンのシリーズを執筆。 「ジェイン・エア」のちのイギリスではジョージ・エリオット。 アメリカとイギリスを行き来したバーネット。 そしてゴッデンの、シンデレラ型とジェイン・エア型が 入り混じった家族の葛藤の物語が登場する。 現代のディズニー映画でもプリンセスたちは変容している。 小学生時代に愛読し、現在も思い返したように読んでる作品が、 多く登場していたのも楽しかったし、 我が道を恐れずに歩む主人公たちの行動する姿には、 「ジェイン・エア」が影響を与えていることも、 新たな発見となりました。 それぞれの作品の内容が分かり易く要約され、未読の 「リンバロストの乙女」と「木曜日の子どもたち」は 読みたくなってしまいました。
ディズニープリンセスも、現在のヒロインは自らの能力で未来を切り開くタイプが多い。「いつか王子様が」と受け身ではない。見た目も口が大きくなり、どんどん前に出る女性像になっている。 このヒロインの原形を「ジェイン・エア」にとる。面白いのはジェインの末裔は本国イギリスではなく、新大陸に渡ったこと。代表例は...続きを読む「赤毛のアン」ということになる。なるほどね。
個人的には著者の『批評理論入門』にだいぶお世話になった。 そういう経緯があるので、本書を読んでみた。 近代英語文学の中の女性像の変遷を主題とする本。 びっくりするほど読みやすい。 取り上げる物語の原型は二つ。 一つはシンデレラ。 言うまでもなく、美しく従順で淑やかな女性が、苦難の末、社会的に高位の...続きを読む男性に見初められ、結婚により階級上昇する物語。 18世紀の大人向けの小説の中にさえ、この影響がみられる作品があるとのことだった。 このシンデレラ型の物語を超えようとするものが現れる。 それがシャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』を祖型とするものだという。 器量に恵まれてもおらず、親が死んだり、無関心だったりして「見捨てられた」子どもが、強烈な自立心により学問にはげみ、精神的にも成長し、やがて成功を収めるというパターンである。 イギリスではこのパターンに当初あまり反応がなく、むしろ新大陸アメリカ、カナダで、ジェイン型の物語が書き続けられていったのだそうだ。 『若草物語』のジョー、『リンバロストの乙女』、『あしながおじさん』『赤毛のアン』。 本書では、これらの小説のストーリーが丁寧に復習され、脱シンデレラ物語であることが確認されていくので、取り上げられている本を読んだことがなくても、それほど不自由しない。 『若草物語』など、私は子どもの頃よく読んでいたので、そうだった、とか、そんなだったっけ、と、ちょっと懐かしい気持ちになりながら読んだ。 今でも学力はその人の社会的・経済的自立に影響があると思うが、廣野さんの引用から、この当時の女性が学問に期待する熱量の違いが感じられる。 と同時に、彼女たちの、体を壊しかねない頑張りぶりに痛々しい思いを感じることさえもある。 4章以降は、ジェイン・エアにダイレクトにつながる作品が見られないイギリスの、19世紀末から20世紀前半での展開を紹介していた。 ルーマー・ゴッデン『木曜日の子どもたち』が中心に取り上げられる。 ジェイン型の女性が毒母になってしまうという、原形の変形、反転が分析されていて、このあたりが本書の中で最も興味深いところだった。 自分の夢を娘のクリスタルに押し付け、バレリーナの道を歩ませるペニー夫人。 末の男の子のデューンは、音楽とバレエの才能に恵まれていながら、母から見向きもされない。 姉のクリスタルは驕慢に育ち、デューンをいじめたりもする。 弟は父(影が薄い!)と周囲の人物に助けられ、才能を開花させ、世に出ていく。 この辺りはむしろシンデレラ・ボーイの物語。 一方、姉のクリスタルは、バレエが校での厳しい競争や手痛い失恋などを経て、次第に精神的に成長していく。 まったく読んだこともない作品だが、こんな風に二つの型が変形して組合されていくさまがよくわかり、とても興味深かった。 最後にディズニーの実写版のプリンセスの変容なども分析されていて、それも面白い。
著者も」序章で「ジェイン・エア」や他のいわゆる少女小説といわれている名作群がなければ今の自分はなかったと述べているが、(私は普通の読者にすぎないが)全く同感である。自分もまた親とこれらの文学作品に育てられたと思っている。まだ児童書の中でヤングアダルトという分野がさほどはっきりと意識されていなかったこ...続きを読むろだがまさに「ジェイン」は私にとって思春期に多大な影響を受けた作品のひとつで、繰り返し読んだ記憶がある。(河出の世界文学全集で)今回著者がとりあげている作品はどれも大好きで、ゴッデンの「木曜日の子どもたち(バレエダンサー)」の解釈には考えさせられる部分が多かった。再読しようと思う。「ジェイン」も新訳で読もう。
シンドロームという言葉には、あまり良いイメージを受けないが、ジェイン・エアが衝撃作であることが印象深く残る。
〈脱 シンデレラストーリー〉の様々な物語の概要をざっと拾うことができて、色々興味持てたのが楽しかった! そもそも物語を読む時に、これはシンデレラストーリーか?とかそういう視点で考えることなかったから、新しい視点が1つ手に入ったなと思います!
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シンデレラはどこへ行ったのか 少女小説と『ジェイン・エア』
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廣野由美子
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