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日本橋本石町の薬種問屋・山口屋の手代が殺された。清七という色男で、女癖が悪かったらしい。金は盗られず、正面から一太刀で斬られているので武士の仕業か。読売は「辻斬り」と騒いでいる。隠密同心の要が捜査に乗り出し、清七が悪質な金貸しをやっていたことがわかる。そして、妻の月が殺し屋であることを知らない要は、捜査への協力を依頼する。顔が広まってしまうことを心配しながらも、麦湯売りに扮して情報収集をする月。だが、月には別の「殺しの指令」が……。
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Posted by ブクログ
幼い頃から暗殺者として育てられた柳生の娘が新妻に ⁉ 表では同心の妻として、裏では凄腕の暗殺者として、新しい人生をスタートさせた月。町方の父や夫には裁けぬ悪を人知れず始末する人妻アサシンを描く、エンタメ痛快時代小説。シリーズ2作目。 ◇ 柳生一族が持つ表裏2つの顔。表...続きを読む柳生は将軍家御流儀である活人剣・新陰流。そして裏柳生は闇の仕事を請け負う暗殺剣。 裏柳生の優れた遣い手である月だが、新婚生活は勝手が違う。特に料理の腕は付け焼き刃程度の花嫁修業ではいかんともしがたい。 何せ火加減が難しく、焼き魚は黒焦げか生焼けに、味噌汁は煮立たせてしまって風味を壊してしまう。だから食卓はいつも散々だ。 今のところ夫には愛されていると思うだけに、いつ愛想を尽かされるかと考えると気が気でない。それくらい夫の要は月にとって愛しい存在になっている。 だからこそ自分が殺し屋であることを夫に気づかれないよう、月は細心の注意を払って毎日を送っていた。そんなある日のこと……。 深更に暗殺仕事を終え本所に向かって歩いていた月は、微かに漂う血の匂いに気がついた。辿ってみると、夜道に男が1人倒れている。正面からいきなり一太刀浴びたらしく、男の目は驚いたように見開かれたままだ。殺ったのは相当に腕の立つ武士であることがわかる。 それだけ見て取ると、月はそっと場を離れた。下手人が武士ならば奉行所は表立って動けない。ならばこの始末は裏仕事として自分に回って来るかもしれない。そんなことを考えつつ、月はくろもじ屋への道を急いだのだった。 ( 第1話「辻斬り」) ※全2話。 * * * * * 前作よりも、おもしろさがかなりパワーアップしています。その理由はいくつかあります。 1つ目の理由は、月の心情描写が細やかになされていることでした。 特に頻繁に描かれる要に対する気持ち。なんと健気でいじらしいことか。そして、その気持ちを態度やことばに出せるようになっているところに、前作よりも進歩が見られて微笑ましかった。 2つ目の理由は、月が麦湯売りの仕事を始めたことでした。 その仕事はもちろん商売目的でなく、要の仕事を手伝って情報収集をするためなのですが、初めて ( 表の世界で ) 勤めを持った月の初々しさが好もしくて笑えます。 ( 人呼んで「人妻小町」傑作です ) ただ、1日中立ちっぱなしの仕事に音を上げた月が、殺し屋ほど楽な仕事はないとしみじみ思うところには、別の笑いがこみ上げました。 3つ目の理由は、要も月に対して照れつつも愛情を表現できるようになってきていることです。 人出で賑わう街を、要が月の手を取って歩くシーンなどは、読んでいるこちらが照れくさくなるほどでした。 そして4つ目の理由は、月の本業たる暗殺仕事です。 あいも変わらず瞬殺で、今回も簪で急所をひと突きして男たちを屠っていきます。顔色を変えず呼吸も乱さぬ達人業は見事のひとこと。相手の命乞いもまったく意に介さない非情さは、気持ちいいほどです。 要とのラブラブぶりと対を成すこの冷徹な月も魅力的でステキでした。 その他では、月の作る料理で美味しそうな献立が美味しそうに描かれていたこともあります。 その献立とは、鯵と筍の味噌煮、バカ貝と筍のすまし汁。焼き物は苦手、味噌汁の火加減も苦手な月にしてはベストメニューでしょう。味噌煮には梅干しを入れて酸味づけするなど、工夫も見られます。グッジョブ月!のワンシーンでした。 ともあれ夫に愛され、父に愛されして成長する月の姿がシリーズ最大の魅力です。 ご近所のおかみさんたちのほか、第2話では夫の友人にまで親しまれだした月。次作の月が楽しみです。
タイトルが気に入って読みました。 主人公の月の料理の腕前や嫉妬心の描写が度々出てくるのはちょっと飽きるけど、展開はスピード感があって面白かった。とにかく文字が読みたいとき、気軽に読めていい作品だと思います。
『夫には殺し屋なのは内緒です』シリーズ第2弾! 「面白さ」という点において、第1弾よりも確実にパワーアップしているように感じました。 ここで言う「面白さ」とは、 ・小説としての「面白さ」 ・笑いを誘う「面白さ」 の2点共に、という意味です。 とりわけ、主人公「月」の、夫「要」に対する愛情の深さ...続きを読むからくる悋気(嫉妬)が空回りする場面・文章が何度か出てきますが、その度に頬が緩みますね。 相手は誰だろう。どんな女なのか? 見たこともない相手に殺意が湧いた。 「どうしたのか?」 「なんでもありません」 ・・・ ・・・ 要から女の気配はしなかった。気のせいなのか、浮気なのか。 要が月の前に座る。 「月」 「なんでしょう」 「殺気を感じる」 読んでいて、自然と「月」を応援したくなるのが、本シリーズ最大の魅力となっています。 何はともあれ、本シリーズは理屈抜きに「面白い」ので、第3弾が刊行されたら直ぐに買って読みたいと思います。
一般常識や家事に疎い殺し屋月さん(新妻)の日常その2。江戸の家庭料理や屋台などグルメ要素が多くて読者(私)は事件どころではない。
美人な殺し屋が江戸で評判の麦湯売りになりました。その名は「人妻小町」 愛している夫にバレないように悪人を始末していきます。
殺し屋としては、凄腕なのに、それ以外は、ちょっと抜けていて、世俗に疎く、自分に自信が持てない。料理が下手で、酒が弱くて、夫にメロメロで、そういう月さんが、可愛らしい。
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夫には 殺し屋なのは内緒です
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神楽坂淳
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