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レストランは物語の宝庫だ。そこには様々な人々が集い、日夜濃厚なドラマを繰り広げている――。人気の南インド料理店「エリックサウス」総料理長が、楽しくも不思議なお客さんの生態や店の舞台裏を本音で綴り、サービスの本質を真摯に問う。また、レビューサイトの意外な活用術や「おひとり様」指南など、飲食店をより楽しむ方法も提案。食にまつわる心躍るエピソードが満載、人生の深遠を感じる「客商売」をめぐるドラマ!
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Posted by ブクログ
イナダさんのmondやツイッターが好きで、ご著書も拝読。 決して感情的ではないのに熱がこもった文章、やっぱり好きだなあと思いながら読み進めました。料理人や経営者の立場からすると、ついお客さんに「こう振る舞ってください」「こういう注文の仕方が理想です」と上から目線でお説教したくなる(しかも本書は新書だ...続きを読むし)かもしれないところ、そんな押し付けがましい雰囲気は感じません。ご自身もお客さんとして食を楽しんでいるゆえでしょうか。わかりやすい教訓がない分、「So what?」と感じる読者もいるのかな? と他のレビューを見て思いましたが、私自身は日常に活かすというより飲食店をめぐる悲喜こもごもをじんわり味わうことができて楽しい一冊でした。
「尊敬する人は?」と訊かれたら、タイミングによっては「稲田俊輔」と答えるかもしれないくらいの料理人であり情報発信者である稲田俊輔氏の飲食店運営の日々を綴ったというか思い返したエッセイに似た何か。こういう苦労や努力を積み上げていまのアウトプットがあるのだなと。
稲田さんの飲食業界への愛が伝わる本。 とても読みやすい文章で気楽に読めました。 自分が飲食店でご飯を食べることがまた一段と楽しみになりました。
飲食業界のあれこれをお客さん目線で説明 著者は酒類メーカーを経て飲食業界に従事する 飲食店の様々な人間模様 食事をする人も様々 常連客もいれば、ネットワークビジネス目的の人、店員さんにマウントを取りたい人、1000円の定食を高いと感じる人 飲食店は特に、お客さんとのコミュニケーションの大切さ が特...続きを読むに目立った気がします。美味しいものを食べるだけなら、テイクアウトでも良いかもしれませんが、外で食事をすることは従業員さんとのコミュニケーションなどを通じて社交性を磨く場でもあるのかとも思う
何だろう。この本のエピソードのいくつか既読感があった。最初のほうとかだけなら一度読んで途中でやめたのかなとか思うけど、全体にわたってところどころ読んだことがあるって感じだった。 著者が勧める岐阜のピッツェリアに2回も行ったんだけど、この本読むと感覚的に相容れないところもちらほらあった。一番最初のエピ...続きを読むソード「客、お客さん、お客様」からして、ムダにというか魂入れずに慇懃無礼なのに意味がないと思うんだけど、著者もそのような考えでいるようでいながら慇懃無礼な接客をよしとしているんだよね。商売だからって割り切ってるのかもしれないしとか遠回しに皮肉ってるのかなとも思ったけど、心底そういう接客でいいと思ってるみたいだった。
南インド料理専門店として近年、メディアでの露出も増えた印象のある「エリックサウス」の総料理長である著者が、WEBマガジンに連載したエッセイを書籍化した一冊。 雑誌連載ということもあり、そこまで全体を通貫するテーマがあるわけではないが、食を愛する料理人・経営者が昨今の飲食を巡る状況をどう見ているのか...続きを読むを知れるのは、食を愛する自分にとっては面白かった。 個人的に慧眼だったのは、名前こそ伏せられているが明らかにアメリカンダイナーのシズラーを舞台にしたエピソードだった。自分もシズラーは大ファンで、あのリッチなサラダバーやチーズトースト、そして肉やシーフードのメイン料理のセットを食べるのは至福のひとときであるのだが、本書ではある若い女性客が、サラダバーだけで満腹になるレベルの量を楽しんだあげくに、メインのスペアリブを店員にごねてテイクアウトにさせる、というエピソードが紹介される。一見、これは店にゴリ押しをする客の悪癖を指摘するのかと思いきや、著者の着眼点はそうではなく、「シズラーの経営的にそのようなテイクアウトは許容されない」というものである。 シズラーのサラダバーは一度味わえば誰もが納得するように、それだけで相応の価格を払う価値があるものであり、メイン料理とのセットは確かに安くはないが、それなりのお得感を与えてくれる。そうしたプライシングが成り立っているのは、メインの料理を食べる胃袋の余裕を持たせるために客はサラダを食べる量を一定程度セーブするであろう、という見立てである。その見立てが、一定のお得感の源泉となっているにも関わらず、サラダバーを満腹に食べて、さらにメイン料理をテイクアウトして事後に食べるという行為をされるとこのモデルが破綻する、というのが著者の指摘である。 こうしたビジネス的な観点でシズラーのような食べ放題セット+メイン料理を含む飲食店を捉えたことがなかったので、経営的にはこう考えるのか、という見方がとても新鮮だった。
浅草のジルベール!これだけでもう十分。 イタリア料理店のパスタだけ客の話、お店の世界観に合わせる話を読むと呑めない女性おひとりさまはやっぱりお店の世界観の文脈にはないんだろうなあとも思う。
飲食店の裏話的なエッセイ集という感じでしょうか。気軽に読めて面白いです。 雑誌「dancyu」で時々お見かけするカレー屋さんだなと思って手に取り。しかし本書を読んだら「カレー屋さん」ではなく「南インド料理屋さん」が正しかった。 時々見かけるお客さんに「いつもありがとうございます」とお店として感謝の...続きを読む気持ちで声をかけるということはあると思います。(p14)でも気軽に行けるのが良かったのに行きにくくなってしまったという投稿を見たことで、著者は申し訳なく思ったとのこと。 私もそのお客さんと同じ思いしたことあるなぁと思いました。足遠のいちゃいましたね。 でもそう声かけられて嬉しいお客さんもいるかも知れないし、お店としての気持ちも分からなくはないし難しいですね。どれが正解、はない気がしました。 一人で飲食する人についての話も興味深かった。自分は地元でなければ基本一人でご飯食べるのは行けます。居酒屋も一人でも大丈夫そうな店舗は選ぶけれど一人で行けるし、バーもハードル低そうなところに何か所が行ったことあります。 女一人で大丈夫かなと思いつつも言ってみたい欲が勝って「旅の恥はかき捨て」と思ってます。 若かりし頃からトライしてますが、今まで一人飲食で嫌な思いはしたことがない気がします。 でも自意識過剰になったり手持ち無沙汰をどう埋めたら良いのかと思うのはとてもわかる。 大抵は著者の言うように「人は他人のことを気にしていない(p63)」と思いますが⋯ 誰かが好きである可能性があるものを嫌いと言うのは、それだけで道徳的に悪なのでしょうか?(p104)とありましたがゼッタイにそんなことはないと思います。本書にでてきたような、きちんと真意を読み取らず安易に人の好き嫌いに過剰反応して攻撃してくる人は正直「アタマ悪いんでは(ひどい言いようですが⋯)」と思うので気にされなくていいのではないかと思いました。けれど、公の場に私見を晒すことの怖さというものを感じるエピソードではありました。 代替わりしたお店の味が落ちたと言うのはやめましょう(p152)という提言。 自分も思ったことも言ったこともあります。でも本書を読んで「自分もそう言うのやめよう」と思いました。ちなみに自分が味が落ちたと思った代替わりしたお店は、現在も美味しい味でたくさんのお客さんではやっています。そんな風に言ってしまうのはその店が好きな証拠でもあるかもしれない。 本当にがっかりしてたら言わないし行かなくなるよな、と。 最後の方の「立ち飲み屋のお客さん十態」はゲラゲラ笑ってしまいました。あるだろうなと思わせるエピソードばかり。「人生諦めた奴と人生に自信満々な奴はこの店には来ないんだよ」名(迷?)言かと。 そういえば立ち飲み屋は勇気が出なくてまだ一人トライできてないんだよなと気づきました。いつか一人で行ってみたい。あるいは一人角打ちデビュー? 著者は人間が好きなんだなぁと思いましたね。時には見過ごせなくておせっかいしたり、耳を隣の席に向けすぎて手元の仕事が滞ってしまったり、読んでいて情景が目に浮かぶような感じでした。 あまり読んだことのないジャンルの本で、楽しい読書でした。
八重洲口のエリックサウスなどでしられる稲田俊輔さんが長年の飲食店での仕事をしながら垣間見た飲食店側と利用客についてのエッセイ集。飲食店はビジネスでやっているので利益を上げねばならず、利用客はお金を払っているのだからあるいていど要求があり、両者の事情があえばベストマッチとしてウィンウィンとなるが、不幸...続きを読むにして合わないことがある。それは店側の技量不足や客の認識不足に起因するのであれば歩い程度仕方ないと言えるが、来る客くる客に不満を抱かせる訳にはいかない。そこで店側としてここはどういう店かをいろんな手でアピールするのだが、それでもわかってくれない客が一定数いるのは事実。 評者も色々と料理をするのでプロの料理人の苦労が垣間見えて面白かった。しかしキャバクラやマルチの勧誘の話などは面白エピソードであるものの楽しい話ではなかった。レストランといえども常には飲食が中心ではないということを気付かされてくれた。
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