奇病庭園

奇病庭園

2,200円 (税込)

11pt

それは、鉤爪や翼や魂が再びそなわった者たちの物語

奇病が流行った。ある者は角を失くし、ある者は翼を失くし、ある者は鉤爪を失くし、ある者は尾を失くし、ある者は鱗を失くし、ある者は毛皮を失くし、ある者は魂を失くした。
何千年の何千倍の時が経ち、突如として、失ったものを再び備える者たちが現れた。物語はそこから始まる――

妊婦に翼が生え、あちらこちらに赤子を産み落としていたその時代。森の木の上に産み落とされた赤子は、鉤爪を持つ者たちに助けられ、長じて〈天使総督〉となる。一方、池に落ちた赤子を助けたのは、「有角老女頭部」を抱えて文書館から逃げだした若い写字生だった。文字を読めぬ「文字無シ魚」として文書館に雇われ、腕の血管に金のペン先を突き刺しながら極秘文書を書き写していた写字生は、「有角老女頭部」に血のインクを飛ばしてしまったことから、老女の言葉を感じ取れるようになったのだ。写字生と老女は拾った赤子に金のペン先をくわえさせて養うが、それが「〈金のペン先〉連続殺人事件」の発端だった……

歌集『Lilith』、短篇集『無垢なる花たちのためのユートピア』、掌篇集『月面文字翻刻一例』の新鋭、初の幻想長編小説。

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奇病庭園 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    幻想的な世界でありながらああこうなりたいという部分もあり不思議な読書経験だった。特に「蹄に就いて」が大好き。

    0
    2024年10月21日

    Posted by ブクログ

    長編と聞いて読み始め、最初は連なる掌編集かと思ったが、今読んだ繋がりが次の物語ででき、進むかと思へば逆行し、行ったり来たりする中で時間が溶けて大きな流れになって只々流されていく気持ちよさがある。
    奇病とはなんであろうか。最初は目に見える異物、異形のことかと思えば、それを持たないものにほど蔓延する病が

    0
    2023年12月31日

    Posted by ブクログ

    グロテスクで美しい世界観と、歌人である著者特有の詩的な文体が合わさって、聖書読んでいるかのような読書体験でした。

    0
    2023年12月01日

    Posted by ブクログ

    時系列が前後するが読み終わると深く納得する。異形の者たちは元初に帰ったのか未来へと羽ばたいたのか!翼が生えたり鱗に覆われたり体内に真珠が出来たり角が生えたりもうあらゆるところが変化し人間はどこにいるのか状態。そんな世界の中で二人の子供が別々に育ち出会いまた別れるといった物語などがいくつか散りばめられ

    0
    2023年10月24日

    Posted by ブクログ

    素敵!ぐるぐる不思議に複雑に絡みあって、一読しただけではわからず何度も前に戻って読み返した。姿形の美しさ醜さとは。一見醜悪なような奇病だけど、常識のしがらみから飛び立つことができるパワーアップアイテムと思った。

    0
    2023年10月03日

    Posted by ブクログ

    異国の風まで感じるような肌触りの幻想小説。Ⅰではいろんなお伽噺が集まっている宝石箱のようで、Ⅱでだんだんと作られた形が見えてきて、Ⅲで点と線がつながってストンと落ちる、素敵なお話でした。異世界の今昔物語とか蜻蛉日記とかを読んだような不思議な感覚。

    0
    2025年04月29日

    Posted by ブクログ

    これはいい!
    読んでて久々に一駅乗り過ごした。

    グロテスクでおぞましい「奇病」に満ち溢れた作品世界は、なぜか静謐で色艶やか。
    「奇病」を得た者たちの穏やかな表情と、それを恐れる者たちの動揺、焦燥の対比が印象的だ。

    不思議な想像力と独特の色彩感覚。
    読書の楽しみを思い出させてくれる、今年の大きな収

    0
    2023年10月09日

    Posted by ブクログ

    特異な美と儚さを具えた幻想長編。長編ではありますが緩やかな繋がりを持った掌編と短編が並びます。物語は奇妙なおとぎ話のようで、詩的な美しさとリズムが感じられます。妖艶なモデルを描く画家の話「顔に就いて」が特に良かった。

    長編という事で一気に読んだのですが、どちらかといえばゆっくりと一編一編を別の物語

    0
    2023年09月23日

    Posted by ブクログ

    一回だと難しかった…けれど、やっぱり好きな世界観。
    人物相関図が欲しい。

    川野さんの本は、脳内で映像を浮かべるか、あくまで文字を楽しむか、迷う。

    0
    2025年04月14日

    Posted by ブクログ

    表紙の絵から連想するような、何とも奇妙な世界が本の中に広がっている。
    物語は絵画に例えると、まるでダリやヒエロニムス・ボスの絵のようだ。
    それぞれの語は奇病という共通点でゆるく繋がっている。
    あるものは鉤爪が生え、あるものは角が、あるものは翼が生える。
    そのものたちがたどった人生。
    隠れたもの、旅す

    0
    2024年07月23日

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