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天下取りの野望を胸に秘め、将軍を女色で籠絡するなど、小説やドラマで典型的な悪役に描かれる柳沢吉保。しかし、史料を丹念に読み込むと、見えてくるのは意外な実像だった。将軍という最高権力者の周囲に絶えず渦巻く、追従、羨望、嫉妬、憎悪……。将軍の最も側近くで仕えた吉保にとっては、悪名は宿命だったのか。将軍とその側近の実像に迫りながら、「武」から「文」への転換期の政治と権力の姿を鮮やかに描き出す。
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Posted by ブクログ
先日観た大河ドラマ「元禄太平記」総集編で柳沢吉保が気になり、その延長線で購入。(笑)
「悪役」イメージの「側用人」柳沢吉保の実像を、限られた史料の中からわかりやすく再現を試みる。
まず、「側用人」という制度としての役職は綱吉期にはまだなく、綱吉の側近として、綱吉の政治的意思を尊重し、また綱吉の日常空間を管轄する存在であったということである。時には綱吉へ何度も諫言したということだが、その権勢は綱吉との個人的関係のものであるため幕府政治への直接関与はできず、むしろ、「新興大名」として驕らないようにし、「慎み」をモットーとしたということである。
悪役イメージは、すでに綱吉亡き後から形作られ、現政権(家宣)が前政権(綱吉)を批判したのが、庶民向けの本や演劇も加わって後世にまで伝えられたということ。息子吉里のご落胤伝説もそうした創作世界での話ということだが、そうした史料は伝えられるものではなく、そこは少々歯切れが悪いように感じた。(笑)
綱吉小姓530石から、破格の15万余石の大名にまで上り詰めた吉保がいかに慎み深く、文武両道の藩構築を目指そうとも、所詮、綱吉最側近が故に、やっかみ半分、政治的宣伝半分として綱吉政権時の負の側面を全て背負い込む結果となったのであろうか。
公的な立場でないがため綱吉政権内部の関与のほどを知る詳しい史料は残されていないようで、柳沢家家老の薮田が遺した史料に大きく依拠している本書でもあり、いかに本人が慎み深くしていようとも、実際問題として「悪」の存在であったのかは今後気になるところだ。(笑)
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