ニホンという病

ニホンという病

1,650円 (税込)

8pt

3.9

解剖学者の養老孟司と精神科医の名越康文という心配性のドクター二人が異次元の角度から日本社会が患う「ニホンという病」を診察、好き勝手にアドバイスを処方する。
2022年冬、春、夏、秋、2023冬と5回に渡って行われた対談をまとめ、新型コロナやウクライナ侵攻といった時事的なテーマから、南海トラフ地震、脳科学、宗教観、自然回帰、多様性、死と再生など、実に30に及ぶ対談テーマをもとに繰り広げられた賢者二人の思考の世界が楽しめる。
一部を紹介すると
・日本社会に内包する問題、本質については
(養老)日本人は楽天的に考えて、本質に関わるところは変えなくていいことにしようとしてきたわけです。表層的なところだけを変えてきた。和魂洋才が典型だと思うね。明治維新は政治で動いたからまだいいですよ。戦後(太平洋戦争終結後)は何をしたかっていうと、日常生活を変えちゃったわけですよね。
人間の社会ってそんなややこしいものを理屈で簡単に割り切れるもんじゃない。終戦後、それを割り切れると思ったのがアメリカであり、日本だったわけです。

・さらに専門家によれば2038年までに来ると言われている南海トラフ地震で、明治維新、太平洋戦争敗戦以来の大転換を迎えるが、
(養老)この国で初めて、政治とか経済じゃなくて、それぞれの人の生き方が問題になってきますね。どういうふうに生きたらいいかって。何といっても、第一に子どものことを考えなきゃいけない。今の時代、子どもがハッピーでないのはハッキリしていますからね。それでなければ、自殺が若い人たちの死因のトップになるなんてあり得ないですよ。80代が元気な世の中っていうんじゃ話にならない。
(名越)これからは生き方自体をなだらかにでも急いで変えていくべきだということです。南海トラフをどうとらえるかは、メディアを通じてもっと多角的に、バラエティ番組なんかで伝えて議論すべきだと思います。
死というものを深刻に考えたくなければ、ライフスタイルを変えていくことが大事だと思います。数年、5年ぐらいの単位で、自分がどこに住むのかとか、どういうことに生きられる時間を溶かしていくか。価値観が変われば日本人のライフスタイルが5年ぐらいで結構変わっている可能性があると思います。

どのテーマでも二人の独自視点で語られて、生き方のヒントがつまった一冊だ。

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ニホンという病 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年07月25日

    本書が二冊目という養老先生と名越康文さんの共著、というか、対話本。養老先生の著書では語られることの本質がずばり突かれているためか、時間軸に囚われた議論というものを感じないけれど、ごく最近の話題をしばしば取り上げている本書では、二人の会話は時間軸上の特定の点に固定されようとする印象が強い。それは、どち...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年06月22日

    お二人とも好き、かもしれない。
    なんか肩の力が抜けました。
    でも身が引き締まりました。
    読めて良かったです。
    国内外問わず、自然の近くに行くと声が大きくなるのですが、それは自分に力がみなぎっているからなのかもな、と思いました。

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    Posted by ブクログ 2024年03月10日

    南海トラフ地震が起きることを前提にどう生きたいか考えておくと良いよ、って、言われたら普通なんかオカルトっぽかったり防災っぽく聞こえるけど、
    そういうことじゃなくて、単に「起きることに対して捉われることなく生きれるように、何があってもある意味すがらず焦らず動じずで自分の大切だと思うことをやり続けたら良...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年12月03日

    解剖学の養老孟司さんと精神科医の名越康文さんの独特な対談。
    74歳の自然流な生き方をしている私には納得する事ばかりでした。
    明治維新以後、内発的な気概で行動を起こさない日本人・日本人社会、南海トラフ大地震で、ガラガラポンになったとき、しっかり対処できるための準備をしておけとのお言葉、しっかり心に据え...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年08月21日

    未来の日本(著者の目)よりこちら(現在の日本)を解剖して見ればヤマイにかかっている。
    これから来るかも知れない困難に、今のままの都会人の日本人では生き抜けない。

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    Posted by ブクログ 2024年03月21日

    お二人の対話から、日本社会が見失いつつある人間の本来の姿、自然とは何かが伝わってきた。

    話題は分散していたが印象に残ったのは、日本人は原因を求めすぎている、健康至上主義に陥っている、居心地の良い状態がどいういう状態かを考えていない、といった内容でした。

    まずは定期的に自然に触れて、呼吸を整えるこ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年12月06日

    再読した。
    風変わりなおじいちゃんと毛色の違うおじいちゃんの対談。

    日本語についてだったり、田舎をもつことについては面白く読んだ。
    けれど、すごい先生たちなのはわかるが、「とにもかくにも現代と東京はダメ」に繋がって常に否定されている気分になる。
    こんなことを言っても、本人達にそのつもりがなかったり...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年10月22日

    ままならない社会や組織などの大きな力に、個人としてどう対峙すればいいのかという問いに、道筋を提示している。個の内発的な力で行動する必要性。組織はひとりでに変わるとも。
    ただ、私は選挙にも行きます。おっしゃる通り何も変わりませんし、制度に絶対の信頼を寄せているわけでもありません。それでも、今あるもので...続きを読む

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