アナロジア AIの次に来るもの

アナロジア AIの次に来るもの

小説・文芸
3,300円 (税込)

16pt

3.7

0と1で世界のすべてを記述することは本当に可能か。デジタルの限界が露わになる時、アナログの秘めたる力が回帰する――。カヤックビルダーとしても著名な科学史家が博覧強記を揮い、ライプニッツからポストAIまで自然・人間・機械のもつれあう運命を描く

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アナロジア AIの次に来るもの のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    AIの次に何が来るのか――未来を問うときジョージ・ダイソンの『アナロジア』は示唆に富む。著者は計算ではなく「共鳴」による思考の可能性を見つめる。機械が人間を模倣する時代を越え生命のように「感じ」「適応する」知性が台頭するかもしれない。木々のざわめきや自然のリズムに学ぶそんな未来像が浮かび上がる。効率だけでない意味あるつながりを求めて。人と技術の関係もまた進化の岐路にある。

    0
    2025年07月19日

    Posted by ブクログ

     「チューリングの大聖堂」で名を馳せた科学史家による現代文明批判の書。18世紀、ライプニッツにより提案されるもロシアのピョートル大帝の興を惹かずに終わった「道徳と形而上学を正確な計算により解明する」というアイディアに仮託させ、「特定の主体ではなくアルゴリズムにより支配される現代文明」というセルフ・イメージの改訂を我々に迫る。
     著者はまず人間文明を4つの時代に区切る。工業化以前の第1の時代、工業が発展した第2の時代、デジタル論理が席巻する第3の時代、そして現在の第4の時代だ。第4の時代では、アルゴリズムとそれを制御する一部の層が支配的であると一般的には考えられているが著者の考えではさにあらず、むしろこの時代は自然が支配権を握っていた第1の時代に引き戻されようとしている、という。本書はこの各時代における自然と科学の関わり合いを、主に北アメリカにおける先住民と西洋文明の邂逅と対立に二重写しにする形で描き出してゆく。

     第1章から興味深くもやや冗長な文章が続くが、面白くなるのは19世紀のディストピア小説「エレホン」を題材に「創発」を扱う第7章から。著者によれば、機械による生命の置き換えに警鐘を鳴らすこの「エレホン」は単なる機械文明批判の書ではない。むしろ、生物の持つ知能というシステムが個々の細胞に内在する生物学的コードに随伴(supervene)して生じたように、機械の知能も個々の人間の知能に随伴して生じてこれを超越する、ということを喝破した啓蒙の書として扱われている。この人間を部品とした決定論的システムは、完全に決定論的ではなく幾分創造的で予期せぬ結果をもたらす。これが「創発」であり、つまり機械は自然と同じ発展性と創造性を有することになる。人間は機械に奉仕する形になるかもしれないが、それは必ずしも不幸なことではなく、自然に支配されていたアメリカ先住民と同様の豊かさを享受できるかもしれないのだ。

     最終章ではこの著者の主張が、より抽象的な議論を絡めながら展開されている。まず、カントールの「連続体仮説」で主張される二種類の無限、すなわち離散的な「可能無限」と連続的な「実無限」に、それぞれ「デジタル・コンピューティング」と「アナログ・コンピューティング」が対応させられる。前者は非生物的な機械で用いられ、エラーや曖昧さを排除すべく各段階での厳密なデバッグを要するが、後者は生物による創発的な階層で用いられ、ノイズは許容されたまま確率的・統計的に処理される。
     アナログ・コンピューティングは今日、生物神経システムを模した相互システム接続を前提としたネットワーク・コンピューティングに形を変えて現代のメインストリームを形成している。より上位の階層で支配的であろうとするアナログの力が、デジタルに代わって主流となりつつあるのだ。そこではコントロールする主体がいないにも関わらず、情報がそれぞれのネットワークにおける位置や役割に応じて自然発生的に制御され、他に影響力を及ぼす。システム自体が意味を持ち始めるのだ。
     そうなると、機械が可能無限を、自然が実無限を担当していた第2・第3の時代とは異なり、このテクノロジー全盛の第4時代はこれらが混然一体となり、あたかも自然を模した自律的な機械によるデジタルコンピューティングが、より創造性に富む「理性」や「道徳」などのアナログ・システムを創発する第1の時代に回帰していくのではないか、というのが著者の主張だ。

     ライプニッツの抱いた夢は、形而上的概念を数学的概念で表そうという「上から」の科学的態度を体現するものだった。著者はいわば「下から」、つまり自然そのものに内在する離散的な下位概念に随伴する形で連続的な上位概念が生じるという図式をもって、叶わなかったライプニッツの夢を体現しようとしているのかもしれない。

    0
    2023年09月18日

    Posted by ブクログ

    お坊ちゃんだから日銭稼ぎにあくせくせずにこういうことを調べて書けるということなのだろうか?カヤックや木の上の家とかも。デジタルの未来とも限らないよみたいな歴史知識ありエッセイみたいな感じ。即物的に役立つ読み物ではない。余裕がある人向け。カリカリしてると全部読んでいられないかも。

    0
    2023年10月12日

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