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Posted by ブクログ
約6年前にわたしよりいち早く「前期高齢者(65歳)」の仲間入りを果たした阿川佐和子女史が、その前後、どう生活し、どういう感慨をもってこの歳を過ごしたか、父親譲りの達筆のエッセイで綴った本です。
自然災害の季節がやってきました。「あとがき」で女史はこう呟いています。
「65歳以上の高齢者は、早めの避難を心がけてください」
台風接近のニュースを見ながらふと気づく。そうか、私もその範疇か。不愉快なわけではない。が、自覚があまりに薄い。(253p)
心構えというもののことではないけど、本屋の本棚で見つけて初めて読んだ作家だったけど、なんかもう、あるある、共感することが多かった。
そうか、俺ももうすぐ前期高齢者なのか!
絶対、避難しないだろうな。
高齢者はおしなべて若者の気持ちがわからない。「ずっとキラキラしているためにはどうしたらいいんですか」と、女史は訊かれて気持ちそのものがわからない(6年前なので、既にこの言葉さえ古いのかもしれない)。「詰まるところは「インスタ映えのするオンナでいたい」らしいことがわかってきた」と女史。「だからいつも人にうらやましがられる人間でいたい。そうすれば自分がキラキラ元気になれるから」と女史は分析した。女史と共にわたしも「トホホ」というしかない。そうなんですね。「元気になれる」のはいいことなんですよね。
かつて阿川は「ブラジャーを3週間洗わない不届者」と呼ばれた女である、と話題を振る。これだけで2回もそれで持たせている鉄板ネタらしい。高齢者ネタとは言えないかもしれないが、わたしも冬場は下着シャツは1週間かえないことはよくある。えっ?誰か引いていく?「いや、違う。雑菌を排除しすぎるから日本人は脆弱になるのよ。少々雑菌がついているほうがいいんだって。お腹の方にも常時、雑菌を飼うぐらいのつもりでいたほうが、丈夫になると思うよ」‥‥この女史の理論は昭和世代の私たちには常識だし、実際実感もあるのだけど、どうなのだろ。
女史は65歳にして「明るい腰痛」にかかった。軽いギックリ腰である。ふふふ、コレは女史と私は違う。仕事柄若い頃荷物を持つことの多かった私は、「例外なく(←これが1番大事)」腰を沈めて物を持つという素晴らしい習慣を得ることができた。最近はこのことを若い人に積極的にレクチャーするようになった。「自信と慎み深さは紙一重である」そのあと、他の章で女史は言った。
前期高齢者、後期高齢者は、「そろそろ終活を始めてくださいね」から「まもなくお迎えが来ますよ。準備はよろしいか」という囁きが込められている。一方では「人生100年時代到来」を唱え「もっと働いてください」と政府は言い出した。と、女史。「どっちなんだ。長生きはめでたいのか、それともお荷物なのか」うんうんと共感する。
その他、紫外線、夏場の塩分、延命治療、旅の醍醐味、涙ぽくなったわけ、健康体操、等々と、あるある話題で楽しませて貰った。
Posted by ブクログ
この本の中に、昨今のインスタ流行りについて触れた文章がある。阿川氏の友人が、あなたはエッセイで、自分の日常を世の中に発信できるからいいけど、と言われたそうだ。阿川氏は、インスタでキラキラした暮らしを、これみよがしに、時には実力以上に、世間に発信するのと、エッセイで語るのでは、全く違うという。確かに、読者は、阿川氏の日常を面白おかしく楽しみながら、そこに流れる世の中の小さな幸せや、哀しみを読後に味わうのである。時には、人生とは、人間とは、と深い思索に連れて行かれたことに気づくこともある。身の回りの出来事を面白おかしく描いているだけではない、確かな筆力がこのエッセイの深い味わいにつながっている。老人になっても年寄りの繰り言に陥らないのもさすがだ。
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