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Posted by ブクログ
今まで読んだ本の中でダントツで面白かった。
山に取り憑かれた羽生とカメラマンの深町。
山(登山)という非日常の中に刺激や生きがいを求めた2人は日常生活には満足できず山に挑戦していく。
山に刺激を求める2人だが、日常生活を捨ててまで山に登る羽生と、生活のために日常に戻る深町。深町の羽生への憧れ、マロリーのカメラ発見というミステリー、羽生と深町それぞれの恋愛事情など、読者にとっても刺激たっぷりな内容。
なにより登山未経験者ながらも登山情景が浮かぶほど情景描写や人間の極限状態での心理描写がとてもリアル。
街では何もか(神や仏さえ)もが人のためにあるが、エベレスト頂上に行くには自然の神に愛されるしかない。いわゆる運をいかに味方につけれるかが勝負。
命をかけてまで、自分のやりたいことをやっているのか?いま戦っているか?そのための準備はしっかりしているか?
そんなことを考えさせられた作品だった。
Posted by ブクログ
夢枕獏さんといえば陰陽師。幻想的な昔語りのスペシャリスト、だとばかり思っていたら全くのお門違い。
ゴリゴリに現実的で、瑞々しい山岳エンタメだった。
ヒマラヤを取り囲むチベット・ネパールという異国情緒も生々しく映る。これはハマらないでいられない。
山登りといえば、ゴルフや釣りと並んで三大老後の楽しみと勝手に決めつけている。お金も時間もかかる。やりきるなら3つからどれか1つを選択しなければならない。
体力的に最もハードルの高いのが登山だろう。40代でまだ味見すらできていない。華々しいプロの世界もないから露出もない。自分から手を出さなければ、一生味わえない世界。
最高峰に挑むこの作品で、少しでも気分を味わいたい。
Posted by ブクログ
羽生丈二。なんと不器用で、魅力的な男だろう。 なぜ山に登るのか?という問いにマロリーは「そこに山があるから」と答えたという有名な言葉があるが、「ここに俺がいるからだ」という羽生。
誰もなし得ていないエベレスト登山に己の全てを注ぎ込む人生。少年から青年になり、年齢を重ねると共に社会に適合するようになっていく周囲の人々とは異なり、常に山だけを見据える。
決してスマートな生き方ではないのに、小説の中の深町のようにいつのまにか引き込まれていく。
酸素の薄い地点で高山病に苦しみ、意識が朦朧とする中で、とりとめもない考えががぐるぐる回る様子に、エベレスト登山のリアルさ、怖さを文字から感じた。
なぜ山に登るのか?というのは、なぜ生きるのか?と同じだと言う。読みながら、自分にとっての目指すべき山嶺とは何だろうと考えていた。
(補足)映像化もされているが、原作を読む方が断然オススメ。
Posted by ブクログ
夢枕獏さんの小説というと、不思議なファンタジーを思い浮かべるが、これはノンフィクションのような迫力ある小説。誰もやったことのない登り方に生きがいを見出す天才クライマーと、生きがいを見失いかけた写真家が出会い、命をかけたエベレスト登頂に挑む。この主人公を取り巻く脇役の配置と関係性も濃密で、単なる山岳小説ではない複雑なストーリーとなっている。何かに命をかけることが少ないご時世にガツンと一撃を喰らわす衝撃、ギリギリまで追い込まないと何も成し遂げられないことを知っているからこそ通じ合える共通意識、生きる意味など、こういう小説を読むとこちらも魂を揺さぶられる感じ。もっともっといろいろなことが出来るはずだし、やらねばと思う。
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