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わたしたちがなにげなく仰ぎ見る星空に、天文学者たちは「自分の星」をもっている。ある時はそれと静かな対話を楽しみ、またある時はそれと戦う。観測の合間にかわされる会話や、天文台を訪ねる人とのふれあい──興味深いエピソードをちりばめて、岡山天体物理学観測所で副台長を勤め、星と対話を続けた著者が記す。天文台職員たちの生活をうかがい知ることができる好著。
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Posted by ブクログ
新聞で渡辺潤一さんの紹介記事をよんで、表紙に惹かれて取り寄せた本。表紙のために買ったくらいの気持ちだったけれど。 天文台での生活や観測の知識が興味深くおもしろいということはもちろんですが、所々でひと息ついて、しみじみとこの生活に思いを馳せる、そのときの文学的情緒のこもった文章がなにより心に残る。す...続きを読むばらしいです。 星をみて、ひとと関わり、また自分を見つめる生活に、憧れずにはいられない。
40年余り前の天文台の活動状況を綴った1冊。天体観察に携わる人の心意気、心構えは今でも通ずるものであり、色あせることはない。
子供の頃の愛読書。子供の頃は星を見るのが好きで、天文学者にあこがれていました。(しかし、天文学者には数学の才能も必要で、挫折)すばるができる前、日本最大の望遠鏡を管理運用する学者の日常。夜の静謐な時間が流れている感じがよく分かる淡々とした文章がすごく素敵です。
正直、天文に知識が無いとまったく何言ってるか分からないです。でも、自分の全然知らない世界を垣間見ることができるし、とても貴重な内容なのではないかと思います。星を見るのは好きなので、いつか岡山の天文台に行ってみたい。
現在の天文台は、電子制御の塊となり、精密測定が容易く行われているが、人の手により何事もなされた時代の記録。様々な注意事項が書かれたイロハガルタが秀逸。
長らく天文台に勤めてきた天文学者である著者の、星や宇宙への愛がひしひしと伝わってきて、地味だけれど温められる。
実際に天文台で働いていた人の日記。 専門用語に注釈は付いていないけれど、日々どのような生活を書かれていて興味深い。毎日星を眺めて暮らしているかと思ったが、他の天文台や学者の人たちが頻繁に来るので、望遠鏡を独り占めにしている訳ではないらしい。
昔の名作の復刊シリーズです。 大して厚くもない文庫の割りには泣かせる値段です(財布痛。涙) 1970年代に岡山の天文台で副所長をしていた著者の一年間の日記です。日記の形式を取っていますが、単なる記録だけではなくてコラム的な内容も多々あります(笑) 技術も情報量も現代とは比べ物にならない時代の話...続きを読むなんですが、何と言うか星に対する情熱が感じられて良いです(笑)この時代の天文台の日常も淡々と書かれていながら興味深いです。 山の上の天文台に住み込んで毎夜毎夜天候に左右され、ガラスの乾板に一つの星を写すのも大変な当時の天文台の様子が伺えます。マメ知識っぽいコラムの日も読んでて楽しいです(笑) 日記の初日にいきなりペットの犬にタマネギを食わせていたりするのが昔の時代です(爆) そしてやっぱりこの人も天文屋なんですよ(笑) 小柴先生の本の時(前の日記だけど)でも書いたんだけど、こういった学者や研究者が、自分の職を物理屋とか天文屋とか言うのが好きです(笑)つか〜屋ってのが好き(爆笑) 俺はコレでメシ食ってんだ!って職人みたいな責任感があるイメージで好き(笑) 個人的に英語の略称とかカタカナの職業は、何となく仕事キッチリってよりは条件でフラフラ流れるような責任感が無い感じのイメージなんです;; 現代の日本の天文学では、ハワイに作られた世界最大級の望遠鏡「すばる」が有名です(笑)晴天が多く澄んだ空気の中で、この時代とは比較にならない程に大きくて精度の高い望遠鏡を使って、近年色々な新しい発見を次々としています。
最初の出版が昭和47年とはすごい。観測の話は難しかったけど、夜に観測する大変さをユーモアに書かれてて、思いがけずスイスイ止めた。
岡山天体物理観測所で副所長を務めた著者の、星との対話を綴った日記。 アヴォカドさんよりお薦めしてもらった本です。 この画像を見てもわかるように、表紙がとっても綺麗。 しかしこの本、もともとは筑摩書房より昭和47年に発行されたのを、中央公論新社が2004年に文庫にしたもの。 だから、この本で書かれ...続きを読むている「当時」は昭和40年代。私が生まれる20年も前のことなのだ。 当たり前だが、星の観測は夜に行われる。 夜を徹して星の観測が行われることもあるというのだから、天体に関してはさっぱりの私は驚いてしまった。 時には、2日3日連続して徹夜することもあるという。 しかし、それを描く石田さんの筆はあくまで穏やかで、温かく、そして真摯だ。 1月1日の日記の始まり方からして、その雰囲気は始まっている。淡々と仕事をこなす様子にも、力まず慌てず、仕事に対する誠意と、天文台を訪れる人々とのユーモアを交えたやりとりがにじみ出ていて、何気ない日々がとても豊かなものであるように感じられた。 星の観測をずっと続けるというのは、それこそ星が見えている間はずっと目を離さずにいるということなのか、それともデータを取っていて、数秒とか数分置きに星の動きを見るということなのか、そこらへんが少し気になる。 実はこの本でも、科学的なことは全くわからず私はずっと「?」状態だった。 けれど、著者の石田さんが「ラプラスの伝記を研究したい」と言って天文学科に入った(!)人であるくらいだから、星の描写や人々との交流もフィジカルで丹精な文章で綴られているので、科学的なことがわからなくても、「星を観測する仕事」の日々が覘けて楽しめた本であった。 やっぱり星と宇宙にはロマンがあっていいな。大きすぎて、人間がちっぽけに見えてしまえるところがいい。
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