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クラスで人気のイケメン男子が目立たない根暗男子を構い倒すのって、なんでこんなに萌えるのか。私は「イケメンによって新しい扉をこじ開けられて戸惑う根暗がかわいい」「根暗を翻弄するイケメンの無自覚な傲慢さが光る」「イケメンが根暗にだけ見せる執着心がおいしい」「根暗の中で暴力的なまでに大きく膨らんでいくイケメンの存在感」といったポイントに萌えているんだと思うのです。そんな思春期特有の制御不可能な感情に振り回される男子2人によって醸成される萌えが、本作にも満ち満ちています。
感触や味を再現できるほど強すぎる妄想力を生かして、授業中にオナニーをしていることを、イケメン男子・暮島に知られた根暗男子・大野。「ノットハンドオナニー」という屈辱的なあだ名をつけられ(呼ぶのは2人きりのときだけ)、妄想を煽るような言葉責めで射精させられて、と割とひどい目に遭わされているのに、友達として遊んでいるときは楽しいし、暮島が女子と仲良くしていると嫉妬のような気持ちが沸き上がってくる。倒錯的でアンバランスな関係にたまらなく萌えてしまう……! そして、そんなすれ違いもプレイとして楽しんでる感すらある暮島くん、将来大物になりそうです。
読み始めは「とにかくエロくていいじゃない!」という印象だったのが、読み進めるにつれて「これは青春……ていうか、ゴリゴリの純愛やんけ!」「暮島の嫉妬尊い……」「同棲だと!? 2人の幸せフォーエバー……」と変化していくのも本作のすごいところ。すれ違いシーンではこの2人どうなっちゃうんだろうとハラハラさせられ、イチャイチャシーンでは糖度の高さに蕩けさせられる、ドライブ感のある読み心地も病みつきに。エロから始まった恋が純愛に昇華されていく過程を、とくとご覧ください!