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Posted by ブクログ
小嶋陽太郎が描く人の抱える痛みが、踏切の遮断機の音のように急かされて押し寄せてくる。
『火星の話』で見せていた片鱗が大化けした。
環境に恵まれて毎日元気に暮らしている幸せな人にはこの小説はただの暗い話にしか見えないかもしれない。
でも、人の悪意に敏感で、ぐちゃぐちゃと深く考え込んで、勝手に痛みを抱えてこんでしまうような人には、とてもよくわかる物語だと思う。
主人公がまさにそういう青年で、主人公視点の地の文は鬱屈している。
広崎と吉岡との出会いのシーンはとてもわくわくしたのだが、主人公は過去の経験からなかなか彼らと距離を詰めることができない。
でも、痛みを抱えているのは主人公だけではない。
他の登場人物たちにもそれぞれに暗い過去があって、どうにもすれ違ってしまう。
はじめに「幸せな人にはわからない話」なんて、まるで自分だけが被害者みたいなことを書いたが、幸せばかりの人間なんていないということは私もよくわかっている。
誰しも少なからず傷跡はある。
周りとの価値観の違いに悩んだり、作中で「バランス」あるいは「ゼロととなり合わせの百」と表現されるような人間の不安定さに振り回されたり。
でもそれはいつかは乗り越えなければいけない。
その方法はいくつかあるけれど、私はやはり互いの荷物を共有していける相手がいればいいなと思う。
物語のラストは小さな光だが、私には小さくとも眩しく感じられた。
「悲しい話は終わりにしよう」というタイトルが、とても大きな一歩になる力を秘めている。
Posted by ブクログ
久々に読んだら小嶋陽太郎のイメージをガラっと覆す小説でびっくり。もっと軽妙で前を向いたポップな小説を書く人のイメージだったのだが、この本は軽妙さやポップさは(ないとは言わないが)影を潜めている。
主人公と親友とそこに現れた一人の女の子。そういう三角な関係が2つ。大学生の市川君と中学生の佐野君の視点で交互に章立てされて話が進む。どちらもまっすぐな友情物ではなく、かなりの登場人物それぞれの背景からして曲者で、一角を成す女の子との関係もそうとうに曲者。
話が進むにつれて張られた伏線になんとなく気付いてくる。その伏線は決して目新しいものではないのだが、それでも回収されるときの衝撃は鈍くドンっと響く。ミステリーじゃないので「あっ」と驚く必要はない。そうかこういう回収による表現もあるんやと、衝撃におののきつつ感心する。
読後にタイトルの意味と、第一章が唐突に始まる意味が分かって、それでまた感動する。小島陽太郎、やっぱただものじゃない
Posted by ブクログ
市川と佐野、2人のストーリーが交互に描かれており、市川は大学生、佐野は中学生と関連性が無く、最初は「この2人に共通するのは三角関係って事かなあ?」などとぼんやり考えていました。
ですが、途中から市川=佐野であることを間接的に匂わせる表現が入ってきて、最後の晃との会話の部分で確定した…って感じでしたよね?
途中で同一人物であると気付いた時は震えました。笑
市川でのストーリーも、佐野でのストーリーも、
最初はただただ"日常"感が強く、穏やかな気持ちで読めていたのですが、段々と不穏な空気が混ざって来て…最終的に1番怖かったのが、佐野が父の部屋を見て奥村の家に行かなければならないと思い浮かび、雷雨の中自転車を漕いで奥村の家に向かい、インターホンも押さずに家に入っていくシーン、あのシーンは本当に鳥肌が立ちました。
そのシーンの際はぼやかされていて、
結局奥村が死んだ、という事実しか明かされていなかったのですが
最後の最後で、晃と市川が2人で話しているときに奥村が晃に覆い被さって…とその時の事が明らかになった時も驚きました。というか奥村は沖田の"利用すべき敵"を殺した通り魔事件の犯人なんでしょうか?そういう話が上がってましたけど、結局ぼや〜っと終わりませんでしたか?
誰か教えてください!!!
あと、アレですね。広崎。
彼もすっごいですね。
市川と広崎が最後に話した日、あの時にはもう大学を辞めていたんですね。衝撃すぎました。
今度、バドワイザー飲みながら
はっぴいえんどの曲聴いてぼ〜っと散歩でもしようかと思います。
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