加藤幹郎の作品一覧
「加藤幹郎」の「荒木飛呂彦論 ――マンガ・アート入門」「映画館と観客の文化史」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
「日本語で書かれた初めての包括的な映画館(観客)論」(あとがきより)。
映画館の文化史論であり、と同時に観客の文化史論。映画館における観客の構成、態度、考え方について、興味深く論じられている。映画好きで、かつ映画館好きの私にとっては、読書中幸福感を得ることができた。
本書はアメリカ篇と日本篇の2部に分かれる。
アメリカ篇では、移民が映画を通じていかに同化されていったか、観客がいかに静粛性を尊重するようになったか、また観客が徐々に均質化されていった過程も詳細に説明される。初期のニッケルオデオン(常設映画館)で、観客はフィルムの入れ替え時間に合唱するというエピソードは楽しい。
日本篇では、弁士の活躍、トーキーの黎明期、映画以外に観客が映画館に行く理由(例えば映画館は涼しいから)、京都市における映画館と市民の交流が論じられる。
ポルノ映画館の観客についても論じられている。なぜ「都市部の片隅でごくわずかのポルノ映画館がひっそりと営業をつづけている」のかの解答が提示されているが、少しがっかりした解答だった。
でも、映画館について、これほど論じられた本は出合ったことがなく、映画好きにはお勧めの★5つ。
なお、本書にもあるように、映画館とは、観客が「異世界に遊ぶ」ために入場した「外界から遮断された視覚的公共施設」。
異世界で遊ぶ人々(観客)が感動や驚きを共有できるのが望ましい。
個人的なことで恐縮だが、学生の頃は、映画館に良く通った。今はない「三鷹オスカー」は洋画3本立て。「罪と罰」「白痴」「戦争と平和」の3本立てを600円で見たことがある。全部見たら10時間を超えたが、ほぼ満員の状態だった。映画が終わった後、観客のほとんどから「あぁ、終わった」という悲鳴が聞こえた。何となく嬉しかった。
昭和の頃は、映画館は学生にとって大きな存在だったような気がする。
ちなみにジャカルタにも、ショッピングモールに併設されたシネマコンプレックスが多数ある。冷蔵庫のような冷房が完備され、椅子の座り心地もよいが、いまひとつ好きになれない。観客が少なすぎる。先月、「ゴジラ」を見たが、日曜日の午後にも関わらず観客は数名だった。これでは、他の観客との共有感は持てない。