作品一覧

  • 秘密にしていたこと
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    時代を超えて読みたい家族の物語 少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。 死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって 心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。 舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女が行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。 物語はリー一家を中心に進んでいく。父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人の大学教授。ハーバード大学を 卒業したものの、教職に就いてからも周囲になじめずにいる。そんなコンプレックスから、ジェームズはリディアに「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。 妻のマリリンは南部出身のブロンドヘアーの白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、 妊娠・結婚。夢をあきらめることになる。マリリンもまた、あきらめきれなかった夢を、自分と同じ青い目を もつリディアに託し、知らず知らずのうちにリディアを追い詰めていた。 長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。青い目であっても、黒髪であること、父親が アジア系であることから、周囲にはなじめずにいる。 一方、長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは、父から疎まれ、母から 無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ただ大学入学を機に、ついに家を出ることが決まっていた。しかし、 このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し、リディアに決定的な暗い影を落とす。 妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅、机の下に隠れている。だが、誰よりも客観的に家族を 観察し、事件の真相に迫っているキーパーソンでもある。 本書では、章ごとに1950年代の両親のなれそめ、1970年代の現代を行き来し、家族が徐々に崩壊していく 様子が語られる。その語り手も、リー一家が章によって入れ替わり、それぞれの秘密を静かに暴露していく。 終盤ではリディアの語りによって、死の真相が明らかになる。
  • レイプ犯の日記
    -
    1巻2,200円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 単調な仕事と空虚な生活に絶望したアールは、ある日、ついに。日記に克明に記された異常心理の軌跡と官能的欲望の高まりを、ざらついた筆致で生々しく描くサイコ・ノベルの傑作。

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ユーザーレビュー

  • 秘密にしていたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『密やかな炎』がとても好きなタイプの物語だったので既刊のこちらもお取り寄せ。

    「リディアは死んだ。だが、彼らはまだそれを知らない。」のショッキングな書き出しで始まる。
    『密やかな炎』と同じく、その結末を迎えるに至った家族の顛末を辿る倒叙形式の物語。
    これがこの著者の型なのかな。

    倒叙といっても単なる過去の一時期に視点移動するのではなく、そもそもの発端である大過去(父ジェームスと母マリリンの馴れ初め)、10年前に訪れた家族の危機(マリリンの失踪)を語る中過去、直近での家族の歪みを描く小過去、それぞれの時点を唐突とも言えるほどの切り替わりで行きつ戻りつする。
    さらには時折りリディアの死以降の未

    0
    2025年11月08日
  • 秘密にしていたこと

    Posted by ブクログ

     読み終わってから、最近の本だったという事に驚いた。翻訳者の後書きを踏まえると、まだアジア人差別のようなものが残っているのだなと感じた。まあでも、この本の主題はそうでは無いので、一旦置いておこう。
     この本を読んでいて、コンプレックスの克服とは、なかなかうまくいかないものだなと、強く感じた。コンプレックスをバネに成功した人の話は、何度か聞いたことがあるのに。
     親はやっぱり、自分のようになってほしく無いとか、こういうふうに育って欲しいという願望が捨てきれないのだろうな。表面的には成り立っている様に見える家族ではあるが、それは子供の協力があってこそ。むしろ、子供の共感力がなければ、早くに家庭崩壊

    0
    2024年02月16日
  • 秘密にしていたこと

    Posted by ブクログ

    いやー、なかなかしんどかったな。
    家族とは言え(家族だからこそ?)誰にでも何らかの秘密はあるものだけれど、もうちょっと共有し合えていればよかったのに、とは思う。人種、女性として生きる道、両親から過剰な期待をされること、あるいはまるで期待されないこと…何もかもがあまりにも重くて。

    作家の力量はひしひし感じる。この人の作品はもっと読みたい。

    0
    2022年10月28日
  • 秘密にしていたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ジェームズとマリリンとでは、「違う」に対する考え方が違った...。非常に上手な作りだと思った。

    違うことと和解できていないふたりが、娘には理想を生きてほしいと自分がして欲しかったことや彼女の「役に立つ」であろうことを言ったりやったりする。でもそれが本人の性質や希望とは「違う」場合、それは重荷になる。

    移民二世や、移民でなくとも、親の期待を子供に背負わせることはよくあるが、それが重くなりすぎるとどんなに苦しいことになるのか、結果として家族も苦しめることがあるという可能性を見た気がした。

    型に当てはめたら幸せになるわけではない。子育てって、個の特徴をしっかりと捉え、尊重してあげることが大切な

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    2025年09月03日
  • 秘密にしていたこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    家族に秘密にしていることはありますか? そりゃ、ありますよね、たいていの人は。でも、家族だからこそ、想いをきちんと伝えなければならないことってあると思うんです。この物語では、まず両親がきちんと本音をぶつけ合っていない。妻のマリリンは私と同じ女性なので、目指す生き方と、結婚妊娠出産育児との折り合いをつけるのは大変だったろうと思います。時代も1960年代ごろですし。だけど、何も打ち明けずに行動するのは、家族にとっては(特に子どもにとっては)捨てられたも同じことで、大きな傷を抱えてしまう。なぜ、きちんと話せなかったのか? 腹立たしくて、心を寄せることが出来なくなってしまいました。
    子どもは親とは別人

    0
    2025年08月08日

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