末期の胃癌にかかり、亡くなってしまったSEの妻から記念日に届くように設定してあったメールが届く「Re:」の他、息子の幼稚園の先生と新しい関係を築く第一歩を踏み出すまで。
「子供が死を理解できるのは何歳くらいからなのでしょうか」
には、はっとさせれられました。
特に「忘れられないおくりもの」は、私も幼
...続きを読む少期に母に読んでもらった思い出があり、大切な一冊です。
レビューにもよく書かれているように、扱っているテーマがテーマにしては、全体的に、すとんすとんとパズルがぱちぱちはまっていく感じでとても読みやすいお話です。読みやすいから特に、感情移入できるのかなと思います。辛い状況描写よりも、感情とか思考に重点を当てているので。
最初の方に、洋子先生が、雨の日のお迎えの時に、翼君が風邪をひいているからタクシーで帰らないといけないと言い張って、翼君を抱えてタクシーまで走ったら携帯を水たまりに落とすシーンがあって、正直、もちろん息子の体調はとても大事だけど、代えられないという点では、携帯にあった大量の保存されたメールの方が大事だっただろうと思われて、保育士にあんまり良い印象は持てませんでした。私だったら恨んじゃうかも。他人のせいにして心が狭いな。でも、その後にビデオを渡してるから、ある意味とんとんなのかな。そういう風には考えちゃいけないのかもしれないけど。
友達に意地悪言われた時に、「お母さんは死んでない」って答えた翼君。そう答えないと「お母さんがかわいそうだったから」と思って、敬老の日に自分の大事なウルトラマンの人形達を遺影の前に並べて、意地悪されたお母さんから、(こちらこそ)ごめんなさいって言われたことを聞いて泣いた翼君は本当に賢くて優しい息子だな、と心が痛くなりました。
自分に余命いくばくかしか遺されていなくて、息子が、子供がいたら私はもっと取り乱してしまうだろうと思う。
有川浩のストーリーテラーもやっぱりパソコンに手紙が入っているっていう話だったっけ。
小さい子供を遺していかなければならないというのは、悔やんでも悔やみきれないだろうと思う。
でも、彼の中に少しでも自分を思い出すパスワードが遺ったのならばそれはきっと自分が生きた理由だと思うんだろうと思う。
最後の「Re:Re:」は一体どうやって戻ってくるんだろうと思っていたけど、秀逸でした。