作品一覧

  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]
    4.1
    1巻1,056円 (税込)
    一九三二年三月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか一三年五ヵ月後に姿を消した国家、満洲国。今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。在満蒙各民族の楽土を目指すユートピアか、国民なき兵営国家なのか。本書は、満洲国の肖像をギリシア神話の怪獣キメラに譬えることによって、建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。吉野作造賞受賞。
  • 思想課題としてのアジア 基軸・連鎖・投企
    -
    1巻9,680円 (税込)
    近代世界の同時形成の中で,東アジアもまた近代への道を歩み始めた.国民国家日本は,そのなかでどのような役割を果たしたのか.また,近代日本にとってアジアとはなんだったのか.思想の連鎖,人の移動,戦争と植民地化の複雑にからまりあった歴史を掘り起こし,近代アジアが形成されて行く過程をヴィヴィッドに分析する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録
    3.5
    1巻770円 (税込)
    日本の「戦後70年」とは平和の時代であった。しかし今日「戦後レジームからの脱却」へ歩を進める政権によって、かつてないほど不安で希望の見えない時代が迫りつつある。果たして私たちに「戦後80年」は到来するのだろうか。比較敗戦論、論壇と出版、集団的自衛権と憲法、歴史学による戦前・戦後論、少子化問題、中央銀行の破綻……。日本の知の最前線に立つ講師陣が「戦後とは何か」を論じつつ、この先10年、日本が歩むべき道を提言する。朝日新聞社と集英社による連続講座シリーズ「本と新聞の大学」第4期の書籍化である。【目次】まえがき 姜尚中/第一回 基調講演 一色 清×姜尚中/第二回 比較敗戦論 敗戦国の物語について 内田 樹/第三回 本と新聞と大学は生き残れるか 東 浩紀/第四回 集団的自衛権問題とは何だったのか 憲法学からの分析 木村草太/第五回 戦後が戦前に転じるとき 顧みて明日を考える 山室信一/第六回 戦後日本の下半身 そして子どもが生まれなくなった 上野千鶴子/第七回 この国の財政・経済のこれから 河村小百合/第八回 総括講演 姜尚中×一色 清/あとがき 一色 清
  • 大正=歴史の踊り場とは何か 現代の起点を探る
    4.0
    1巻1,815円 (税込)
    大正時代、都市化の進行や人々の意識の変化は、明治に始まった「官製の近代化」とは質の違う近代を歩み始めたのではないか。新しい社会・思想の源があったのではないか。「震災」「民生」「学区」「趣味」「娯楽」「サラリーマン」「職業婦人」「専業主婦」「地方(ぢかた)」「自由」など、この時代の言葉に着目、その発生や流行の社会状況を立ち上がらせながら、現代の社会や暮らし方の起点となった時代を読み解く。
  • モダン語の世界へ 流行語で探る近現代
    4.5
    モボ・モガが闊歩した一九一〇~三〇年代の日本では,国民の識字率の向上やマスコミの隆盛,日露戦争と第一次世界大戦の勝利など背景に,外来の言葉と文化が爆発的に流れ込んだ.博覧強記で知られる歴史学者が,当時の流行語を軸に,人々の思想や風俗,日本社会の光と影を活写する.『図書』連載のエッセイ,待望の書籍化.

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  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

    Posted by ブクログ

    概要
    わずか13年間中国に存在した日本の傀儡国家「満州国」。満州の建国背景、国家理念、統治機構を明らかにし、そこに表れた近代日本の中国や韓国に対しての差別意識、天皇制という国家体制についてが語られる。

    感想
    文章に風格があり、歴史もので有りがちな淡々とした描写ではなく小説のような読み味。
    正直難しい言い回しや熟語が多く、読むのは中々骨が折れた。

    満洲国を実験国家として理念をぶち上げておきながら、結局それらは欺瞞まみれで中国人や朝鮮人を日本の様式に無理矢理従わせ、待遇や金銭面など色々な場面で差別する歪な構造にしかならなかった。
    近代日本の歪みがわかりやすく形になっている

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    2024年09月03日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

    Posted by ブクログ

    王道楽土の建設の夢も歪み、占領政策化した満洲国の肖像を省みる。ロシアのウクライナ侵攻に合わせて、ロシアの主張と蛮行がもたらしているものが、私たちの歴史と無縁でないことを、今だからこそ思う。

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    2022年11月20日
  • モダン語の世界へ 流行語で探る近現代

    Posted by ブクログ

    ポストモダンという言葉によって超越されちゃっているからなのか…お好み焼きのモダン焼きな感じで過去の最先端みたいなイメージがついちゃっているからなのか…モダンには、ちょっと微妙なニュアンスがります。だから、本書で流行語でもなく新語でもなく「モダン語」という初めての括りで日本人が使ってきた言葉を総覧すると、肯定的という訳でもなく否定的という訳でもなく日本人が新しい出来事に対して何を語ろうとしてきたか、の地に足がついて血が通った記録になったような気がしました。舞台は1910〜30年。第一次世界大戦が始まり、そして終わり第二次世界大戦が始まるまでの時代。日本に資本主義が定着し、マスコミが成長し、識字率

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    2021年09月11日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

    Posted by ブクログ

    京都大学人文科学研究所教授(近代日本政治史)の山室信一(1951-)による「満洲国」の成立と変容。

    【構成】
    序章 満洲国へのまなざし
    第1章日本の活くる唯一の途-関東軍・満蒙領有論の射程
    第2章在満各民族の楽土たらしむ-新国家建設工作と建国理念の模索
    第3章世界政治の模範となさんとす-道義立国の大旆と満洲国政治の形成
    第4章経邦の長策は常に日本帝国と協力同心-王道楽土の蹉跌と日満一体化の道程
    終章 キメラ-その実相と幻像

    驚愕の歴史研究である。

    「満洲国」と呼ばれる国は、わずか12年の間しかこの世に存在していなかった。にも関わらず、その実相についてある日本人は王道楽土を追求した理想郷と

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    2013年11月24日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

    Posted by ブクログ

    「昭和の戦争だって、満州から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」 と、小泉純一郎元首相は脱原発に転じて言った。

    1929年に「満蒙問題の解決は、日本の活くる唯一の途なり」と言ったのは石原莞爾。しかし、満州国建国がなぜわが国にとって経済的救世主たりうるのか、そしてなぜ満蒙が起死回生の新天地と目されたのか、それは確固たる裏づけに基づいての展望ではない。単なる希望的観測にすぎなかった。そうした過剰な期待が吐露されたのは、世界恐慌に巻き込まれ、冷害や

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    2013年10月05日

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