想像していたとおり、現場の日本人の中国人に対する印象は共通して、我々日本にいるものと次の点で相当違っていた。
・2012年9月のデモは日本で報道されているほど現地日本人が危険を感じる規模と感情的なものではなかった。
・中国人は政府の動きに懐疑的で、付き合いがあれば、国家間と個人間の話はべつものと考え
...続きを読むている。
・現地日本人は、日本で報道されているほど中国人の性格や品格に問題を感じていない。むしろ、礼には礼を返す点など日本人が見習うべきと思うひともいる。
・日本人の発想が行動規範として正しいと思って接すると摩擦を生じ事が進まない。どちらが正しいとはいえず、相手の考え方に合わせようとする気持ちが必要。
・1980年以降の一人っ子政策の若者は思考範囲が狭く日本人を受け入れづらい傾向がある。ただし、世代によらず謙日思考の人の多くが、訪日経験や日本人との付き合いが一切ない人。
・大学など高等教育を受けた都会生活者の思考はしっかりしていて仕事もよくこなす。日系でデモの被害を受けた企業の中国人従業員もその復旧作業に全面的に協力してくれた。
・2005年、2010年にもデモが発生したが、それらではその後の活動に日本人であることの影響はほとんどなかった。しかし、今回2012年9月直後に予定されていたイベントの多くは中止になり、それ以降も業種によって「日本人だから」という理由で発注が減ったまま、現在に至っているものもある。一方で影響が1週間程度など極一部だった飲食店などもある。
以上が本書のメインなのだが、それより僕としては、各自の仕事の経緯や内容が多岐に渡っていて、それぞれ面白く、各々が自分自身で道を開いて現在の地位を得ていることに感動した。大半の人が多くの困難に負けずに、毎日を前向きに活発に活動されてきたことがわかる。
内向きに、いい環境で仕事ができることを望んでいる国内の日本人との温度差を感じた。