常にこじれやすく、むしろこじれっぱなしの日韓関係について明快に説明してくれる一冊。
日韓間に横たわる問題の根っこが韓国国内問題に端を発しており、保守政権であれ進歩政権であれこの問題に対する姿勢が今後も変化しないであろうという点を明確にしている。
同時に、韓国が慰安婦などの問題を単なる日韓の問題とし
...続きを読むて考えているのではなく、非常に戦略的に「戦時中の女性の権利」の問題として世界に訴えることにより、広範な支持を得ていると説明している。
韓国の大統領が誰であれ、慰安婦問題を避けて通ることはできず、また「強制性」いかんに関わらず(それ自体は研究の対象になるべきではあるが)、すでに慰安婦問題が「女性の権利の問題」として世界に受け止められているため、日本がこれを打開しようとする場合、そうした韓国の戦略を踏まえる必要性があるということを強調している。
また、韓国人がときとして「セウォル」号やナッツ姫事件などで非常に情緒的な反応をみせる理由についても本書で取り上げられている「国民情緒法」で理解することができるだろう。
ただ、韓国のこういった「情緒的」な側面ばかりに注目していてはならない。本書で明らかにされている通り、(そして日本人がそうあれと願うに反して)韓国は国際社会において非常に冷徹なプレーヤーであるということをもう一度、肝に銘じるべきであるということを思い出させてくれる。