本書に書いてある事をすべて理解するにはあらかじめの予備知識が必要になりそうです。ただ、前半の未解決問題についてや予想の立て方は読んでいて面白いし、自分としては論文の大まかな流れを理解できただけで満足です。
この本はABC予想という数学の予想について取り上げられている。ABC予想とは1985年に小
...続きを読む平邦彦の「楕円曲線論」で定式化された予想です。この予想は2012年8月30日に望月新一教授が自信のホームページに500ページを超える論文「宇宙際タイヒミュラー理論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」にて発表されたものなかにこの予想を証明しているかもしれないと話題を呼んでいる。
はじめにそもそも数学の予想とはなにかについて触れている。数学者はまず物事を考える時まず予想を立てる。そして、それが正しいかということを検証するのが普通の流れだ。これは科学全般にいえる事だろう。未解決問題には様々なステップがある。1.未解決、2.新しい予想が生まれてそれの解決待ち、3.予想が成立して解決、4.予想が不成立で解決。この4つの段階を具体的に過去に解かれた予想問題を例に説明している。また、その後に実施に数学の予想をたてていくステップを披露している。有限の範囲で手計算でできる事から数学的な現象を観察して予想を立てる。その予想も難解であるなら細分化してより簡単な予想に変換する。
次に絶対数学というものについて説明している。絶対数学とは一元体上の数学です。この絶対数学が今回の主役であるABC予想に大して使われている。また、それとは別にABC予想と素数、ゼータ関数、オイラー積についての関連性について触れている。
正直細かい数学の話は難解でこれ一冊では理解できません。例えば、空間を割るとかそもそもどのように定義されているのかわからないのでどうしようもありません。
ただ、望月新一教授の論文の内容について箇条書きでまとめると
*素数に分解する行為と多項式の因数分解は似ている行為である。
*多項式のABC予想は解決している。
*多項式の場合微分ができるからヒントが多い。
*整数で微分のような事ができれば解決に近づくのではないのか。
*楕円曲線、保型形式、モジュライ空間etcをつかっている。
という事です。