クラスナホルカイ・ラースローの作品一覧
「クラスナホルカイ・ラースロー」の「サタンタンゴ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「クラスナホルカイ・ラースロー」の「サタンタンゴ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
2025年にノーベル文学賞を受賞した
クラスナホルカイ・ラースロー。
そのデビュー作が、ついに日本語訳!
しかも、大好きな国書刊行会さんから出版されるとなれば、
もう読まないわけにはいかないじゃないか。
…これが、ノーベル文学賞作家の描く世界なのか。
世界観、表現力、そして構成。
どれをとっても圧巻だった……!
『サタンタンゴ』クラスナホルカイ・ラースロー
決して、読みやすい物語とは言えない。
なにしろ、改行なし、段落なし。
文字通り、息をつく間もないほどの息苦しさだ。
けれど、その文体こそが、
本書で描かれる閉塞的で息の詰まる世界そのものなのだと思う。
冷たく長い雨が降りしきる、荒れ果てた村。
村人たちは生きる希望を失い、人間関係も冷え切っている。
男たちはそろって酒に溺れ、
女は身体を売る。
誰もが嫉妬と猜疑心にまみれ、
それでも神に救いを求めている。
✧
そんな光景が、延々と続いていく。
蜘蛛の糸に絡め取られるような、
緩慢な死を予感させる物語。
もう、これだけで十分に気が滅入るのだけれど、
ラースローが仕掛けた構成が
悪魔的なまでに素晴らしい。
第一部は第1章から第6章へと進み、
第二部は第6章から第1章へと戻っていく。
まるでタンゴのステップを踏むように、
この世界が永遠に循環し続ける構造になっているのだ…!
エシュティケと猫のミツルのエピソードだけが、
この物語の中で唯一生々しく、
剥き出しの感情に触れられた場面だった。
だからこそ、あまりにもつらい。
これは本当に、どうしようもなくつらかった……
✧
あぁ、もう絶望から抜け出せないんだよ。
本を閉じたあとも、
頭の中には灰色の雨が降り続いている。
たぶん何年経っても、こういう小説は、
『サタンタンゴ』風に表現するならば…(もう影響されてる)
泥濘のように心の底へ沈澱し、
いつまでも残り続けるのだろうと思う。
ちなみに映画版はなんと上映時間が7時間を超えるらしい。
7時間!正気か?正気なのか……?!
たぶんまともに観たら、
こちらまで正気を失うと思う。でもいつか挑戦したい。笑
Posted by ブクログ
世界は泥と腐敗に沈み、残酷な秋の雨だけが、死に絶えた時間のなかを絶え間なく流れる。見えない蜘蛛は静かに巣を織り、あらゆる存在を銀色の繭に捕らえ、世界を永遠の停滞へと縫い留めようとする。
この黙示録的な荒廃は、外部からもたらされた災厄ではなく、無知と怠惰、堕落と依存によって、人間が自らの内側から招き寄せた破滅の風景。
理想主義が死んだ世界で、どうやって生き延びればいいのだろう。暗闇のなかに光を見いだすことも、絶望の底から脱出することもできないのなら、私たちにできるのは、ただ生き残ることだけなのかもしれないが、しかし、生き残ったという事実は、希望が存在した証明にはならない。
雷鳴と雨が戻ってくる。
世界は何ひとつ変わらず、絶望が永遠に反復される。
救済を待ち望みながら、破滅を繰り返す。そこから逃れる術さえ見つからないまま世界は踊り続ける。
Posted by ブクログ
ラジオで紹介されているのを聞いて、気になって読んでみた。
はじめから引き込まれていく!
閉鎖された農場、町から離れたところに住む人々。自らその地を離れて新たな人生を求めることもなく、ただひたすら貧しい暮らしをする。不満だらけだけれど、誰かが助けてくれるのを待つ。
しかしそれはそれで幸せとも言える?
ある日、そのふたりはやってきた!
死んだはずのふたりが!
はじめは、それが人々にとっての恐怖のように書かれていたが、逆だった。この生活から抜け出せる、自由になれる!そんな救世主だった。
はたして、本当に信じ切れるのか?どこか怪しげでもあるふたり。誰もが疑いを持ちながらも、それでも、何かを変えてくれるものにすがっていく。
物語の中はいつも雨で、道はドロドロ
それぞれの心の中もドロドロしている。誰もかれも信用しきれずに、裏切りもたくさん!
ひとつひとつの表現が細かく細かく描かれていて、救いようのない雰囲気がなんとも言えない。
現れたふたりも、一筋の光のような、悪魔のような‥
所々で現れる蜘蛛の糸、姿の見えない蜘蛛に、絡め取られていくようで不気味でしかない。
何かあれば酒場に集まり、とりあえず酒を飲み、不安を紛らわそうとする人々。
踊っていても、踊らされているような、現実なのか、幻想なのか、創作なのか?わけが分からず繰り返していく!何度でも読めてしまう。読まされてしまう?
ノーベル賞文学賞受賞者のデビュー作。日本を舞台にした小説もあるようなのでまた読んでみたい!
Posted by ブクログ
停滞と絶望に慣れ、倦み、恐れ慄き、別れを告げんと足掻く。
救済と進展を諦め、嘲り、希い、我が物にせんと縋り付く。
内心では己を殊更に特別視し、他者を見下し切り捨てんとする醜い傲慢。
なけなしの金を刹那の慰めに使いきり、将来のことなど一顧だにせず。
悪魔の囁きと救済の手の区別がつかない——いや、実は両者は本質的に同じなのかもしれない。
現状から抜け出せると喜び勇んだものの、実際には何も変わらず堂々巡り——そして、本人は決して気付かない……。
2025年にノーベル文学賞を受賞したKrasznahorkai Lászlóのデビュー作。
暗澹な人生を這い回り続ける人々の、滑稽で愚鈍だが生々しいその描写に圧倒された。これはいつ、どこの誰にでも当てはまる——いや、いま読んでいるわたしのことではないか、と。
2026年どころか、わたしの生涯で一二を争うほどの傑作。作者、翻訳者、出版社——本作に関わった全ての人に感謝したい。
また、わたしは翻訳者が勧めるとおり2周した。たしかに「円環」だった。
Tarr Béla監督の映画版(1994)も有名。わたしも以前観たが、7時間超えの長大さには敵わず早々に寝入ってしまった。何がなんだか分からず終いの映画体験であったが、原作を読んだ今なら最後までいけるかも?
“ここを出たところで、容れ物が替わるだけ、罠のなかに捕らわれていることには何ら変わりないのだ”
(第2部第5章)