脳をオフにするというタイトルとは関係なく、集中のメカニズムについての本。
脳についての本は大好物であり、内容によってはマルチタスクは有効であったり、タスクスイッチングの回数を減らす有効性などの話など、どれもこれも面白かった。
人間の脳はずっと集中するようにできていない。
もし私たちの祖先がナッツの皮をむくのに夢中になっていたら、後ろから忍び寄る虎に気付けない。
集中力が保ちにくいのは、生き延びるのに必要なメカニズムである。
しかし現代は虎に襲われることはそうなく、メカニズムだからこそ攻略して、集中力を減衰させないようにできる。
▼「注意残余」と「作業途中」に気をつける
資料を作りながらチャットに返信し、また資料に戻る。この時、脳の一部はまだチャットの内容に気を取られており、目の前の作業に100%の注意を向けることができない。この細かな切り替えが積み重なることで、ミスの発生率は高まり、結果的に仕事の質もスピードも低下する。
タスクを切り替えても、脳の一部はそれまでしていたタスクに気を取られるので、パフォーマンスは一時的に下落する。これを神経心理学では「注意残余」と呼ぶ。
集中を邪魔された場合、その時間だけが削がれるのではない。別のタスクを入れると前のタスクに戻った時も脳の機能上、一部は残る。完全に元には戻らない。
タスクスイッチングをすることで、「注意残余」は必ず発生してしまう。
従い、できるだけタスクスイッチングをおこなさないように集中したいときは、「途切れ」の要素を物理的に断ち切る。
マルチタスクも同様であり、できれば時間を区切って作業を完了させて、別のタスクに切り替えたい。※戦略的マルチタスクとは考え方が違う
作業完了というのも重要で、気が散る仕組みの一つに作業の中断がある。
何かしらやることを残して他タスクに進むと、残タスクに脳の一部がしばれたまま、現タスクにベストパフォーマンスが出せなくなる。
▼集中力が落ちる、断絶する4種類
①刺激が弱い→適度な刺激を並行して与える。
②外部刺激が多い→シャットダウンの仕組みを持つ。
③内部刺激が多い→刺激の外付け。
④エネルギー不足(疲れてる、寝不足)→眠る、食う。
▼①刺激が弱い
アンダー・スティミュレーション(低刺激・刺激不足)とは、脳に与えられる刺激が少なすぎて、集中できなかったり、ストレスを感じる状態をさす。
多くの時間管理術や集中メソッドは、「周囲の刺激をすべて排除し、静寂の中で一心不乱に作業する」ことを推奨する。しかし、神経心理学の視点から見ると、これは必ずしも正しくない。
人間の脳はおもっているよりも、処理できる情報容量が非常に大きい。
そのため、行うタスクの難易度や複雑さが脳の処理能力を下回っている場合、脳のメモリには大きな「余剰」が発生してしまう。
この余剰メモリが放置されると、脳は退屈を感じ、自ら新しい刺激を求めて周囲を探索し始める つまり、集中力が下がる。
これが、単純作業をしているときや、退屈な講義・会議に出席しているときに、無意識にスマートフォンを手にとってしまう原因である。
脳のリソース余りが原因なのでmあえて適度な刺激を追加することで対策できる。
- 対策
・フィジッティング
貧乏揺すり、ペン回し、落書きをする、手を動かすなどして、脳の余剰メモリを物理的に処理する。たまにこういう人がいるけど、刺激が弱いから、脳がそれを埋めようとしている。
これにより、主要なタスクから意識が完全に逸れてしまうのを防ぎ、主タスクへの注意力を維持しやすくなる。
・戦略的マルチタスク
一般的にマルチタスクは生産性を下げると言われるが、それは「認知的負荷の高い複数の作業を同時に行う(例:メールを書きながらウェブ会議の音声を聞く)」場合である。
これに対し、「脳の異なる領域を使用する低負荷な活動」を組み合わせることは、脳を最適な覚醒状態に保つために非常に有効である
例えば、単純なデータ入力をしながら歌詞のない音楽を聴く、歩きながらブレインストーミングを行うといった組み合わせは、脳のメモリ消費バランスを最適化し、集中力を格段に高めることができる。
・負荷の増加
例えば、本を読む時に集中できなかったり、眠い場合は、強引に目を左に左に視線を速く動かして読もうとする。
読む速度を上げることで、読書の難易度は上がり、ほかのことを考えようとする脳の余力(隙間)が減るので集中力も高まり、情報の理解と記憶もはるかに容易になる。
※音楽を聴くことについて
どんな音楽を聴くかによる。もし、何千回も聴いたことのある音楽を聴いているのなら、脳にとって素晴らしい効果がある。私たちの脳は、馴染みのある音楽に意識的な注意を払わない。
そのため、馴染みのある音楽を聴くことは、脳の気が散る余地を埋めるのに最適な方法であり、目の前のタスクに深く集中するのに役立つ。
▼②外部刺激が多い
現代社会において集中力を阻害する最大の敵は、手元のスマートフォンをはじめとするデジタルデバイスから絶え間なく送り込まれる外部刺激である。
メール、SNS、チャットアプリからのプッシュ通知が届くたびに、脳内では「何が起きたのだろう?」という好奇心が刺激され、ドーパミンが放出される。
この刺激に抗うことは、人間の進化的な生存本能(危険や新しい情報をいち早く察知しようとする本能)に逆らう行為であり、強固な意志の力だけで通知を無視することはほぼ不可能である。
ここで生じる致命的な問題が、マルチスイッチング(タスクの頻繁な切り替え)」である。
人間は複数の認知的タスクを同時に処理することはできない。ある作業をしている最中に通知を確認し、また元の作業に戻るという行為は、実際には高速でタスクを切り替えているだけに過ぎない。
スイッチングを行うたびに、脳は莫大な認知エネルギーを浪費し、元の深い集中状態に戻るまでに多大な時間をロスする。
さらに、現代のデジタルプラットフォームには、かつてのアナログメディアに存在していた「停止の合図」が意図的に排除されている。
新聞は読み終えれば終わり、本は章の終わりや最後のページがあり、テレビ番組には番組終了のタイミングが存在した。これらは脳に「ここで一度活動を止め、他のことをしなさい」という自然な停止の合図を送れていた。
SNSのタイムライン、ショート動画、ニュースフィードは「無限スクロール」が設計されており、終わりが一切存在しない。脳は自発的にストップをかけるきっかけを失い、刺激を求め続けて終わりのない無駄時間を生じさせる。
この外部刺激の猛威から脳を守るためには、意思や精神力に頼るのではなく、仕組みと環境によるアプローチが不可欠。
- スマホとPCの注意
・人間の脳は、新しいものや刺激のあるものを好むようにできている。祖先が、身の回りの世界を探索したり、食べるものをさがすために必要だったから。
・人はパソコン作業しているとき、1日平均で500回以上のタスク切り替えを行っている。そうすると常に集中力が高まりにくい状態になる。そして苦戦すると別のタスクに切り替えたくなる。楽だし集中力を必要としないので。結果、ネットサーフィンやSNSを見てしまっている。
注意残余が頻繁に起こり、1つのプロジェクトに集中できなくなる。
・スマホを見たら最後、無限に生産性のない時間が待っている。しかし、人間はそれに抗えない。だから物理的に隠したり、「5分だけ我慢する」を徹底するべき。
- 対策
・スマホを引き出しに入れる
・行動コストを増加させる
スマートフォンのホーム画面からSNSアプリを削除し、ブラウザ経由でのみアクセスするようにしてアクセスにかかる摩擦を増やす。頻繁に見るアプリを非表示にしたり、思い切って削除する
・通知をオフにする
緊急性のない通知をオフにする。
・デジタルデトックス。依存性、中毒性の抑制
朝起きてからの15分間と、夜寝る前の1時間は、スマートフォンやPCなどのデジタル画面を一切見ない時間を設定する。
朝のデジタル遮断:起床直後は脳の感受性が極めて高く、このタイミングでSNSの雑多な情報を取り込むと、その日一日の認知フレームが外部刺激に支配されてしまう。
夜のデジタル遮断:スマートフォンから放出されるブルーライトはメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を著しく低下させる。就寝前1時間はデバイスを完全にオフにすることで、深い睡眠を確保する。
また、デジタルデバイスから解放できる散歩、読書、料理、運動などの活動を取り入れることも、スマホなどなくても生きていけることを認知できるため有用である。
さらに、隙間時間(信号待ち、トイレ中など)の無意識なスマホ閲覧も依存を助長している。
▼③内部刺激が多い
人間の脳は、未完了のタスクや解決していない問題を「常に保持し、監視し続ける」という特性を持っている。これは心理学において「ツァイガルニク効果」として知られる現象である。
脳内に「やり残したこと」や「未処理のタスク」が山積みになっていると、脳はそれらをすべて作業領域であるワーキングメモリに載せたままで処理を続けようとする。その結果、目の前の重要なタスクに割り当てられる認知資源が極端に減少し、パフォーマンス低下を招く。
また、仕事に取りかかろうとしても、別の気がかりな仕事や個人的な不安が頭をよぎり、作業が進まないという状況も内部刺激による集中力低減である。
自分の中で心が彷徨う、別のことを考えてしまうきっかけが多い状態は感情も思考も不安定になり、不安が募る。
- 対策
・脳情報の外部化(ブレインダンプ)
頭に浮かんだ懸念事項、タスクリスト、アイデア、不安をすべて紙やデジタルツールに書き出す。
脳に「これは外部に安全に記録されたため、今は覚えておき、監視し続ける必要はない」と認識させられるので、ワーキングメモリを即座に解放することができる。
・エクスプレッシブライティング
10〜15分間、頭に浮かんだこと(心配・怒りなど)をひたすら書き続ける。
感情のループを閉じやすくなり、破棄もしやすい。
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書籍「スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)」も思い出したので、ログを追記する。
・わたしたちは1日平均2600回スマホに触り、平均して10分に1回スマホを手に取っている
・現代人のスマホのスクリーンタイムは1日平均4時間に達する
・10代の若者の2割は、スマホに1日7時間を費やしている
・人生の数年分がyoutube、Twitter、Facebookに吸い取られている
・SNSが女性からも男性からも自信を失わせている
・心の病が増えた
・youtubeやTwitterで情報を得ている、成長できていると思うのは自己保身の本能。絶対に成長していない
→SNSに時間を使えば使うほど幸福感は減退する。
▼スマホは集中力はもちろん能力を低下させる
・スマホが目の前にある、傍らに置く、認識できる範囲にあるだけで学習効果、記憶力、集中力は低下する
・スマホを無視することが脳にとって、能動的な行為でありエネルギーを要するため抗いにくい
・スマホがなくなると、脳から生存のために大切なものがなくなってしまったと強い警報が鳴る。ドーパミンをくれるものを取り戻せ、今すぐに!ってなる。
・比較は喜びを奪う
デジタルな嫉妬、羨望はストレスに直結する。インスタグラマーが完璧に修正してアップした画像に比較を受ける。高いお店で買い物したりブランドをもつ姿を何度も見て、人生はこうあるべきだらという基準が意味不明なレベルに設定され自分が最下層に感じる。嘘ばかりの収入や事業売り上げをまに受けて自分や自分のいる環境を呪う。毎日毎日、自分より賢い人や成功している人がいる情報が常に差し出されるため、過去にないくらい比較がおこなわれる。本当に比べるべきは過去の自分と今の自分であり、他人との比較は不幸の連鎖にしかならない。
▼スマホ依存の理屈~SNSには脳の報酬中枢を煽る仕組みがある~
私たちの脳はまだサバンナで狩猟採集していた頃と変わっていないのに、生活環境は一変した。
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脳に埋め込まれた生存本能は、きわめて安全な現代においても機能が変わっていない
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スマホは、インターネットやSNSを通じて我々に常に「新しい情報」をもたらす。
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その新しい情報の獲得は、周囲のあらゆる生き物や環境について詳しくなることを意味してきた。かつては生存の可能性を著しく向上させてきた。
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スマホは、手軽に大量の「新情報」を我々に提供し続ける。それを得る度、私たちの脳は報酬系の脳内物質であるドーパミンを出し続ける。
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人類の多くがスマホを手放せなくなっても不思議ではない。
人間は新しい情報で生きてきた。簡単に新情報にアクセスできるスマホの存在は、脳にドーパミンを分泌させ、どんどん「新しい情報を得たい」という状態にさせる。
それが連鎖していき、スマホをやめられなくなる。