作品一覧

  • ペドロ・パラモ

    ペドロ・パラモ

    小説・文芸

    4.4
    1巻792円 (税込)
    ペドロ・パラモという名の,顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく.しかしそこは,ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった…….生者と死者が混交し,現在と過去が交錯する前衛的な手法によって紛れもないメキシコの現実を描き出し,ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作.(解説 杉山 晃)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 黄金の軍鶏

    黄金の軍鶏

    小説・文芸

    3.4
    1巻2,787円 (税込)
    賭けに飛び込め! 運命を挑発しろ! ガルシア=マルケスをはじめ数多の作家に影響を与えたラテンアメリカ文学ブームの先駆者にして、メキシコの国民的作家フアン・ルルフォ。 デビュー作『燃える平原』、不朽の名作『ペドロ・パラモ』に続く、その文学的終着点が、本邦初訳でついに登場!! メキシコのとある田舎町。片腕の不自由なディオニシオ・ピンソンは、町の知らせを大声で触れ回るお触れ屋をささやかな生業として、病身の母と貧しく暮らしている。 ある夜、闘鶏で深手を負った一羽の軍鶏を譲り受けたところから、彼の人生は思いもよらぬ方向へと転がりはじめることとなる。 やがて息を吹き返した"黄金の軍鶏"は、闘鶏で勝ち続け、富と名声を彼にもたらす。 こうして町から町へと渡り歩き、賭けと歓声の中に生きる道を見出したディオニシオは、ある日、妖艶で抜け目のない巡業歌手ラ・カポネーラと出会う。世知に長け、男たちの欲と金のにおいを嗅ぎ分ける彼女と行動をともにして、彼は勝負の世界の裏側を知り、ますます運に身を委ねてゆくのであった。 欲望と勝利の陶酔、目に見えぬ運命の鎖に引きずられ、孤独な男が行き着く先は……。 巨星が放つ最後の閃光! ガルシア=マルケスとカルロス・フエンテスの脚本によって映画化もされた、欲望と宿命の物語。

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ユーザーレビュー

  • ペドロ・パラモ

    Posted by ブクログ

    さあね、何年も顔をあげなかったもんだから、空のことなぞ忘れちまったよ。ま、空を仰いだって、どうにもなりゃしなかっただろうよ。天はうんと高いし、目もずいぶん弱ってたから、わしにゃただ地面だけ見えてりゃ言うことはなかったからね。それに、天国へはもう決して行けない、遠くからだって見られやしないってレンテリア神父が言うもんだから、もうどうでもよくなっちまった……。わしの罪のせいさ。でもな、神父様はそんなことなぞ言わなくてもよかったのさ。生きるってことだけで、もういいかげん苦しいんだから、死んだら別の世界へ行けると思うからこそ、足を動かす力も湧いてくるってもんだろう。天国から門前払いを食わされちゃあ、あとは地獄の門をくぐるしかない。それじゃあ生まれてこなけりゃよかったってことになる……。なあ、フアン・プレシアド、わしにとっての天国はここさ。わしが今いるここだよ。

    0
    2026年02月21日
  • ペドロ・パラモ

    Posted by ブクログ

    亡き母との約束を守るため、顔も知らない生き別れの父を探す青年が辿り着いたのは、ひとけのないゴーストタウンだった。女たちのささめきに導かれがらんどうの町をさまよう青年の父探しと、父ペドロ・パラモが町を支配していたころの記憶が交錯し、地上の煉獄のように死者が留まり続ける円環的な世界を描いたメキシコの名作。


    マリアーナ・エンリケスやベンハミン・ラバトゥッツを通して南米面白い!となっていたところに、ネトフリで本書の実写版映画(2024)を発見してそちらを先に見た。眩い太陽の下でゴーストタウンと化した20世紀のメキシコの町が美しく、女性たちの演技も印象的で、これは原作も好きな気がする、とすぐに注文した。
    これが本当に素晴らしく私の好みにバッチリで、なんで今まで出会えなかったのか不思議になってくるくらい。スペイン語圏の作家・批評家のあいだでは『百年の孤独』と並び評され、名作として名高いのだそうだ。
    母の語りだけを頼りにやってきた青年フアンの足取りと彼の父だったペドロの記憶が混じり合いながら断片的に語られていくのだが、次第に彼らだけではなく、エドゥビヘス、ダミアナ、ドロテアら女たちの声、フルゴルやレンテリア神父のようなペドロに反発しながら屈服した男たちの声が重なり合い、こだまし合って、コマラという町に封じ込められた時が迷宮のように立ち現れてくる。小説家には目がいい人や空間把握が優れている人などがいるが、ルルフォは耳のいい人だったんだと思う。死者のささめきだけがこだまする町で再演され続ける在りし日々の記憶。それはレンテリア神父の矛盾と苦悩が象徴するように、カトリシズムとメキシコの風土との混淆のうちに捏ね上げられた白日の下の煉獄のようだ。
    そしてコマラとメディア・ルナというペドロの領地から離れた女たちの声が、その煉獄にまた異なる彩りを添える。前半はフアンに語りかける生前の母・ドロレスの声。後半はペドロによってコマラに呼び戻されながら、夫との幸福な日々の夢想に浸りきるスサナの声。フアンを妊娠中にペドロと離別したドロレスは死に際にコマラの美しさを語り聞かせる一方、スサナは父母の記憶を除いてコマラの外で過ごした記憶に生き、コマラに閉じ込められた肉体のほうの生活はもはや顧みない。スサナとの思い出を抱えてコマラを牛耳り、彼女との再会を夢みて生きてきたペドロとの対比が残酷に描きだされる。
    タイトルは『ペドロ・パラモ』だが、むしろ彼の強権的な力に踏みにじられながら生き延びてきた者たちの視点で書かれている。地上の経済と天界の崇高との板挟みで苦しんでいるレンテリア神父が残酷に切り離し、見捨てた者たちのことも。フアンに水や食べ物を与えてくれる女が近親相姦をしているというエピソードは強烈に印象付けられるが、彼らの姿から直接描かれることのないスサナと父の関係をも窺い知れるし、スサナがレンテリア神父に最期まで心を開かなかった意味も察することができる。誰のための祈りなのか、何のための告解なのか。かつて神父に拒絶され、フアンと同じ墓を分け合うことになったドロテアはこう語る。
    「生きるってことだけで、もういいかげん苦しいんだから、死んだら別の世界へ行けると思うからこそ、足を動かす力も湧いてくるってもんだろう。天国から門前払いを食わされちゃあ、あとは地獄の門をくぐるしかない。それじゃあ生まれてこなけりゃよかったってことになる……。なあ、フアン・プレシアド、わしにとっての天国はここさ。わしが今いるここだよ」。
    語り手すらも既に死者となった世界で円環的に閉じた土地の記憶が語られるという構造は、かつて読んだフリオ・リャマサーレスの『黄色い雨』を思いださせる。きっとリャマサーレスもスペイン語圏作家としてルルフォの影響を受けているのだろう。『黄色い雨』はタイトルが示す通り腐食を象徴する黄色と緑の視覚的イメージが強烈だったが、この『ペドロ・パラモ』に満ちるのはひたすらに声、声、声。生者としては発せられることのなかった、魂のこだまとしての声ばかりである。

    0
    2025年12月22日
  • ペドロ・パラモ

    Posted by ブクログ

    文体と物語、過去と未来、生と死、全てが渾然一体となっている。独特の読み味に病みつきになって、いつまでもコマラから出たくなってしまう恐れがあるので注意。

    0
    2021年06月02日
  • ペドロ・パラモ

    Posted by ブクログ

    初読は高校の課題図書。

    メキシコの片田舎、父を探して主人公がたどり着いたのは死者の町だった・・・といった話なのだがストーリーは当時全く意味不明。ただ、砂ぼこり舞う真っ白な道、陽炎に揺れる怪しげな街、という描写は異様に頭に刷り込まれている。
    「燃える平原」にひっくり返り再読。

    2017年12月14日付The Economistによると、魔術的リアリズムの元祖でもあるルルフォは、実はフォークナーの影響を受けているらしい。あれだけ土俗的なラテン・アメリカ文学が北米の作家の系譜に連なるのも意外と言えば意外。

    “The reader gradually realises that all the novel’s characters are dead. It is modern because it frames a reality rather than merely describing it, and because time in it is simultaneous, not sequential, as Carlos Fuentes, a later Mexican writer, noted.”(記事より引用)。

    物語の中で時間は順を追っては流れない、同時に生起する。まさに最も”modern”なことをこの作家はやっていたということだ。

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    2019年01月03日
  • ペドロ・パラモ

    Posted by ブクログ

    2008年11月27日~28日。
     結構な数の登場人物。男も女もいる。ほとんどは死者。そんな死者が時空をあっちこっちヒョイヒョイと駆け巡る。語り口も一人称からいきなり三人称に変わったりする。最初は面喰う。
     それぞれの断片が大きな流れになって物語を織りなす。そして最初に戻る。終わらない。ウロボロス。
     ちょっと気を抜くと振り落とされるか迷子になるかおいてけぼりを食らう。でも心配はない。一度はまってしまえば気を抜くことも許されない。
     間違いなくもう一度読み返すだろう。久しぶりに心底面白い作品に出会えた。

    0
    2018年01月06日

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