作品一覧

  • 時の睡蓮を摘みに
    3.3
    1巻2,090円 (税込)
    1936年、旧弊な日本を逃れ、父が綿花交易を営む仏領インドシナで地理学を学ぶ滝口鞠は、外務書記生の植田や、暗躍する商社マンの紺野、憲兵の前島らとの関わりにより、非情なる植民地の現実に触れていく。世界大戦の時代を生きる、ひとりの日本女性の運命は? 第13回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作!
  • 南洋標本館
    4.2
    1巻2,420円 (税込)
    日本統治下台湾の植物学者たち──南洋探検が織りなす人生のランドスケープ 僕らで南洋植物専門の標本館を作らないか?──日本統治下の台湾。漱石を読み、端正な日本語を話す陳は、台湾生まれの日本人・琴司と共に植物学者を志した。だが養父母の期待を背負った陳は、意思とは裏腹に医学の道へ。琴司は台北帝大に進み、帝国委任統治領南洋群島への採集旅行に出掛けた。一方、自らの道に行くと決めた陳は、陸軍属の技師としてニューギニア探検へと向かう。波瀾の運命を生きる台湾人青年の大ロマン

ユーザーレビュー

  • 南洋標本館

    Posted by ブクログ

    日本の台湾統治50年。とても長い。それによって生まれる歪みは、人々を翻弄する。それでも植物学者たろうと生きる陳と琴司。おもしろい。もうちょっと陳の米国での葛藤も読んでみたかった。

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    2025年11月15日
  • 南洋標本館

    Posted by ブクログ

    著者のアガサ・クリスティー賞受賞後第一作。在台日本人と台湾生まれの本島人の男性二人が共に南洋探険と植物学研究を志すも、一方は戦争のために、もう一方は本島人というアイデンティティゆえにそれぞれの壁にぶつかっていく、というストーリー。
     
     物語の展開もさることながら、歴史的背景のディティールが現在の研究の水準に拮抗するレベルで精緻に、かつ生彩ある形で書き込まれていて、著者の力量を感じさせる。中でも著者は、在台日本人・琴司のパートよりも、本島人・陳永豊のほうにより焦点を当てていく。陳(台湾語読みで「タン」と読ませる)の実父は台湾民主国のリーダーのひとりで、彼はその父の最期を知る本島人の通訳によって

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    2025年11月02日
  • 南洋標本館

    Posted by ブクログ

    前作「時の睡蓮を詰みに」で感動し、待ってました、この作品!もう圧巻!これほんとにフィクションなの?そいでお一人で書いてるの?…凄すぎる。今1番気になる作家さんです!語彙力なくてすみません。日本人必読。やっぱり学校の歴史って公平に教えてないのだなと思う。いやそれはどの国も仕方のないことか…。ただただ戦争は起こらないでほしいと、みんな仲良くしようぜ…と祈るだけのへなちょこ日本人です…。お会いしてみたい。ダ・ヴィンチあたりで特集してもらいたい。そして、個人的に当たりの本はいつも坂野公一さん装幀だ!

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    2025年10月18日
  • 南洋標本館

    Posted by ブクログ

    戦時中の出来事は全然知らないので少しずつ知識を深めていきたいと思わせるような小説だった。1週間もかかって読み終えた2人の植物学者のドラマは波瀾万丈でお金があってもこの時代、占領下にあったらなくなってしまう。生きていくのにお金ではなく意志の強さ、情熱が必要でしぶとさもなくてはいけない。すごく考えさせられる内容と分厚さで久々に長く付き合った一冊だった。
    でも諦めずに読んでよかったし、途中でやめることができないぐらいに没頭した。

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    2025年09月21日
  • 南洋標本館

    Posted by ブクログ

    〈「琴司君、どうだろう。きみはこれから内南洋の植物を究めて、僕は外南洋を究める。そうしていつか、僕らで南洋植物専門の標本館を作らないか?」〉

     父親を不当に処刑されて、富豪の陳家の貰い子となり、陳永豊と名乗るようになった台湾人の少年は、大正十一年、総督府高等学校尋常科に入学する。ほとんどが日本人が占める学級内で、夏目漱石を愛読し、清らかな日本語を扱う陳と同級生になった台湾で生まれ育った生田琴司は友情を育んでいく。植物を愛するふたりにとって、植物をひたむきに追いかけ続ける人生こそが、一番の望みだったのかもしれないが、戦争の暗い影はそれを許してはくれなかった――。

     彼が陳永豊と名乗るまでの壮

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    2025年07月18日

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