作品一覧

  • ハルムスの世界

    ハルムスの世界

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,683円 (税込)
    出来事=偶然の超短篇 「ある日のこと、オルロフはえんどう豆のピュレをいやというほど食べて死んだ。クルィロフはそのことを知って、やはり死んだ。スピリドノフは勝手に死んだ」 (「出来事(ケース)」より) 長くソ連では当局に禁止されていたものの、いまやロシアはもとより、欧米諸国でカルト的な人気を集めているダニイル・ハルムス。ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、そのミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理で、「ロシア文学」のイメージを颯爽と覆す。 代表作である生前未刊行の短篇集『出来事(ケース)』と、訳者がセレクトした短篇38篇からなる旧版に、新たに訳出した10篇〈アンコール・ハルムス〉を加えた増補版として待望の復刊。岸本佐知子氏推薦!
  • エリザヴェータ・バーム/気狂い狼 オベリウ・アンソロジー

    エリザヴェータ・バーム/気狂い狼 オベリウ・アンソロジー

    小説・文芸

    -
    1巻3,190円 (税込)
    ダニイル・ハルムスの原点、伝説のグループ「オベリウ」の全貌がついに明らかになる──。 100年前、無名の若者たちによって結成された「オベリウ」(ОБЭРИУ)は、20世紀前半のロシアにおける文学的実験の極致をきわめた。ダニイル・ハルムスの「エリザヴェータ・バーム」「出来事」新訳、これまで未邦訳だったニコライ・ザボロツキー「気狂い狼」、コンスタンチン・ヴァーギノフ「スヴィストーノフの仕事と日々」、レオニード・リパフスキー「水論」など、この伝説のグループ周辺12名の代表作を網羅した世界初のアンソロジー。 ◎本書作品収録作家……ダニイル・ハルムス/アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー/ニコライ・ザボロツキー/コンスタンチン・ヴァーギノフ/イーゴリ・バーフチェレフ/ドイヴベル・レーヴィン/ユーリイ・ウラジーミロフ/アレクサンドル・ラズモフスキー/クリメンチー・ミンツ/ニコライ・オレイニコフ/レオニード・リパフスキー/ヤコフ・ドゥルースキン 【目次】 100年前、無名の若者たちによって結成された「オベリウ」(ОБЭРИУ)は、20世紀前半のロシアにおける文学的実験の極致をきわめた。ダニイル・ハルムスの「エリザヴェータ・バーム」「出来事」新訳、これまで未邦訳だったニコライ・ザボロツキー「気狂い狼」、コンスタンチン・ヴァーギノフ「スヴィストーノフの仕事と日々」、レオニード・リパフスキー「水論」など、この伝説のグループ周辺12名の代表作を網羅した世界初のアンソロジー。 ◎本書作品収録作家……ダニイル・ハルムス/アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー/ニコライ・ザボロツキー/コンスタンチン・ヴァーギノフ/イーゴリ・バーフチェレフ/ドイヴベル・レーヴィン/ユーリイ・ウラジーミロフ/アレクサンドル・ラズモフスキー/クリメンチー・ミンツ/ニコライ・オレイニコフ/レオニード・リパフスキー/ヤコフ・ドゥルースキン 【著者】 ダニイル・ハルムス 詩人・作家・劇作家。ペテルブルク生まれ。27年には詩人仲間と共に前衛的な芸術家グループ「オベリウ」を結成。30年代は主に児童文学の分野で活躍。スターリン政権下で弾圧に遭い、41年に逮捕。翌42年に監獄病院で餓死した。代表作に『エリザヴェータ・バーム』『出来事』『ばあさん』など。 アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー 詩人・劇作家。31年に逮捕、翌年釈放されるが、流刑地を転々としたのちレニングラードに帰還。36年にハリコフへ移住。41年に再び逮捕、カザンへ移送される途中に肋膜炎で死去。代表作に『イワーノフ家のクリスマス』『灰色ノート』『挽歌』など。 ニコライ・ザボロツキー 詩人・翻訳家。ハルムスやヴヴェジェンスキーたちと共に「オベリウ」立ち上げに参加。「オベリウ宣言」の主要部分を執筆する。代表作に『気狂い狼』『農業の勝利』など。 コンスタンチン・ヴァーギノフ 詩人・作家。21年に「島民」グループを結成。その作品集において初めて詩が活字となる。20年代末から4つの長篇小説を次々と執筆。創作意欲は旺盛だったが、34年に結核で死去。代表作に『山羊の歌』『スヴィストーノフの仕事と日々』など。 イーゴリ・バーフチェレフ 詩人・作家・劇作家。詩の夕べでハルムスに出会う。26年、仲間と共に演劇グループ「ラジクス」を結成。やがて解散するが、このグループが母体のひとつとなり、27年に「オベリウ」が誕生。代表作に、ザボロツキーを始めとするオベリウ派の回顧録『私たちの若かった頃』、戯曲『冬の散歩』など。 ドイヴベル・レーヴィン 作家・脚本家。27年、「オベリウ」立ち上げに参加。「左翼の三時間」のパフォーマンスを考え、戯曲『エリザヴェータ・バーム』の演出をハルムスおよびバーフチェレフと共に担当した。代表作に長篇小説『十車両』『リホヴォ』など。 ユーリイ・ウラジーミロフ 詩人・作家。創作は全部で10篇程しか現存せず、本書収録の『スポーツマン』は唯一の大人向け作品。 アレクサンドル・ラズモフスキー 作家・劇作家・脚本家・映画評論家。「オベリウ」時代の友人バーフチェレフと共同で多くの作品を執筆したことでも知られ、とりわけ戯曲『スヴォーロフ元帥』は大成功を収めた。 クリメンチー・ミンツ 映画監督・脚本家。国立芸術史研究所附属芸術学高等コース映画科でラズモフスキーと出会い、27年、共に「オベリウ」に加入。脚本や監督を務めたコメディ映画は大成功を収めた。代表作に、映画『虎使いの女』、ラジオ番組『有名船長クラブ』など。 ニコライ・オレイニコフ 詩人・作家・編集者。25年からレニングラードの国立出版局児童書部門にて、マルシャークやシュワルツと共に編集者・作家として働く。編集を務めた児童雑誌『ハリネズミ』と『マヒワ』には「オベリウ」のメンバーも寄稿し、親しく交遊した。しかし37年に逮捕、銃殺される。代表作に『ゴキブリ』『ハエ』。 レオニード・リパフスキー 哲学者・児童文学作家。20年代から30年代にかけ、「チナリ」のメンバーたちを自宅に集め親しく交遊。41年にレニングラードの港湾都市ペテルゴフにて戦死。代表作に『水論』『恐怖の研究』『言葉の理論』。 ヤコフ・ドゥルースキン 哲学者・数学者・音楽研究家。独ソ戦が始まりレニングラードが封鎖されると、ハルムスの妻から夫の原稿の入ったトランクを託される。20年にわたりそのトランクを大切に保管しつづけたが、ハルムスの死が明らかになると、原稿を地下出版で広めはじめる。代表作にエッセイ『チナリ』、ヴヴェジェンスキー論『無意味の星』など。 小澤裕之 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学ほか非常勤講師。専門はロシア文学。著書に『理知のむこう――ダニイル・ハルムスの手法と詩学』(未知谷)、訳書にダニイル・ハルムス『言語機械――ハルムス選集』(未知谷)、サムイル・マルシャーク『森は生きている~12の月のおとぎ話~』(小学館)、最近の論文に「ゴーゴリ「査察官」の忘れられた初邦訳:底本・文体・受容」(『ロシア語ロシア文学研究』56号)がある。

ユーザーレビュー

  • ハルムスの世界

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    『ところで、何の話をしていたのでしたっけ? 何も存在していない、ということでしたよね。中にも外にも何も存在していないのなら、瓶も存在していないということになりませんか? そうですよね? けれども、次のようなことを考えてみましょう。中にも外にも何も存在していない、というのであれば、何の中や外のことなのか、という疑問がわいてきますよね。つまり、何かは存在しているわけです。あるいは何も存在していないのかもしれません。でも、それならなぜ中とか外とか言うのでしょうか? いや、これは明らかに行き詰まり状態です。もう何をお話しすればいいのかわかりません。では、さようなら。』―『現象と存在について No.2』

    ロシア独特のユーモアセンスで語られる小噺、アネクドートを思い起こさせるハルムスの不条理な話を集めた一冊。アネクドートではしばしば政治的な皮肉が語られたりするけれど、スターリン体制下以降ペレストロイカまでは公に政治的な批判を口にすることは憚られなければならなかったことは言うまでもない。そもそもアネクドートという言葉は、ギリシャ語のアネクドトス(anekdotos)「公にされなかったもの」という意味だというのだから、公に出来ない話を喩え話にして笑い飛ばす文化というのは「冗談」でも笑えない話である。そんな体制の真っ只中で、喩え話よりも一歩進んで一見何の意味もない不条理な話を書き続けたハルムスの作品は、その不条理さこそが体制批判であっただろうことは部外者にも容易に想像がつく。

    不条理さに満ちた話であったとしても、ハルムスの言わんとしたことは、ところどころ伝わるものがある。どの話も筋らしい筋はないし起承転結も整ってはいないのだが、誰かの事を皮肉たっぷりに当て擦っているのだということが解るのだ。当時の状況を身を以て体験していない自分でさえそう感じるのだから、渦中にいた人々であれば具体的に誰の何の行為のことを言っているのか、容易に想像がついたのだろう。それはすなわち凶弾されている当局も敏感に感じ取るところでもあり、作家の身に危険が及ぶことを意味してもいたのだろう。作品の間にところどころ挿入される解説を読むと、その危惧が危惧に終わらなかったことが記されている。

    翻訳者の解説によるハルムスの人となりに関する情報は、確かに作品を理解する上でヒントとなる。しかし、このような不条理さをとことんまで追求した作品に、第三者的な視点による「理解」というものが必要なのかどうか。何故なら理解とはどこまでも「理屈」によるものであり、ここに収められた作品はどれもそんな「理屈」を拒否しているようにしか思えないからだ。そしてそんなハルムスの言葉が生まれた背景や経験を理解せずとも、感じられるものは依然として存在する。アネクドートのように、単純に笑い飛ばしてしまう(その笑いは詰まるところ、諧謔を経ての達観、あるいは諦観が土台となっている)ことすら拒絶する、より強固な不条理さ。非日常的な不穏さがこれでもかと描かれることで、逆説的に、理不尽さに満ちた日常が作家を取り巻いていることが伝わる、と言えばよいのか。

    そしてそれが過去のとある国に限定された状況ではなくて、ひたひたとありとあらゆる場所を蹂躙しつつある気配が漂う今を思い返して見ざるを得なくなる。なんてことを言いつつ、こういう本の感想は自分の中の疑問符を曝け出すしかないってことも一応言い残しておこう。

    0
    2024年04月19日
  • ハルムスの世界

    Posted by ブクログ

     スターリン体制下のソ連における作家活動は想像を絶する。異形の奇妙な作品群は、シュルレアリスムのそれとは趣を異にする。どこかしら日本のプロレタリア文学との共通点を感じる部分もあるが、それとも違う。一見、ユーモラスに書かれているが(特に児童向け?作品において)本当に笑っていいのか躊躇する。一つひとつの作品において、自分が試されているような息苦しさを感じる。

    0
    2024年01月02日
  • ハルムスの世界

    Posted by ブクログ

    正直に言って、ちゃんと理解できた話はひとつもなかった。でも、何だか面白くて……そして不気味で、不安になった。

    印象に残ったのは、
     〈みんなお金が好きだ〉
     邪魔
     関係

    0
    2025年05月09日
  • ハルムスの世界

    Posted by ブクログ

    ゼンマイ仕掛けの人形が、同じ場所を永遠にくるくる回っているようなイメージが浮かんだ。
    意味のない言葉の羅列。
    ナンセンスにつぐナンセンス。
    あたらしい読書の楽しみ方を見つけた。

    合間にある解説も良い。

    0
    2024年05月02日
  • ハルムスの世界

    Posted by ブクログ

    ジャケ買い。暇つぶしにサクッと楽しめる短編集だった。
    正直いちいち全部の話は覚えていないけれど、「なんじゃこれ、わけわからん」とかなんとか思いながらずっとニヤニヤ笑いながら読んでいたことははっきり残ってる。
    ・色んな人がしょうもない死に方を繰り返す
    ・「どうでもいいからこの話は辞める」と話をぶった切って強制終了する
    というような内容が、呟きのように淡々と脈絡なく続いている感じ。
    オチの無い話が苦手な人にはおすすめしません。

    0
    2024年03月24日

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