益田肇の作品一覧
「益田肇」の「人びとの社会戦争 日本はなぜ戦争への道を歩んだのか」「人びとのなかの冷戦世界 想像が現実となるとき」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
読み応えがあり、知らなかった大正昭和が見えてくるとともに、現代を見ているような恐ろしさがあった。当時の市井の人々の日記、手紙等を丁寧に読み込み、時代の空気を再現する手法は高い専門性あってのことだろうが、庶民の声だからこそ読者に直接響くとともに、時代の空気感というふんわりしたイメージを具体的にあぶり出していて感服した。
知の冒険としては、とても楽しかった一方で、特定の思想に強くコミットした人々が突如現れるのではなく、その時その時の「解放」と「引き締め」双方の立場にとって、最もフィットするイデオロギーに一気に流れ込むという現実、しかも、それは繰り返されるということに空恐ろしさを感じた。
きっとこの本同様通読だけでも大変そうだが、著者の他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
"戦争は政府や軍部の暴走で起こったのではなく、国民が戦争を望む気持ちを内面化していったから起こったのだ"ということを、日記や新聞記事から丹念に拾い集めた市井の人の声から解き明かしていこうと試みている。
2ヶ月くらいかかったけど、解放の時代だった大正時代から一転、保守的な方向を望む当時の人々が戦争に向かっていく様子が臨場感に満ちていて、飽きることなく読み切れた。
最後の章では歴史を現代の視点で読み解くことの危うさを丁寧に丁寧に説明していて、今の、そしてこれからの日本で戦争を起こさないために私たちはどうすればよいか、考えさせられた。
圧倒的な量の資料を読み込むことで「歴史はこうしてたくさんの人々のいろんな思惑が複雑に絡んで、しまいには誰の手にも負えない転がり方をするものである」という危うさを存分に考えさせられる。巻末の注と参考文献ページの多さが信頼の証。
乱暴に要約すると、当時の政権は「戦争に踏み切っても勝てる見込みはない」と踏んでおり、アメリカにとっても日本を攻撃したところで何のメリットもないという判断だったのに、アメリカが攻めてくるぞ!とあおった大衆への人気取りのために政府は開戦に舵を切らざるを得なかった、と。
上げない声は届かないし、政府に都合よく解釈する余地を与えてしまう。戦争は政府が勝手に始めるんじゃなく、大衆の声を拡大解釈することで始まってしまうんだよ。それは国民がそうしたがっていたのと同義になってしまうんだよ。だからね、どんなに揶揄されようが「戦争反対」は声に出し続けないとダメなんだよ。
ということを、つよくつよく感じました。
Posted by ブクログ
昨年の戦後80年というモーメントでは日本が行った戦争についての書籍に数々巡り合い集中して読んできました。そのどれもが興味深く、また現在を考えるための視点を与えてくれました。80年という時間はたまたまの8回目のディケイド、というだけですが、それは日中戦争から太平洋戦争までの出来事を冷静に分析するための資料を蓄積し研究者を育成するために必要な期間だったのかもしれないと思っています。同時にこの社会から戦争の記憶を持つ人々が去っていくタイミングでもあります。ある種、今しかない現在性がこのテーマ関連の書籍の充実に繋がっているのではないでしょうか。本書はその中でも非常に大きなインパクトを持っていました。ある新聞で本書にも登場する社会学者である佐藤卓己が「戦後80年の必読書なら、迷わず本書を挙げる」と評しているのに触れて手にした本です。まさにその通り。「社会戦争」という著者ならではのキーワードによって「らしさ」をめぐる「解放」と「引き締め」の相剋という視点によって、先の戦争が「ぼくたちの好きな戦争」(小林信彦の小説、全然関係ないけど引用しちゃいました…)であったことを論考していきます。開戦前のポピュリズムの暴走にページめくる手が止まりませんでした。ひとりひとりの自己肯定感の希求が社会を変えていくドミノ現象、それは次々繋がって為政者が出来るだけ避けたかった戦争に至る過程、戦争責任という言葉の意味がわからなくなりました。そしてこれは80年前の状況ではなくて現在進行形の歴史でもあることに動揺します。DE&Iはこれからどうなるのか?たまたまNHK映像の世紀バタフライエフェクトでは昭和天皇を前後編で取り上げていましたが、視聴しながら本書であまり語られない天皇という存在が、あの時代、日本人を統合する役割を仮託されていたのだと感じました。この後、女性天皇を認めるかどうか?という議論は実は本書の延長線上にあるのでは?まさに過去を知ることは未来を知ること、を今、実感しています。