あらすじ
近代化を成し遂げた大正期以降,解放と引締めをめぐる「戦い」が,人びとの日常のなかで激化し,ついには本当の戦争へと至るまでを描く.軍部が起こした戦争に巻き込まれた国民という視点からは抜け落ちる,人びとの「社会戦争」のダイナミズムから近現代日本の実像を追う.大佛次郎論壇賞,毎日出版文化賞受賞者の渾身の大作.
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Posted by ブクログ
「解放/自由/個人」を求める人びとと「引き締め/秩序/一体感」を求める人びとのせめぎ合い(著者の言う「社会戦争」)という視点で20世紀前半の日本史を描き直す試み。そのために紹介される膨大な一時史料がどれも面白く臨場感がある。二段組で574頁の大部だが苦もなく読める。個人の多様性を重んじる立場と世間の中で己の分をわきまえることを重んじる立場は、近世•近代以降のどの時代でもどの地域でもせめぎ合ってきたようで、今日世界中で起きている多様性を巡る対立もその一つに過ぎないのかもしれない。これからしばらくは世界的に「引き締め」優位の時代になるのだろうか。その次にまた「解放」優位の時代が来るにしても、なんとも息苦しい。
Posted by ブクログ
「普通の人々」がなぜ戦争に惹かれ、支持したのか、膨大な一次資料を使って検討した本でとても面白かった。戦争が決してトップダウンで始まったわけではないこと、世論の暴走の恐ろしさ、人の生き様に口を出してしまう人間の性とその行き着く先、この本で書かれている社会戦争が今も続いてるな、と確かに思えること。いろいろ考えてしまう本だった。