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  • 人類の深奥に秘められた記憶

    人類の深奥に秘められた記憶

    小説・文芸

    4.6
    1巻3,630円 (税込)
    【ゴンクール賞受賞作】 なぜ人間は、作家は、“書く”のか。根源ともいえる欲望の迷宮を恐ろしいほどの気迫で綴る、衝撃の傑作小説! セネガル出身、パリに暮らす駆け出しの作家ジェガーヌには、気になる同郷の作家がいた。 1938年、デビュー作『人でなしの迷宮』でセンセーションを巻き起こし、「黒いランボー」とまで呼ばれた作家T・C・エリマン。しかしその直後、作品は回収騒ぎとなり、版元の出版社も廃業、ほぼ忘れ去られた存在となっていた。 そんなある日『人でなしの迷宮』を奇跡的に手に入れ、内容に感銘を受けたジェガーヌは、エリマン自身について調べはじめる。 様々な人の口から導き出されるエリマンの姿とは。時代の潮流に翻弄される黒人作家の懊悩、そして作家にとって “書く”という宿命は一体何なのか。 フランスで60万部を突破、40か国で版権が取得された、2021年ゴンクール賞受賞の傑作。

ユーザーレビュー

  • 人類の深奥に秘められた記憶

    Posted by ブクログ

    久しぶりに読む骨太の海外文学に一抹の不安を覚えながらページを捲り始めたが、すぐに作品世界に引き摺り込まれ、読破するまでは読んでいない時も心が作品世界の中に居続ける、そんな強いグリップ力の作品だった。
    色んなテーマが含まれた盛りだくさんな作品だが、メインの舞台を両大戦をまたぐ時代にしたことがかなり深みを与えている。登場人物はそれぞれ固有のテーマや問いを抱え生きているが、それらも結局は大きな時代状況に巻き込まれれば、時に儚くあっけなく、その人物の生とともに消えていく。
    しかしその事実は決して個人の実存の価値を損なうものではないと思う。あるいは、この作品のような文学によって表象されることでその価値が保たれているのかもしれない。
    日本人は、植民地主義の加害者でありながら、西洋文化の「侵略」を免れているわけでもないという、複雑な立場にいると思う。そんな立場から、自分たちを支配し、破壊する者たちの文化や伝統に対する愛に囚われてしまった者のジレンマは他人事ではなかった。

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    2026年06月14日
  • 人類の深奥に秘められた記憶

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    正体が謎のアフリカ作家の、その作家唯一の書である「人でなしの迷宮」に魅せられ、跡を追うというあらすじがミステリー風を思わせるようで購入しました。
    しかし、とにかくボリューミーな内容で良い意味で裏切られた作品でした。(文字通り分厚い本ですし)
    登場する人が皆、過去に過酷な経験や辛い経験をしていて、それがリアルな情勢(第二次世界大戦のフランスやナチスのユダヤ人迫害や市民の革命)の下で生々しく描かれていて心が震わされます。
    日本の現代に生きていては想像もしないようなアフリカの文化、環境に触れられて、新たな知見を得れた気がしました。
    作中に多くの作家の名前も登場し、次なる読書のキッカケにもなりました(なかには村上春樹さんの名前も…)。
    文学者とは何かを追求した、痺れるストーリーです。

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    2026年03月03日
  • 人類の深奥に秘められた記憶

    Posted by ブクログ

    2021年ゴングール受賞作で野崎歓さんの訳なので間違いないと思って読みましたが、期待以上の名作でした。
    黒人による小説ですが、作品中でもアフリカ出身の黒人作家が受ける運命について書かれていて、その入れ子構造を通して、文学を、書くこと、文学を読むこと、そして社会を生きることなどについて著者と一緒に旅するような作品です。
     内容は幻の黒人作家エリマンの幻の作品「ろくでなしの迷宮」に若い黒人作家が出会い、その作品に惹かれ、またその作品がなぜまぼろしとならざるえなかったのかを探究しながら、自身も文学について深く探究していくというもの。
    色々と舞台や人物が用意され、読者も主人公と共にシークアンドファイドの旅に出るような仕掛けとなっています。
    また、アフリカ的な呪術的な要素もあり、著者のサービス精神も発揮されていましした。

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    2024年06月20日
  • 人類の深奥に秘められた記憶

    Posted by ブクログ

    若い作家が、昔夢中になった本がある。その本は賛否両論にさらされて、盗作疑惑の中で作家は消息不明、本は回収の上絶版となって読むことができない。
    が、ある晩、自分の母くらいの年齢の才能ある女性作家に遭遇し、その女性作家から問題の本を受け取る。
    本とその作者には何があったのか。
    アフリカをルーツとする作家がヨーロッパでさらされる偏見。エキゾチックな何かばかり期待される。それが苦痛だと書きながらも、本にまつわるエピソードはマジックリアリズムのようになる。矛盾していると思いつつ、主人公と共に作者の所在を追いかけ続けるが、行き着いたは答えは、当たり前の終わりだった。
    主人公と共に幻惑されて目が覚めるまでの感じが、すごく面白い。ウンベルトエーコの、昨日島を思い出した。

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    2024年03月31日
  • 人類の深奥に秘められた記憶

    Posted by ブクログ

    これはすごい本。5つ星でも足りない。
    人類の奥底にある物語を紡ぐ心を抉り出す小説。
    文学として小説を、物語を書くことをベースにしたヨーロッパ風の教養主義的な小説という基盤を持ちながらもエンターテイメントのような側面も保ち読み出したら止まらない。
    現代から第一次世界大戦までの広い時間軸を跨いで、地理的にもセネガルだけにとどまらないアフリカ、アムステルダム、パリをはじめとするヨーロッパの各地、さらにはブエノス・アイレスを中心としたラテンアメリカ世界に物語の場面は広がる。手紙や日記、記事の引用、過去の思い出の語り、曖昧になる語り手と聞き手の境界線。小説的テクニックをこれでもかと使いながら無駄に流れない。特に女性たちの語りは緊張感をはらんでまるでその場で自分がそのモノローグを聴いているような没入感を生み出す。そしてアフリカをルーツとしていながらアフリカの地域性に限定されることは全くない世界文学性。2021年ゴンクール賞は伊達じゃない。野崎歓さんの翻訳も解説も良い。

    ミステリアスな著者を追うところ(とヨーロッパ風の教養重視的なところ)はサフォンの風の影にも通じるところを感じ、メタファーではない井戸に籠るところは「なぜ小説を書き始めたのか」という会話の中で現れる村上春樹との繋がりもあるのかもしれない。

    0
    2024年03月02日

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