『タイパの経済学』
時間効率の経済学。コスパとの違いを理解し、ビジネスに活かす。
【購読動機】
タイパ。タイムパフォーマンスの略称です。わたくしは、タイパを「言語」として使う頻度は少ないです。しかしながら、日常生活を送るうえで、タイパを意識することがあります。わたくしは、どんなときにタイパをし
...続きを読むているのでしょうか?まったく考えたことがなかった領域の疑問です。
【本書の読みどころ】
著者は大学で教鞭もとっています。その著者が執筆した目的は、バズワード化している「タイパ」という言葉を定義することです。また、なぜ消費者がタイパを意識するのか?の行動、心理を読み解くということです。
このことに関心がある場合は、ぜひ読んでみてください。「あー、なるほど、たしかに!」という共感するケースが少なくありません。
【コスパってなに?】
コストパフォーマンスの略称です。「コスパがいいよね!」とは、支払価格(コスト)以上に便益を感じることです。「安いのに量が多い」「安いのにおいしい」とかです。
コスパには、経済合理性が働いています。消費者がコスパを求める姿勢は、受け身的要素よりも主体的要素が強いです。
【タイパってなに?】
コスパは、費用対効果という具合に経済合理性が働きます。一方、タイパは違います。(経済)合理性が働いていないケースが生じています。それは、時間を効率化して(タイパして)、余剰した時間を別のなにか?を消費しないケースが存在するということです。
たとえば、授業の視聴を考えてみましょう。コロナでウェブ授業が増えました。生徒は、2倍速以上で視聴したあとに、なにか目的をもった時間を消費しているか?と問いた場合、必ずしもそうではない事象が存在しているということです。
合理性があるコスパと合理性がないケースがあるタイパ、決定的に「差異」があります。タイパは、「目的はある。ただし、主体性が無い行為をする場合の時間効率」を指します。
A;楽しみを追求する場合、(例えば推し)タイパを意識するか?
B;楽しみが少ない、義務的要素が強い場合、タイパを意識するか?
前述の授業はBです。観たい映画を視聴するはAとなります。
Aは、タイパ意識が少なく、Bの場合は、タイパ意識が高くなることを理解することができます。
【読みおえて】
タイパをビジネスに置き換えてみました。
企業が外部(投資家、お客様含めたステイクホルダー)に対して情報を発信する場合、相手方(情報の受け手)のタイパを意識して実行することが望ましいと考えました。
なぜならば、受け手は、企業が発信する情報に対して主体的ではないからです。したがって、必然的に受け手はタイパを意識して情報を解釈するはずです。
そのため、企業側は、発信する情報は、可能な限り1)短く2)簡潔に3)理解しやすい仕様にするのが望ましいです。受け手が興味をもった場合、さらに深い情報にたどり着けるような「道」(情報経路)をつくっておくことが肝要では?と考えます。