作品一覧

  • 準平原の謎 盆地は海から生まれた
    4.0
    1巻3,740円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ◆盆地は海から生まれたって、どういうこと?◆ 地球科学の難問「日本列島、東西圧縮の謎」を解いた地質学者が、100年余りにわたって常識とされた地形学のセオリーを疑い、新たな視点で地形の成因をひもとく第2弾! 「準平原」とは、地表が長期にわたる侵食作用を受けて起伏が小さくなり、海面の高さ付近まで低下した、ほとんど平らな地形のこと(国土交通省東北地方整備局HPより)。アメリカの地形学者ウィリアム・モーリス・デービスが100年以上も前に提唱した侵食輪廻説における最末期の地形で、「準平原は陸上で河川によってつくられた地形」です。 日本列島には、標高の異なる起伏の小さい侵食小起伏面が知られています。とりわけ、中国地方にはかなりの広がりをもつ明瞭な侵食小起伏面が数段あり、「準平原が隆起したもの(隆起準平原)」であると信じられてきました。ところが、前著『分水嶺の謎 峠は海から生まれた』で考察したように、谷中分水界や片峠は、島と島の間の海峡が離水した地形でした。それらが標高1000mを超す山地にも確認されることは、かつての海峡(海底)が大きく隆起していることを意味します。中国地方の隆起準平原とされた地形を丹念に観察すると、平坦な地形はいずれも起伏の少ない分水界に囲まれていて、分水界には谷中分水界や片峠が確認されます。ということは、谷中分水界や片峠が海峡だったころ、分水界に囲まれている起伏の小さい地形は……浅い海底だったのではないでしょうか。 本邦地形学の常識(隆起準平原)を見つめ直し、谷中分水界や片峠を鍵として、その成り立ちの謎について解いていきます。 ■こんな方におすすめ ・地形マニア、地形の形成過程に関心のある方、登山が好きな方、自然の謎解きを疑似体験したい方々 ■目次 ●旅の準備 〇侵食輪廻説と準平原 ・平坦な火砕流台地は堆積面 ・平らな平野の地形も堆積面 ・日本列島の侵食小起伏面 ……ほか 〇谷中分水界の成因 ・謎を解く一つ目の〝鍵〟は谷中分水界 ・スプーンですくったアイスクリーム? ・片峠は二つ目の〝鍵〟 ……ほか ●第1日 思い出の場所で〝鍵〟のチェック ・須知盆地で準備体操 ・低くても、雨水は縁からあふれない ・一直線に並ぶ三つ子の谷中分水界 ……ほか ●第2日 〝鍵〟を閉じれば背中合わせの盆地 ・縁の高い篠山盆地と縁の低い三田盆地 ・高い山並みからなる篠山盆地の分水界 ・分水していない谷中分水界? ……ほか ●第3日 海が削った吉備高原 ・吉備高原もやはり盆地 ・吉備高原の成り立ち ・吉備高原は瀬戸内海だった ……ほか ●第4日 海面は海底と陸地の間の関所 ・陸化を拒む海の関所 ・20年の時を隔てて ・石油が採れるための四つの条件 ……ほか ●第5日 水にとってはすべてが盆地 ・吉備高原より一段低い世羅台地 ・山岳地帯は盆地? ・誰が見ても、盆地は盆地 ……ほか ●第6日 4次元地形学への誘い ・里芋のようにつながった盆地の宝庫 ・かつての海峡は交通の要所 ・ここかしこに海の景色 ……ほか ●第7日 私が地形に夢中な理由 ・舐めるように地形を観察する理由 ・科学者の役割 ・何度でも地形を観察し続ける理由 ……ほか ●第8日 高所に残る海の痕跡 ・〝天空の聖地〟もかつては内湾 ・標高800mにある背中合わせの盆地 ・標高900mの〝ミニ吉備高原〟 ……ほか ●第9日 川を下ればタイムトラベル ・海から生まれた盆地 ・標高500mでも競っている最後の海峡 ・隆起準平原と紹介されている阿武隈山地 ……ほか ●旅のおわりに ・地質との出会い ・秩父盆地との再会 ・〝炭〟も積もれば…… ……ほか ■著者プロフィール 高橋雅紀(たかはしまさき):1990年に東北大学大学院理学研究科博士課程を修了。1992年に工業技術院地質調査所(現産総研)に入所。専門は地質学、テクトニクス、層序学。関東地方の地質を調べ日本列島の成り立ちを研究。 NHKスペシャル『列島誕生ジオ・ジャパン』のほか、NHK『ブラタモリ』秩父、長瀞、下関、日本の岩石SP、つくば、東京湾、前橋、世界の絶景SP、行田、長岡に出演。著書に『分水嶺の謎 峠は海から生まれた』(技術評論社)や『日本地方地質誌3 関東地方』(朝倉書店、分担)など。
  • 分水嶺の謎 峠は海から生まれた
    3.3
    1巻3,520円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【峠は海でつくられるって、一体どういうこと?】 峠はどうやってできたのか。河岸段丘は本当に川がつくったのか。大地を削り、山をつくったのは本当に川なのか。 本書は地球科学の難問「日本列島、東西圧縮の謎」を解いた地質学者が、100年を超す地形学の常識を疑い、新たな視点で地形の成因をひもとく第1弾です。 ■第1弾『分水嶺の謎 峠は海から生まれた』とは……!? 本州に降り注いだ雨水を太平洋側と日本海側に分ける分水嶺は、不思議なことに、ときどき山の斜面を下って谷を横切り、隣の尾根に乗り移ってしまいます。到底尾根とは思えない真っ平らな谷の真ん中を横切るこの不思議な分水嶺は「谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)」と呼ばれ、その成因は110年前にアメリカの地形学者・デービスが唱えた「河川の争奪説」で説明されてきました。河川の争奪とはひと言で言うと、川と川の国盗り合戦。川が隣接する川の上流部を奪い取ることです。その現象は長年、多くの地形研究者や地形ファンを魅了してきました。 しかし、「河川の争奪」は本当にあったのでしょうか。旅の舞台は、インターネットの地理院地図。分水嶺を追跡し、不思議な地形をつぶさに観察。「河川の争奪」を考察する過程で見えてきたのは、「峠は海から生まれた!」という新事実でした。 思考実験を繰り返しながら、著者の妄想が確信に変わっていく過程。サイエンスの現場をつぶさに追体験できる一冊です。 ■こんな方におすすめ ・分水嶺マニア ・地図や地形に関心のある方。 ・登山が好きな方 ・自然の謎解きを疑似体験したい方々 ■目次 ■第1章 分水嶺の旅   ●旅の準備 地形の基本を知る   ●第1日 不思議な地形が目白押し   ●第2日 気まぐれな分水嶺   ●第3日 断層を横切る分水嶺   ●第4日 標高がそろう峠の不思議   ●第5日 分水嶺を越えられない   ●第6日 匍匐前進する分水嶺   ●第7日 最大の難所の世羅台地   ●第8日 川は川を奪わない?   ●第9日 分水嶺をつなぐのは谷中分水界 ■第2章分水嶺の謎   ●1 関門海峡の謎 本州で最も低かった分水嶺   ●2 谷中分水界は海峡だった   ●3 隆起の原因は東西圧縮   ●4 中国地方は瀬戸内海だった   ●5 謎の答えは地形が語ってくれる   ●6 盛り上がり続ける中国山地   ●7 海から生まれた中国地方   ●8 分水嶺のあみだくじ ■おわりに――私の分水嶺 ■著者プロフィール 高橋雅紀(たかはし・まさき):地質学者(理学博士)。1990年、博士号取得。卒業研究以降の40年近く、日本列島の成り立ちを研究。2017年に「日本海溝移動説」を発表し、NHKスペシャル「列島誕生ジオ・ジャパン」で放映(2017年)。 NHK「ブラタモリ」に幾度となく出演し、人気を博している。
  • 蛇行河川の謎 谷は海がつくった
    -
    1巻3,740円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ◆山や谷をつくったのは、本当に川なのだろうか?◆ 山はどのようにしてつくられたのか」――地形学における最古にして最大の謎に迫る、知的冒険の第3弾。 『分水嶺の謎』『準平原の謎』に続く今回は、“川”がテーマです。 平原を自由気ままに蛇行して流れる川。 その川は大地が隆起したあとも下刻を続け、蛇行した深いV字谷がつくられる……。 川が大地を侵食する『穿入蛇行』は、地形学の根幹です。 そのことを疑う人は、世界中に一人もいないでしょう。 しかし、大地の主たる彫刻家は、本当に川なのでしょうか? 100年を超す地形学の常識を疑い、新たな視点で地形の謎をひもとく1冊!存分にお楽しみください。 ■こんな方におすすめ ・地形マニア。 ・地図・地形に関心のある方。 ・登山が好きな方。 ・自然の謎解きを疑似体験したい方。 ■目次 旅の準備 第1日 錦川の不思議な蛇行 第2日 蛇行河川の置き土産 第3日 環流丘陵の謎 第4日 貫通丘陵の謎 第5日 先行谷の謎 第6日 広瀬川の不思議 第7日 渡良瀬川の不思議 旅のおわりに ■著者プロフィール 高橋 雅紀(たかはし・まさき):1962年、群馬県前橋市生まれ。1990年に東北大学大学院理学研究科博士課程を修了後、日本学術振興会特別研究員および科学技術特別研究員を経たのち、1992年に通商産業省(現経済産業省)工業技術院地質調査所(現産総研)に入所。 専門は地質学、テクトニクス、層序学。大学の卒業研究以来、関東地方の地質を調べ日本列島の成り立ちを研究。NHKスペシャル「列島誕生ジオ・ジャパン」や「ジオ・ジャパン絶景100の旅」のほか、ブラタモリ「秩父」「長瀞」「下関」「日本の岩石SP」「つくば」「東京湾」「前橋」「世界の絶景SP」「行田」「長岡」に出演。著書に『分水嶺の謎 峠は海から生まれた』や『準平原の謎 盆地は海から生まれた』(ともに技術評論社)のほか、『日本地方地質誌3 関東地方』(朝倉書店、分担)や『日本海の拡大と伊豆弧の衝突―神奈川の大地の生い立ち―』(有隣堂、分担)、『トコトンやさしい地質の本』(B&Tブックス日刊工業新聞社、分担)など。好きな言葉は「放牧、放任、放し飼い」、座右の銘は「退路を断たないと、次の扉は開かない」。いつも心がけている自身の矜持は「初代で一代限り」。

ユーザーレビュー

  • 分水嶺の謎 峠は海から生まれた

    Posted by ブクログ


    地形図の新たな楽しみ方を教えてくれる本です。

    この読者が伝えたいのはあくまで、「地形がどのようにできたか」を考えるために、どのように地形図を観察すれば良いかのヒントの伝授であって、結論ではありません。
    そのため、比喩表現を多用しており、正確さよりもわかりやすさを重視しております。
    カラーの図を多用し、読者に面白いと感じてもらうための工夫が随所に感じられます。

    万人向けではありませんが、地形についてもっと深く知りたい方や、大学1〜2年生向けの入門書として読んでいただくのがちょうど良いです(比喩表現が多いため、地形について専門的な知識を有する方には、かえって読みづらいとは思います)。


    0
    2025年02月10日
  • 分水嶺の謎 峠は海から生まれた

    Posted by ブクログ

    ブラタモリ出演の地質学者、中国地方の分水嶺を辿り地形の由来を考察する。河川争奪が主題と思いきやまさかのどんでん返しが楽しめる。良くある風景も長い歳月と侵食等の作用の結果である。
    今後のさらなる研究と次回作に期待。

    0
    2024年04月27日
  • 準平原の謎 盆地は海から生まれた

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    日本列島の地質を調べると、西日本のほとんどの山地は、古い基盤岩で占められている。これは東日本とまったく異なっている。著者は、海底からゆっくり隆起した際に、表層が波で削られてしまったという仮説を立てている。西日本でよくみられる片方が切れおちて、もう一方は平たんな峠、それによく似た地形が福井県の海岸で見ることができる。同じようなことが昔、各地で起こったのではないか。
    隆起準平原と考えられてきた吉備高原は、実は、ふちの低い盆地がたくさん集まった地形ともいえる。つまり、吉備高原は瀬戸内海だった。前作でも論じた、分水嶺の峠部分の標高がそろっていることも、その推理を支えている。
    新潟平野の地質断面図を見る

    0
    2025年01月25日
  • 分水嶺の謎 峠は海から生まれた

    Posted by ブクログ

    地質学者が趣向全開で書いた本。

    分水嶺から地質の成り立ちを議論している。地質学者が地図やフィールドを見ながら何に気づいて何に興味をもって研究しているかがわかる。

    福井を出発して中国山地につらなり、下関門司に至るまでが題材。多少知っているところが出てくると興味深く読める。

    一般向けの本ではあるが、難しいところもあったり、中盤は単調になりがち。

    後半は分水界についての著者の考えも。

    コラムや最後のブラタモリの裏話は面白い。こちらだけで独立して一冊あっても面白そう。

    0
    2024年09月03日
  • 分水嶺の謎 峠は海から生まれた

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    そもそも、谷中分水界も、河川争奪っていうことも知らなかったし、実際歩くのでなく、地図を辿って、中国地方の分水嶺を歩くという企画も斬新だった。

    が。

    ちょっとうざい。
    分水嶺を歩きながら、この地形は本当にそうなんだろうか、なぜだろうか、と疑問を後から後から撒き散らかし、私はそれが真実とは思えない、私の説はこうなのだっていう展開。

    日本海溝移動説ってのも初見だったし、本来は目の覚めるような展開であるべきなのが、どっと疲れた。

    歩き疲れだろう。

    地形が好きな人、旅が好きな人、地図を辿りながらここもそうか、あそこもそうだよねってワクワクするのはいいんだが、それにこの「説」の展開

    1
    2023年12月29日

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