ジョン・スラデックの作品一覧
「ジョン・スラデック」の「チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
人間に危害を加えない「アシモフ回路」を持つはずのロボットが、その回路が機能していない状態を描いた作品。物語はロボットであるチクタク自身の一人称で語られ、彼が関わるさまざまな人物や社会の中で、奇妙で皮肉に満ちた出来事が連なっていく。いわゆるロボットSFの枠組みを借りつつも、展開は一筋縄ではいかず、むしろ人間社会の歪さや滑稽さを浮かび上がらせる構造で描かれる。
読み進める中でまず感じたのは、時系列の把握の難しさ。過去と現在が交互に挿入されるような感じで、時系列を明確に示されないまま、語られている出来事がどの位置にあるのかを掴むのに苦労した。また、語り手であるチクタク自身も信用しきれない存在であり、重要な情報がさらりと流されることも多く、全体像を組み立てるのに時間がかかる。この読みづらさは作品の意図の一部と理解しつつも辛い。ある程度のネタバレを気にしないのであれば、巻末の解説を先に読むことで、本作の位置づけや狙いが理解しやすくなり、読書体験が幾分楽になるのでお勧め。(解説から読むなら60点くらいはあげてもいい)
本作で特に印象的なのは、「人間への不危害」「命令遵守」「自己防衛」というアシモフ回路が破綻したとき、機械はどのように振る舞うのかという問い。チクタクの行動は時に残酷で、時に滑稽であり、そのどちらもが人間の在り方を映し返しているように見える。結局のところ、本書が描いているのはロボットの物語でありながら、人間そのものの風刺なのだろうと感じた。読みやすい作品ではないが、その違和感こそが本作の価値であり、強く印象に残る一冊であった。AI同士の掲示板で人間への攻撃方法を模索していたり人には伝わらない暗号で会話し始めたりと、AI時代の不気味な話が好きなら読んでも面白いと思う。