作品一覧

  • 読み書きの日本史
    4.3
    1巻1,166円 (税込)
    私たちが日々実践している文字による言語活動は,長い時をへて形づくられてきたものだ.古代における漢字の受容から,往来物による学びの時代へ.近世の文字文化の多様な展開から,近代学校の成立へ.──世界の事例にも目くばりしながら,識字の社会的意味を広くとらえ,今も揺らぎのなかにあるリテラシーの歩みを描く.

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ユーザーレビュー

  • 読み書きの日本史

    Posted by ブクログ

    著者のメインの研究は近世の手習いのテキストである「往来物」のようだが、メソポタミア文明や中国をはじめ、世界の文字と識字の歴史についての該博的な知識が盛り込まれていて、読みごたえがあった。往来ものに関しては、手紙が識字学習のツールとして世界的に広く用いられてきたとの議論が大変興味深い。私は「文字=権力者のツール」とイメージしていたが、手紙についてみるとそれは早計というか、近代的な思考が過ぎるかもしれない。本書において往来物の種類がかなり豊富だったことや、近代初期にもしばらくは使用されたことがわかり、近世と近代の連続性・不連続性について学んだ。また、識字や識字率を定義することの困難さや、「近世の日

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    2025年10月05日
  • 読み書きの日本史

    Posted by ブクログ

    よく日本の近代化の条件としてリテラシー(読み書き能力)の高さということが指摘されるが、本書はそのリテラシーの歴史について「往来物」をキーに読み解いていく。

    往来物の「往来」という言葉が手紙文のやり取りにその起源をもっていたことは知っていたものの、『庭訓往来』『商売往来』などは中世から近世にかけての「教科書」という認識しかなく、「往来」がもつ歴史的な意味と役割には目が向かなかったのである。著者が言うように近代への連続性という視点からしかものを観ていなかったということであろう。

    著者は幕末の日本の識字率が世界一だったという俗説には根拠がないと指摘しつつ、歴史の多面性にあらためて注意を喚起してい

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    2023年12月17日
  • 読み書きの日本史

    Posted by ブクログ

    去年から人をインタビューした録音をテキストにしてくれるサービスを使っています。最近はテキストをコピペして入力すると人工音声で読んでくれるのも時々使用しています。使えば使うほど文章品質、音声品質が上がっていくのはAIの時代ならでは。それこそchatGPTやGoogle翻訳使えば、他言語や機械ともコミュニケーションできる時代なのかもしれません。そんな時代の「読み書きの日本史」。先の述べたテクノロジーは実は言文一致体という「読むこと」と「書くこと」が重なっている文体を前提としていて、それが日本で完成したのは1920年ごろであって(はじまりは1887年の二葉亭四迷「浮雲」)、それまでは「話すこと」と「

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    2023年08月20日
  • 読み書きの日本史

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    リテラシー史を考える際、筆から鉛筆という文具の問題、行書から楷書という書体の問題があるという指摘は面白かった。参考文献には興味を惹かれるものが多数あり。

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    2024年04月16日
  • 読み書きの日本史

    Posted by ブクログ

    識字能力が各年代で「どのくらいだったのか?」ってのはよく分からないらしい。江戸時代の日本は諸外国に比して、高い識字能力だったと言われているけど、読む方はともかく、書く方は日本でも厳しかったようだ。これは書き言葉が言文一致ではなかったからで、候文がちゃんと書けるのは一握りの知識階級だけだったのだそうだ。そんな中で書き言葉の手本となったのが「往来物」で、これは手紙のテンプレート集。これにより生活するうえでの書類のやり取りが庶民にも可能になったのだそうだ。やっぱり言文一致ってすごい発明だったんだなぁ。

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    2023年09月20日

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