作品一覧

  • 仲人の近代 見合い結婚の歴史社会学

    仲人の近代

    ビジネス・実用

    4.5
    1巻1,760円 (税込)
    1990年代まで「結婚」や「家」と密接な関わりがあった仲人は、どのように広まり定着したのか。また、なぜ衰退して現在では見られなくなったのか。 明治時代以前の村落共同体では見合いが浸透していなかったが、教育勅語や家制度によって仲人が急速に普及する。明治期の家族主義と個人主義、大正期以降に登場する恋愛などとのせめぎ合いのなかで、見合い結婚が「正しい結婚」として位置づけられ、強固に維持されたことを史料を渉猟して明らかにする。 また、明治期に民間の結婚相談所が設立されたが、戦時下の人口政策に組み込まれ厚生省が結婚媒介を統制するに至って、優生思想とも接続しながら全国に結婚斡旋網が形成されたことも掘り起こす。 そして、戦後の民主化や高度経済成長によって見合い結婚は封建的と見なされるようになりながらも、仲人は恋愛結婚や職場結婚と折衷して1990年代まで存続し、2000年代に消滅するプロセスを跡づける。 村落共同体、家、国家、企業と、時代ごとに個々人の帰属先と密接に結び付いてきた仲人の近・現代史から、近代日本の家族や結婚をめぐる価値観の変容を照射する。
  • 結婚の社会学

    結婚の社会学

    ビジネス・実用

    4.3
    1巻1,067円 (税込)
    結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものを解き明かしていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。

ユーザーレビュー

  • 結婚の社会学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ■なぜ読むか
    私自身、最近結婚をしたこともあり、改めて「結婚とは何なのか」を考える機会が増えていた。結婚の捉え方が多様化し、以前よりも難しく複雑になっている一方で、結婚の本質そのものはそれほど変わっていないのではないかとも考えている。

    また、「多様化」という言葉を背に、自分にとっての最適化ばかりを追い求め、「結婚するメリット・デメリット」を論じることにもどこか浅ましさを感じていた。結婚は本当に個人の損得だけで捉えるものなのか。そんな疑問を持っていたところ、本書の表紙にある「結婚の常識を疑う」という問題意識に惹かれた。

    昔と今では時代や社会のあり方が大きく変わっており、従来の結婚制度や結婚をめぐる「常識」に無理が生じている部分もあるのではないか。私たちを縛っている結婚の常識を問い直し、停滞した状況を打破することで、新たな時代の人間関係やつながりを構想しようとする本書の姿勢に共感した。

    『結婚の社会学』というタイトルの通り、未婚化・晩婚化、少子化、子育て、夫婦関係など、結婚をめぐる幅広いテーマを扱っている。自分自身が結婚した今だからこそ、これまであまり関心を持ってこなかった結婚に関する知識を得ながら、自分が当然だと思っている「結婚観」そのものを一度問い直してみたいと思い、本書を手に取った。

    ■感想
    個人的にはめちゃくちゃ良書だと思った。理由は読みながら、自分のステレオタイプな結婚に対する概念が解きほぐされていく感覚を味わえたから。

    特に印象に残っているのは性別を3つの観点から見るというパート。生物学的にも、性自認も、性的指向もマジョリティで生きている多くの人にとってはその3つの観点を得ることができるだけでも本書を読む価値があると感じた。

    また、その観点だけでなくアセクシャル、アロマンティックなども含むLGBT、SOGIEの人が抱える社会規範に対する自身のアンマッチによる苦痛は想像できていなかった(し、今もできていないが、少なくともあることを認知はできた)。

    最後に著者が述べていたことに近いが、「多様性を認める」ということに本気で向き合うならば、本書のように人間の持つコントロールできない性的指向の存在をきちんと認知し、社会の側でそれを受容できるようにしていくことが、最大多数の最大幸福につながるように思う。

    どんな生物学的性別、性自認、性的指向を持っていたとしても、世間が3つの観点で捉えることができ、世間にそれを受けいれるグラデーションある制度が整っていれば最高だと思う。その中で、子供を産むことは生物学上女性である人しかできないわけで、かつ異性との性行為が可能な人しかできないわけで。次世代を作る唯一の価値ということも正しく認知された上で、そうでない人はそうでない人なりに社会を支える役割を担えばいい。独身でなくていいし、社会貢献に対してモチベーションを持ち、次世代へつなぐ努力をすればいい。私はそう思う。
    (チャッピー修正:子供は現代医療が発達して、性行為ができずとも女性であれば人工授精という手段もあった)

    ■私なりの一段進んだ思索
    この本だけを考えた時に、理想論を語るなら感想部分に記載した内容だろう。しかし、現実世界では資産を持つ人、持たない人。性別云々は別にして「自分だけ最適化されればいい」「自分さえ損しなければいい」という考え方が跋扈する。そう考える人たちが、このような他者受容について真剣に向き合い考えることは難しい。これまで得てきた既得権益を奪われることや、他者が得すること(実際には得ではなく損を取り除くのだが)ように感じるのだと思う。その時、資産は平等ではない資本主義社会の中ではどうしてもその感情を起こさないでいることは難しいのではないか。

    人間は不合理で、時に自己中心的であると思う。(自身が精神的にも物質的にも満たされていれば他者貢献も考えうるのだが)
    文化資本や教養なども異なる中で、ここに書いてあることは私は本書も読む中で理解できた気がするし、自分のいわゆる前時代的な価値観(シスジェンダーや異性愛を無意識に『普通』とみなしていた価値観)をアップデートできた。
    だが、社会全体でこの考え方をアップデートしていくのは非常に困難(宗教的な考え方もあるし、全世界がこれがスタンダードだよね、までいくのは実質実現不可能)と私には思われた。

    0
    2026年09月26日
  • 結婚の社会学

    Posted by ブクログ

    「社会学は自己責任論を批判する学問」という前書きから始まり、自分や世間の誤った「常識」や思い込みに気付かされる
    例えば初っ端から
    「結婚に関わる多様性やジェンダー平等といったテーマは、少子化問題とは離れて語られなければならない」
    という著者の考えが述べられている。確かにこれらはセットで語られることが多い。しかし冷静に考えれば、
     少子化問題のために、婚姻制度はこうあるべき、とか
     少子化対策のために、ジェンダー平等は我慢すべき
    といった主張を許してはならないのは、当然だ

    その他にも、例えば、
     仲人結婚は作られた伝統
     神前結婚式が急速に普及したのは高度成長期
     処女規範は近代以降に登場したもの
     戦後すぐは、事実婚が「封建的」とされていた
    など、次々と常識がひっくり返される
    そして、最終章では、「友人同士が家族になったっていいじゃないか。一緒にいたい二人でいることに法や制度上の特典を与えることが結婚なのなら、異性愛者や同性愛者のだけのためでもなく、すべての人に許されていいではないか。さらには共同生活者にも権利があっていいではないか」という、この本を読む前に想像していた「夫婦別姓」「同性婚」どころではなくもっと自由な多様性を求める結論へと話はなだれ込んでいく

    さすがに「結婚=生殖、命の再生産」とは思ってはいなかったけど、「結婚=性的関係」というのも単なる思い込みだったんだな。言われてみれば当たり前だけど、今まで全く気づいてなかった
    この本により、くだらない常識の鎖を一つ断ち切れたような、爽快な読後感


    また、内容とは別に。
    数ページごとに、重要なポイントが短くまとめられて枠で表示されていて、ちょっとぼーっとしていても著者の言いたいことがきちんと頭に入る
    学参みたいでちょっと恥ずかしい気もするけど、入門書などに適した、気の利いたデザインだ

    0
    2026年07月23日
  • 結婚の社会学

    Posted by ブクログ

    結婚についてここまで深く考えることはなかったのですごく刺激を受けました。
    姓について男女どちらの姓を選んで良いものを日本人の96%は男性の姓にしているなど、日頃受けている無意識のバイアスを感じました。

    0
    2025年10月26日
  • 結婚の社会学

    Posted by ブクログ

    非常に面白かった。
    現在の婚姻制度になるまでの過程も知る事ができて勉強になった。
    今ある常識を疑う姿勢というのはとても大切だと思う。
    より多くの人にとって暮らしやすい社会となるよう、選択肢が増えてほしいなと心から思う。

    0
    2025年09月30日
  • 仲人の近代 見合い結婚の歴史社会学

    Posted by ブクログ

    酒井裕一郎「結婚の社会学」は自分の当たり前を揺さぶってくれた本でした。引き続き、ということで「仲人の近代」にも手を伸ばしました。社会で齢を重ねると仲人って頼まれるもの、と薄々思っていましたが、自分の場合はまったく頼まれることもなく一生を終えそうです。別に頼まれたかった訳ではなく(逆にそんなことなくてラッキーと思っています…)20年ぐらいの間に社会的慣習ってガラリと変わるんだな、ということを改めて気づいたのです。本書の序章にある1934年の新聞に報じられた「死ぬ前に一度仲人をしてみたい」という願望を持ち、一度だけ「本望」を果たすと、その後すぐ自殺した男の記事、もうびっくりです。日本が近代化していく中で、結婚という仕組みが社会の中でどう位置付けられ、仲人という仕組みがどう組み込まれて、そしてどう必要とされていなくなっていったか?わかっていたようでわかっていない伝統(つくられた伝統)、面白かったです。昨今のマッチングアプリ婚を考えると、AIが仲人役なのかもしれませんね。

    0
    2025年03月10日

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