アーサー・C・ブルックスの作品一覧
「アーサー・C・ブルックス」の「人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法」「ハーバードの人生戦略講義 最高に幸せに生きるためのルール」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
2023年刊行。
社会学者、特に「幸福学」を専門とする著者による、どうすれば「人生後半」を幸福に満ちたものにできるかを解説した本。
本書における「人生後半」は40代半ば〜50代以降と定義される。
この頃、20代や30代の頃に保持していた柔軟な思考力、創造性、推論力が低下するため、これらの能力に頼った人性設計を続けるのではなく、異なる能力と価値観に沿った戦略を考えるべきだ、というのが大筋の主張である。
著者が想定する読者層は、「striver(ストライバー)」と呼ばれる、「不断の努力によってキャリア的に成功した人々」である。
これらの人たちは、優れた潜在能力に加えてハードワークを積み重ねることで、自分が望んだキャリアを手にすることができた人たちである。
社会的な地位と高収入を手にした成功者と言い換えても良い。
「striver」たちは、その成功体験故に、能力が下降する自分を受け入れることが特に難しい。
また、若い頃のハードワークがパートナーや友人との人間関係に支障をもたらしているため、老齢期に孤独に陥りやすく、故に不幸になりやすい傾向にある。
著者はこの事実を説明し、警鐘を鳴らす。
そして、若い頃のスキルとは別のスキルを獲得し、意図的・計画的に「第二の曲線」に飛び移らなければならないと説く。
これが本書の大筋の内容である。
内容としては、「なぜ多くの人が「第一の曲線」に固執してしまうのか?」「どうすれば「第二の曲線」に移行できるのか?」とその具体的なステップなどが書かれる。
最新の研究結果から、西洋・東洋の哲学までを駆使して論じられているため、納得感は一定ある。
クオリティが高い本であると感じた。
特に、「striver」たちの多くは、「仕事依存症」「成功依存症」に罹っているという提言は刺さった。
「幸福になるよりも特別な存在になりたい」という根源欲求を抱えていて、薬物やアルコール依存症の患者と同じように、身を粉にして働くことで得られるお金、権力、威信、称賛、承認に依存しているというわけである。
この主張は一理ある。
一方、本書の内容が唯一解ではないとも思う。
個人的には、「家族を大事にする穏やかな暮らし」よりも、仕事で圧倒的に成り上がって社会的・個人的自己実現を果たす方がプライオリティが高い。
結局、多くの選択がトレードオフである以上、「自分が欲しいものは何か?」を常に見極め、行動していく必要があるということだろう。
その文脈で、本書は有用だと思う。
「人生後半」にはまだ幾らか猶予があるこのタイミングで出会えて良かった本だった。
Posted by ブクログ
アーサー・C・ブルックスさんの「人生後半の戦略書」を読みました。前半は流動性知能と結晶性知能の話。流動性知能とはいわゆる「頭の回転の速さ」や「地頭の良さ」などその人本来の頭の良さを表す知的能力で、この能力は「これまでに遭遇したことのない状況で、既存の知識では解決できない問題を解決する能力」のことであり、記憶や計算、図形、推理などの問題から測定することができるようです。一方、結晶性知能とは、これまでの経験と近い状況で、獲得した知識を用いて問題を解決する知的能力であるとされ、主に語彙や一般の知識のテストによって測定することができるようです。問題は、流動性知能は加齢とともに衰えていくこと。仕事である程度のところまで行きついた人は、流動性知能が優れているケースが多いわけですが、この能力はやがて年齢とともに衰えていき、自分が思い描くパフォーマンスが出なくなるということ。いつまでもこの能力に、あるいはこの能力に依存した成果(それは地位だったり、経済力かもしれない)に固執していると、衰えていく自分に直面して幸せになれないという流れ。早めに結晶性知能を活かした領域にシフトし、目標もそれに合わせて変更していくことで本当の幸せになれるというと簡単にまとめすぎかな。おそらく、目標設定を変えていくというのは正しくて、仏教が引き合いに出されていたけど、物質的な欲望は達成した時こそ達成感がある一方で、すぐに別の欲望に取って代われれるものだから、どこまで追いかけても満足できない。家族や友人たちとの人間関係、精神的なものはそういう欲望とは異なる性質のものだから、大切にすることで、幸せに満たされるということはあるんでしょうね。この本のポイントは、単に結論だけでなく、仕事の面からも脳の特性から積極的なキャリアチェンジを進めていること。まあ、この辺はとても自覚しているところでもあり、説得力のある内容でした。