ユーザーレビュー 土竜(もぐら) 高知東生 巻末の「初出」という辺りから察すると、文芸誌に6回に分けて掲載されていて、何か「6篇」というように感じないでもない面が在るかもしれない。が、間違い無く最初から「6つの章から成る1つの長篇」という企図で創られた小説であると思う。先の方の篇に現れる話題が、後の方の篇で「回収」という例も多く在るのでそうい...続きを読むうように思った。 本作は「竜二」(りゅうじ)という男を主人公とする物語である。「各篇」というようにも見える「各章」は、各々に視点人物が設定されている。「竜二」自身が視点人物となっているのは2つの篇、または2つの章である。(以降は「章」としたい。) 「竜二」は高知で育っている。冒頭の章は、戦争未亡人であり、苦労しながら4人の子ども達を育てた女性が登場し、視点人物となる。この女性の末の娘が他所で子を産み、女性の所にやって来て「預かってくれ」ということになる。この子が「竜二」である。 以降、「竜二」は中学生、高校生と育ち、高校を卒業した少し後の時期が在って、高知を離れて東京に出る。高知に残った友人が視点人物となる章が入って、5つ目の章では時間が随分と発つ。「竜二」は東京に出て俳優となり、一定の成功も収めるのだが、事件を起こしてしまって悶々と過ごしている最中だった。そして終章だ。 ハッキリ言えば、作者の高知東生(たかちのぼる)の「自伝」というような内容の小説になっている。「竜二」のモデルは御自身であると判る。作中人物達も、小説としての脚色は入ったにしても、手近な人達に直接的なモデル、または何人かのモデルを合わせて造形している人物も在るのだと思えた。また作中の様々な挿話も、実際の出来事や見聞に負うところが多いかもしれない。 複雑な生い立ちで、青春を駆け抜け、養父の事情も絡まって故郷を離れた「竜二」は、掴んだ成功を零して悶々とする中、改めて自身の人生と向き合うことになって行く。凄く引き込まれる物語だった。 作中には「竜二」が生きる時代の情況―世相や話題になった事件等―が示唆される言葉も入っている。そういうのが「判る…」と思ったのだったが、作者は自身より4年程度年長ということで、「自身の頭の中に在る“人生年表”というような諸々の記憶」が被っていることに気付いた。序でに、本作の主な舞台ともなっている高知についても、極短い滞在ながらも一度訪ねた経過が在って、街の様子が頭に思い浮かんだ。そういうような意味でも、本作は面白かった。 作者は色々な活動に携わってもいるようだが、こういう興味深い小説を綴り続けるのであれば、自作も是非読みたいと思った。 Posted by ブクログ 土竜(もぐら) 高知東生 ”あの”高知東生が書いたとは思えないほどの出来の良い作品で驚かされた。 しかしながら高知東生のことはほとんど知らない私が上から目線で何を言っているのかとも思うが。 半自伝的小説とのことだが、よく練られていると感心した。 それぞれがどこかでつながっていて、人の気持ちの動きなども丁寧に書かれている。 こ...続きを読むれを読んだので彼の「生き直す」も読んでみたいと思った。 Posted by ブクログ 土竜(もぐら) 高知東生 半自伝小説という事で、少し下世話な読み方をしてしまった。この先の人生またご活躍される事を影ながら応援している。 Posted by ブクログ 土竜(もぐら) 高知東生 自伝的な部分と,フィクションが入り混じっているのだろうか? 表現の素人っぽいところがままあるけど,それも内容に合っててむしろ良いエッセンスになってたりして,良い作品だと思った.が,どう表現して良いか適当な言葉が見つからない. しばらく…心の中で反芻したい. Posted by ブクログ 土竜(もぐら) 高知東生 高知東生の自伝的小説。 どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションかわかりづらいものの、彼の人生を思わせるシーンが随所にあって面白かった。 Posted by ブクログ 高知東生のレビューをもっと見る