高知東生のレビュー一覧

  • 土竜

    Posted by ブクログ

    高知東生『土竜』光文社文庫。

    俳優の高知東生による自伝的連作短編小説集。いずれもタイトルに植物の名前が付けられた6編の短編を収録。

    作中では、何時までも父親が侠客であることばかりに拘り、俳優になるも薬物に手を染め、転落するという、随分と安っぽく、薄っぺらい人生を過ごしていたのだなと思った。

    始めこそ面白かったのだが、竜二が俳優になるまでの苦労や俳優になってからの活躍が描かれることも無く、次第に尻すぼみになる感じがした。


    最初の『アロエの葉』で、本作の主人公である大崎竜二、後の坂本竜生の出自が描かれる。高知に暮らす戦争未亡人の祖母には男女2人ずつの子供が居た。吝嗇な長男は家賃を惜しんで実家に同居し、長女は嫁いだものの酒乱の男に苦労していた。次男は博打を抜かし、器量良しの次女は酒場で働き出すと音信不通になっていた。ある日、その次女が赤ん坊を抱いて実家に戻って来た。竜二と名付けられた赤ん坊は次女と愛人である侠客との間に生まれた子どもだった。

    『シクラメン』では、竜二の小学校から高校時代までが描かれる。中学生から高校生の男子というのは性欲の塊と言っても過言ではない。竜二の小学校時代、同級生にやけに色っぽい夕子という女の子が居り、男子の誰もが彼女のことが気になっていたが、逆に彼女を遠ざけていた。中学生で初体験を済ませた竜二は高校生になり、色街に遊びに行くとそこに夕子の姿を見付ける。

    『喧嘩草』では、高知で有名な不良となった竜二が不良仲間の半沢と知り合い、東京へと旅立つまでが描かれる。

    『昼咲月見草』は、竜二の親友の高橋の話だ。教師になった高橋はパチンコにのめり込み、サラ金などから三百万円もの借金を作る。竜二は噂程度でしか登場しない。

    『リラ』では、竜二の亡くなった母親の人生が綴られる。本来ならば、ここでは竜二の母親の人生よりも、竜二の俳優としての生き様を描いてもらいたかった。

    『梔子』。俳優になった竜二こと坂本竜生は薬物に手を染め、仕事を干される。竜二が出演した映画の監督、恩師、同級生や友人へのインタビュー形式で、竜二の人と成りが描かれる。

    本体価格800円
    ★★★

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    2026年09月30日