田中周紀の作品一覧
「田中周紀」の「東京医大「不正入試」事件 特捜検察に狙われた文科省幹部 父と息子の闘い」「会社はいつ道を踏み外すのか―経済事件10の深層―」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
「東京医大不正入試事件」と聞いて多くの人が記憶しているのは、女子の受験生や多浪生に不利な得点調整を実施していた大学入試の実態だったのではないでしょうか。しかし、これは一つの裁判事象の副産物に他なりません。その本筋となる事象が、本書で詳細に述べられています。
「文部科学省官僚佐野氏が自身の息子の東京医大入試での得点加算を賄賂として、東京医大が応募する事業への優遇処置をとった」というのがこの贈収賄事件のあらましです。なんともありきたりで陳腐なこの構図は東京地検特捜部が描いたシナリオで、そのシナリオに沿って調書が作成され、関係者が有罪に仕立て上げられるプロセスが克明に描かれています。
そもそも佐野氏は息子への加点を望んでもいないと証言し、大学サイドが求めた優遇についても「できない」と明言しています。さらに佐野氏の息子さんは試験での加点などという処置も知らされずに受験し、そして加点されない点数であっても合格するだけの点数を実力で獲得していました。
東京地検特捜部は令状もないままに関係者宅に押しかけて取り調べ、「特捜部の意向に沿う証言をしないと有罪にする」と恫喝して自身のシナリオに沿う証言をさせ、関係者の自白のみを自身のシナリオに沿ってつぎはぎして立件しています。
「検察が狙えば証拠など、どうとでもでっちあげて有罪にできてしまう」という事実に日本は本当に法治国家なのか、と疑いを感じてしまいます。佐野氏の息子さんは自力で合格しているのにも関わらず、本件の報道後にネット上で「裏口入学者は出ていけ」、「一家心中しろ」等々のバッシングを受けながらも現在も大学で医者を目指して努力を続けています。
本件で佐野氏の有罪が確定した日、息子さんに冤罪を晴らすことができなかったことを詫びた父に対して「お父さんが無実だということは僕が一番よく知っている」と答えた息子さん。この親子を含め本件で有罪となった関係者の冤罪が晴らされる日が一日でも早く訪れることを祈らずにはいられません。