最近この本の中にも出てきた「繊細ヤクザ」の存在が目に付き気になるようになりました。
HSPを特別なものだと礼賛するかのような取り上げ方のものを目にすることが多かった中で、この挑戦的なタイトルが衝撃的で引かれて手に取りました。
岩波ブックレットを手に取るのは初めてなのですが、こんな本があるんですね。
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期待していたけれど期待以上に良かったです。
冷静沈着に現状のHSPブームを捉えて学術的な視点から指摘しているのがとてもよかったです。
先述した「繊細ヤクザ」のワードや、自分としても懐疑的であった木下優樹菜さんの脳波の検査でADHDと診断を受けたといったような世の中の出来事を取り上げているところが好感持てました。HSPに関する広い情報に耳を澄ませているからこそだろうな、と。
現代の人の中には、怠ける理由が欲しい人が一定数いるように思えます。
大義名分にしてしまう。
ある考えや、立ち位置が認められるにいたるまで苦労した人たちの真意とは違う、自分を甘やかすための。
結婚しなくても良い、というのも選択としてあるべきだし社会全体で強制する空気を出したり、結婚していないと欠陥人間とみなすなどは看過できないので結婚しない選択も歓迎される世の中というのは好ましく思います。
でも、自立せず、自分の成長とつながる他者とのつながりから逃げ、ルッキズム批判を盾にして不潔な見た目のまま…でも偉そうに結婚しないのも自由だから、というのはどこか違う気がしています。
HSPも、嫌なことから逃げる正当な理由が欲しくて、それによりかかるために利用しているように思える人がいます。
「良くも悪くも影響を受ける」ということは知りませんでした。
ポジティブな面も広く認知されるといいな。
怠ける理由とかうまくいかないことの盾にするためそういった性質を利用している人は、お金稼ぎのエセ医学やアクセス数稼ぎの情報の信頼性の低いメディアに利用されているだけかもしれないなと思いました。利用のループ。
バーナム効果も興味深いです。
遊びとわかっていて楽しむ程度は良いと思いますが簡単にアクセスできる占いの内容を信じすぎるのは不思議です(本当に力のある人というのは世界に存在するとは思うので完全に否定はできないです)。
個人的には厄年というのも疑問です。人間長く生きていれば、体にガタが来たり何かしらの大きな出来事があるのにおおざっぱに厄年だから、とするのは問題から逃げていないか、と思えてしまいます。
自分でできる限りの努力、体調不良があるなら食事改善、運動するなど行動できるのに厄払いしてないからだ!と言っていた人を見たときはえぇ…となってしまいました。
人事を尽くして天命を待つ、
人の力でできる努力はしようよ、と何事にも思います。