ユーザーレビュー 学術出版の来た道 有田正規 最近、エルゼビア等が刊行する専門誌の掲載料がバカ高いとネットで話題になっている。知人にも自然科学系の研究者がいるが、数十万円の金が飛んでいくのはざららしく、よく愚痴をこぼしている。学術の世界は業績があってナンボであるので、高いインパクトファクターのついた国際誌に掲載するためにはやむを得ない先行投資と...続きを読むされてきた。しかし、ここに来て、それが正しい形なのか、疑義が出ているのである。 本書は学術出版の成り立ちからピアレビューの意義まで丁寧に解説してあり、とても興味深く読んだ。著者は出版者が営利を追求するのは自然なこととしつつ、そこに何かいびつなものがないか、問いかけてくるのである。投稿論文を書いたことがなかったとしても、世界の科学のあり方が見えてきて、非常に面白いのである。 ただ、これは医学や化学、物理学などの自然科学系、それもPubMedに掲載されるような一握りの国際誌の話だろうと思う。国内の専門誌は、商業誌であっても掲載料など請求しないものがほとんどだろう。そこを区別しないで学術誌はすべて無料公開しろというのは、学術出版そのものの崩壊を招く。本書はもちろん、そんな主張はしていない。 本書はまた、学術出版の形態の変化も追っている。その一つが掲載料を抑えたWeb版での論文無料公開である。この形態がどうなるのか、それはまだこれからである。科学の智慧をいかに共有して、次代につなげるかはとても大切なことだと思う。本書で学術出版を知り、また研究者がどのような世界にいるのかを知れた。 Posted by ブクログ 学術出版の来た道 有田正規 学術出版の歴史がコンパクトにまとまっている。文体もよく、読みやすい。 最近の動向を追いきれていなかったので、その部分に大いに示唆を受けた。 Posted by ブクログ 学術出版の来た道 有田正規 学術出版の歴史や課題がわかった。学術出版で編集者といえば、出版社の人でなく著者側を指すことが多いなど、同じ出版でも大きく違う。 一般的な出版との違いを知りたいニーズだけでなく、論文を書く多くの人におすすめできる。 Posted by ブクログ 学術出版の来た道 有田正規 学術出版全体の歴史や、現在の課題などについて概観して分かりやすく解説している本。 「アインシュタインはピア・レビューが嫌い?」みたいな項目もあり、興味をそそられた。 Posted by ブクログ 学術出版の来た道 有田正規 主題は学術出版の大手のシュプリンガーやエグゼルビアが、どのように経営されていて、どのような利益体系を維持するために、様々な方略を用いているか、ということである。 オープンアクセスもそれに取り込まれているがそれは著作権と同様な動きである。 院生にとっては、学術雑誌への投稿がどのようになされているか...続きを読む、について知ることができる。学術雑誌に投稿することがない学部生の卒論ではあまり関係がないであろう。 Posted by ブクログ 有田正規のレビューをもっと見る