福森伸の作品一覧
「福森伸」の「ありのままがあるところ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
「福森伸」の「ありのままがあるところ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
鹿児島にある複合型の福祉施設、「しょうぶ学園」。その施設長である福森伸氏の、障がいのある人への向き合い方や考え方、歩んできた道のりが語られている。
ノーマル、普通とは何かを常に考えてきた彼は、障がいのある人が本当の意味で暮らしやすい社会が必要だと思い、社会に出て適応していく一般の支援サービスと異なるアプローチ、その場所を社会にしようと築いていった。
彼が言う「それも‘アリ’だね」と、誰もが尊重し合える自由な環境がそこにあり、施設の至る所に福森伸氏の思いが投影されていて、利用者だけでなく職員も個性を出し合えるありのままがあるところ。そこに行き着くまでにはさまざまな困難もあり、何度も何度も考え悩んできた伸氏の視点をわかりやすく読み想像することができた。
伸氏の考えに共感する人が多くいる中、福祉施設、障害福祉のサービスでどこも同じことができるかと言われれば決して簡単にはできない、むしろしょうぶ学園だからこその世界にオンリーワンなシンボルに見える。だが、しょうぶ学園のように、規模が大きくとも、そうでなくとも、その場所がその人たちにとって自由に生きることができる社会になれればそれは本当に素晴らしい。今後の福祉においての、国や一人ひとりの考え・向き合う姿勢が課題であることを改めて感させれられる、一つの巨大な施設であるが大事な一つの大きさに関係のない‘当たり前’を気づく本である。
Posted by ブクログ
障害とは、支援とは何なのか、実に考えさせられる。彼らは自分のことを障害者だと思っていないのに、健常者と比べてできないことを「劣っている」として自分たちの枠に招き入れようとする「支援」は正しいのか。答えは出ないがヒントがたくさん。
p112
アートにまつわる要望の背景には、障がいのある人に「生き生きとしてほしい」とか「アートの商品化で成功したら就労につながる」という考えがあるのだろう。いずれにしてもアートを活用すれば、精神的にも経済的にも自立につながるという期待がありそうだ。
そのような時流があるからこそ、自立の取り扱いには十分に注意したほうがいいのは間違いない。とかく障がいの自立に関して議論されても、「彼らはもともと自立している」ことが見おとされている。彼らの中には自分はこれでいいと最初から思っている人が多いからだ。
むしろ、自立できていないのは「自分はまともだ」と思っている私たちの方だ。自分に何かしら不満を持っていて自信がない。その中身はと言えば、過剰な情報によってすぐに他人から影響を受け、感化されてしまい、たやすくぶれる。
p147
死を理解しない。字が読めない。意思表明が困難な人々。世の中を生きていく上では不自由なことが多いはずでありながら、彼らはどうしてあんなにも豊かな表情を見せ、自信ありげな顔をしているのか。
私たちは色んなことをすぐに調べられ、情報を手に入れられる。知恵を働かせ、より多くを望み、いろいろなことを達成できる。なのになぜか自身が持てないし、全然自由ではない。むしろ生きづらさを抱えている人は増えている。自由になればなろうとするほど、自由のもたらす弊害を抱えるようになっている。それが私たちの姿なのだとすれば、いったいどちらが障がいを持っているのだろうか。
p178
社会は結局は人の集まりだから、お互いの多様性を認め、理解し、自由な発想と思考が尊重されなければならない。「こうならねばならぬ」という個人の価値や概念、考えは自分自身には向けても他人へは向けてはならないと思う。
p190
病んでいる人は病んでいるだけのこと。障がいを持っている人は、障がいを持っているだけだ。そこに人間としての優劣はない。ケアされる人は、「必要なケアを受ける権利」があるのだ。与えるのではなく隔たりを設けない。こうした感性が養われると、ケアは「その人が感じている障がい」に対してのみ行うのであって、決してその人間をケアによってコントロールするのではないことが理解できる。
Posted by ブクログ
小さい頃から、何かをつくることが好きでした。絵を描いて物語にしたり、布で服やバックを作ったり…手を動かして何かを生み出すことだけに集中する時間は生きていることを実感できる、かけがえのない時間だったように思います。
だけど、働くようになって、自由な時間が希少なものとなった現在は、ただものをつくることに意味を求める様になっていたと気がつきました。
この本では、しょうぶ学園の方の創作に向き合う姿勢や作品が紹介されています。
自己の衝動のまま手を動かし、生きているこの瞬間を結晶化したものたちはただそれだけで尊いと感じました。
「こうあるべき」と障がいを持つ方の幸せを定義してしまう思考の狭さ、危うさに気付かされ、違う角度からものごとを見る視点をもらった様な、貴重な読書体験ができました。