海に行けば普通にいるが、印象が薄く、生物かどうかも素人には分からないが、実は生態系の重要な役割を担っているというカイメン女性研究者による本。
英語名もspongeで、台所にあるアレと同じ。というか、カイメンが先でそれを模して台所のアレは作られたそうです。
岩波ブックライブラリーらしく、分かりやすく写
...続きを読む真も多く、カイメンに興味がない人も、きっとへぇ~そうなんや、と思えるはずです。
13ページの偕老同穴(カイロウドウケツ)の写真に、バイオミメティクス的な意味で少し仕事でもつかえるのでは、と思ってしまった。驚いたのは、ドイツのマックスプランク研究所から発表さえれた”1万年以上生きたカイメンがいる”というもの。数百年の寿命の生物がいるのはなんとなく聞いたことがあるものの、諺の亀は万年を本当にいるとは知りませんでした。
また、海の食物連鎖は、炭素・窒素等→植物プランクトンの光合成→動物プランクトン→小さい魚→大きい魚、というものだと小学生依頼思ってましたが、、それに加えて”溶存態有機物→細菌等の微生物→原生動物”という「微生物ループ」というものがあるそうな。そしてさらにサンゴ礁では、海藻・サンゴ→溶存態有機物→カイメン→粒状有機物→海底の有機物を食べる底生生物または海藻・サンゴという”カイメンループ”というものがあり、実は目立たない存在のカイメンが、海の生態系の黒幕的な役割を果たしていた!表紙の帯の文言の説明を読んだときには、へぇ~へぇ~となりました。ロシアのバイカル湖の透明度もカイメンの役割が大きい等、カイメンの人知れない働きに、少しだけ感動。
著者としては、本書が単独執筆として初であるとのことで、次著に期待しつつ閉じました。