「わたしは九歳でゴリラに引き取られました。自分で頼んだわけじゃないけど、そうなったのです。九月のある日のことでした。」で始まる2005年にスエーデンで出版2021年に翻訳本として出版された物語。
表紙はオレンジの地に、花柄のシャツを着たらゴリラと三つ編みの金髪の小さな女の子の絵で、とても可愛らしい
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孤児院では皆んなで掃除をしている。養子する人をひとり見つけにお客様が来ることになっているからだ。そんな中わたし.ヨンナは、ヤード(孤児院であるヨモギギク園の園長)先生に手を洗わない事を叱られていた。私は手を洗うって事を覚えられないのだ。
養子を貰いにやってきたのはゴリラのゴリランで、選ばれたのはヨナンだった。ヨナンはボロいボルボ(車の後ろのシートはゴミだらけでした)に乗ってゴリランの住居兼仕事場の古い工場地帯やってくる。アーロン(孤児院の仲間)にゴリラは食べるために養子を貰うのかもと吹き込まれたヨナンは、最初はビクビクしていたが、ゴリランの優しさを知り、ゴリランの商売(ゴリランの裏庭に捨てられたゴミを売る)を手伝いながら楽しく暮らし始める。
しかし、そこにゴリランの土地にプールを作りたいトードがやってきて、2人の生活を壊そうとする。
よく読むとあちらこちらに、伏線がはられていた事が分かる。全部読んでからそう言えばと前を見直してみるのが楽しい。ゴリランもヨナンも優等生ではない。どちらかと言うと変なのだけど、人としてまっすぐで愛おしくなる。
危機もあるし冒険も謎解きもあるけど、全体としてはなんだかのほほんとした可愛らしい話で、読後も気持ち良い。