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  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究
    値引きあり
    4.3
    1巻847円 (税込)
    「平家物語史観」を乗りこえ 内乱が生んだ異形の権力 鎌倉幕府の成立にせまる 屍を乗り越え進む坂東武者と文弱の平家公達――。我々がイメージする源平の角逐は、どこまで真実だったのか? 「平家物語史観」に基づく通説に対し、テクストの精緻な読みと実証的な探究によって、鋭く修正をせまる。さらに、源平合戦の実像や中世民衆の動向、内乱の歴史的所産としての鎌倉幕府の成立過程までを鮮やかに解明した、中世史研究の名品。 現在でも、武士を暴力団にたとえ、その武力を超歴史的に批判するような見解は目についても、肝心の武士が「戦士」として行動する「戦争」や「武力」の在りかたについては、まだまだ未解明な部分が多い。……「源平合戦」にロマンを感じておられた方は、少々失望されることになるかもしれないが、本書としてはできるだけ現実的・冷静に、治承・寿永内乱期の戦争の実態を復元し、そのうえで、たんに戦乱の被害者にとどまらない中世民衆の動向や、内乱の歴史的所産としての鎌倉幕府の成立を、検討していきたいと考えている。――<本書「はじめに」より>

ユーザーレビュー

  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究

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    源氏が平氏に勝ち,朝廷とは別の統治体制を敷けた理由を戦闘方法や戦争行為の動機のリアルな分析から推測していて,読んでてワクワクしました。NHK「鎌倉殿の13人」も終盤になってきましたが,最初から見直すと違った見方ができて楽しそう。先に大河ドラマや新日本出版社/上杉和彦『源頼朝と鎌倉幕府』を読んでて,大枠の歴史の流れが頭に入った上で読んだので,細かい分析がちょうどよかったです。

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    2022年10月30日
  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究

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    1996年刊行の原本を一部改定した文庫版。源平合戦の実像や鎌倉幕府の成立過程を、戦闘の実態や民衆の動向などを明らかにしながら再構築する内容。現在にいたる研究状況を理解するためにも読むべき内容と思えた。

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    2022年01月13日
  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究

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    武士は弓馬の道の専門として王権に奉仕する家業として生まれた。馳射を競う武士の合戦は承平・天慶の内乱の質の劣る兵士の大量動員で変質した。乱後の鎌倉幕府は御家人に殊更、武士の表芸として弓馬の道を奨励する。また源頼朝は特別に貴種性が高かった訳ではなく、その確立の為、奥州征伐に全国から御家人のみの大動員を行い、前九年の役の鎮守府将軍源頼義の故事を再現した。それによって東国武士団と河内源氏嫡流が昔から強固な主従関係で結ばれていたという幻想を共有させた。征夷大将軍任官はその仕上げとして鎮守府将軍の延長にあってそれを超える権威として必要だった。

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    2012年09月17日
  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究

    Posted by ブクログ

    知的好奇心が満足される本です。
    「ああそうだったの」ということの連続です。
    歴史は「生きるか死ぬか」の選択を迫られた人々の足跡だということが改めて分かります。
    教科書的な「社会はこの方向に進むのが正しいので、彼らは全体としてこのように行動した」という説明では納得できない人にお勧めです。

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    2011年10月26日
  • 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究

    Posted by ブクログ

    平家の滅亡を自明と見做す「平家物語史観」を相対化させ、治承・寿永の乱の本質を捉えた一冊。

    ステレオタイプな源氏、平家、武士に対する印象を変えてくれる名著。

    第6章は白眉である。頼朝の奥州合戦は義経の追討や、藤原氏の軍事的影響力を排する目的で行われたのではなく、自身が五代先祖の頼義の後継者であることを全国の御家人に示す政治的な意図で行われたという説明には衝撃を受けた。先祖以来の故実を重んじる武士に違わず、頼朝もまた、頼義を先祖として敬い、自身の権力の源泉としたのである。

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    2025年07月13日

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