上流思考
「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法
著:ダン・ヒース
訳:櫻井 祐子
出版社:ダイヤモンド社
目先の些細なそして多量発生している下流の問題より、根本的で根源的な上流の問題をつぶせ、が本書のテーマです
根源的な問題は、予兆はあるも、えてして見逃されてしまう
そして、大きな問題ではないので、予算もつかない
ほったらかしにして流してしまっていると、やがて、下流で手がつかないくらいの多量でやっかいな問題になっている
というのです。
前半は、なぜ、上流の問題は見過ごされるのかです。
①問題盲
結果は避けられない、自分にはどうすることができない
そういうものだから、誰も疑問を持たなかった
⇒ 設計が間違っているから、結果も間違う:しょせん設計通りなので、設計を見直さなければ解決できない
問題は常態化すると見えなくなる
見て見ぬふり。誰かが問題と見なすと、解決しなければならなくなるから
⇒ 問題を生み出したのは、自分じゃない。だけど、それを解決するのは、自分だ
②当事者意識の欠如
問題を解決できる立場のある人が、それを解決するのは自分ではないと思ってしまうこと
⇒ 自分には、何ができるのだろう、と考える
⇒ 問題を自分のものとして、とらえ直す
誰かが率先しなければ、誰もやらないだろう、それは分かっていた
⇒ だったら、われわれがやればいいじゃないか
⇒ 新しい使命に燃えた。不思議なことに、どんなに障害があってもそれを乗り越えようとする方法が必ず見つかった
この問題を解決できる人はいないのかではない
⇒ 自分はこの問題を解決できるだろうか
⇒ その状況を招いた全責任が自分にあるように説明してください
③トンネリング
人は目の前の問題に反応してしまう
⇒ 身近にある小さい大量の問題を排して、上流の問題を解決するための、構造的なゆとり、をもつ
⇒ トンネルを抜けようとするのではなく、トンネリングによる極端までの集中を問題解決に利用する
後半は問題解決するために、重要な7つの質問をする、です。
①「しかるべき人たち」をまとめるには
⇒ 一つ一つ詳細に調べ上げる
⇒ データを中心にする
状況を改善する3つの変更
1)戦略の変更
2)協力体制の変更
3)データの変更
② 「システム」を変えるには
壊れたシステムをつくりかえるには
個人ではなくシステム全体を見直す
設計の誤りを隅々まで考え直す
③「テコの支点」はどこにある?
問題の焦点をさがせ
問題に寄り添い、じっくり調べ、親身になって考える
現場、担当者と実際に接し、親身にならないかぎり、問題はわからない
④問題の「早期警報」を得るには
警報の価値は、その問題がどれだけ重大かに依ってきまる
パターンから問題を予測する
兆候を見つける訓練をする、ほとんどのケースで早期警報が見逃されていた
⑤「成否」を正しく測るには?
声の大きいものばかりを聞いていないか
めざす目標を設定する
人は困難な問題にぶつかると、かわりに簡単な問題に答えようとする
⑥「害」をおよぼさないためには?
システム全体を俯瞰する
よきしない問題(コブラ)が発生する場合がある
迅速で信頼性の高いフィードバックを心がける
前提:どんな計画も必ず間違う
改善を強いるシステムを構築する
学習をつづける:ごまかしや固まったりせずに前に進む
⑦誰が「起こっていないこと」のためにお金を払うか?
うまくいくほど、冷遇される
身近な問題を上流で解決する
予防活動をさらに促すためには、費用負担の方式を必要に応じて切り替える
CONTENTS
CHAPTER 1 上流に向かえ―根本から解決する「新しい思考法」
SECTION1 「上流思考」を阻む3つの障害
CHAPTER 2 問題盲―「そういうものだ」と思ってしまう
CHAPTER 3 当事者意識の欠如―自分で解決できるのに気づかない
CHAPTER 4 トンネリング―「目の前の問題」しか見えなくなる
SECTION2 「上流リーダー」になれる7つの質問
CHAPTER 5「しかるべき人たち」をまとめるには?―多様なメンバーで問題を「包囲」する
CHAPTER 6「システム」を変えるには?―目の前の「水」に目を向ける
CHAPTER 7「テコの支点」はどこにある?―問題に寄り添う
CHAPTER 8 問題の「早期警報」を得るには?―価値の大きい警報を見抜く
CHAPTER 9「成否」を正しく測るには?―「幻の勝利」に気づく
CHAPTER10「害」をおよぼさないためには?―「フィードバックループ」で改善する
CHAPTER11 誰が「起こっていないこと」のためにお金を払うか?―「払った人が得をする」仕組みをつくる
SECTION3 さらに上流へ
CHAPTER12 予言者のジレンマ―「いまそこにない危機」に対処する
CHAPTER13 あなたも上流へ―一個人として上流活動をする
注 社会貢献プログラムを拡大する試みについて
謝辞
本書のサマリー
訳者あとがき
原注URL
ISBN:9784478108772
判型:4-6
ページ数:376ページ
定価:1800円(本体)
2021年12月14日第1刷発行