作品一覧

  • 宗教と過激思想 現代の信仰と社会に何が起きているか
    3.8
    近年、危険とみなされる宗教に対して、「異端」にかわり、「過激」という表現がよく使われる。しかし、その内実は知られていない。本書は、イスラム、キリスト教、仏教、ユダヤ教、ヒンドゥー教、神道などから、過激とされた宗教思想をとりあげ、わかりやすく解説。サイイド・クトゥブ、マルコムX、ジョン・ブラウン、井上日召、メイル・カハネらの思想を分析し、通底する「過激」の本質を明らかにする。
  • 日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの
    4.3
    1巻1,705円 (税込)
    「日本人は無宗教だ」とする言説は明治初期から、しかもreligionの訳語としての「宗教」という言葉が定着する前から存在していた。「日本人は無宗教だから、大切な○○が欠けている」という“欠落説”が主だったのが、1960年代になると「日本人は実は無宗教ではない」「無宗教だと思っていたものは“日本教”のことだった」「自然と共生する独自の宗教伝統があるのだ」との説が拡大。言説分析の手法により、宗教をめぐる日本人のアイデンティティ意識の変遷を解明する、裏側から見た近現代宗教史。 【目次】はじめに 藤原聖子/第一章 無宗教だと文明化に影響?――幕末~明治期 木村悠之介/第二章 無宗教だと国力低下?――大正~昭和初期 坪井俊樹/第三章 無宗教だと残虐に?――終戦直後~1950年代 藤原聖子/第四章 実は無宗教ではない?――1960~70年代 木村悠之介/第五章 「無宗教じゃないなら何?」から「私、宗教には関係ありません」に――1980~90年代 和田理恵/第六章 「無宗教の方が平和」から「無宗教川柳」まで――2000~2020年 稲村めぐみ/おわりに 藤原聖子
  • 悪魔崇拝とは何か 古代から現代まで
    -
    1巻9,900円 (税込)
    2024年11月の情報TV番組(『ワイド!スクランブル』)で、チリの「悪魔の神殿」が取り上げられた。伝統的なカトリック教会(特に聖職者による子どもへの性的虐待)への不信が高まり、悪魔崇拝者が急増しているという内容だった。ただしこの教団では、実際に悪魔を崇拝しているわけではなく、「個人主義の象徴を悪魔としているにすぎない」と説明されていた。さらに、これはチリに限ったことではなく、2019年にはアメリカで「悪魔の神殿」が宗教団体として認定され、人工妊娠中絶を肯定していることから、中絶禁止に反対する人や性的少数者など、信者数は70万人以上に上ると番組は付け加えた。  この報道を観た人には、興味深いが、どういうことなのかさっぱりわからないと思う人が多かったのではないか。最近、悪魔崇拝の語がニュースに流れたもう一つの文脈はQアノンである。Qアノン陰謀論は、世界を牛耳る「ディープステート」は児童売春組織を運営する悪魔崇拝者だとしていた。つまり、子どもを性的に虐待するのは悪魔崇拝者だというイメージもアメリカに存在しているのである。このように報道は錯綜し、悪魔崇拝をいっそう謎めいたものにしている。  そのような謎を一気に解明してくれるのが本書である。なぜ「悪魔の神殿」は悪魔の実在を信じないというのに悪魔崇拝者を名乗るのか。なぜ悪魔は個人主義の象徴になったのか。なぜ悪魔崇拝は政治的にリベラルというイメージと恐ろしい秘密結社というイメージをともに引き起こすようになったのか。これらの疑問に対する答えはすべて本書の中にある。――監修者・藤原聖子 目 次 日本の読者のための序 1章◉キリスト教による悪魔崇拝の発明 間奏1◉18世紀――サタン死す? 2章◉ロマン主義におけるサタンの復権 間奏2◉ボードレール――サタンへの連祷 3章◉19世紀の対抗文化におけるサタン 4章◉ユイスマンスとその仲間たち 5章◉サタンのシナゴーグの正体 6章◉サタンのシナゴーグの正体――続・結 間奏3◉19世紀の宗教的悪魔崇拝――事実かフィクションか? 7章◉20世紀への道のり 8章◉悪魔崇拝教会の始まりと苦難 間奏4◉若者と悪魔崇拝――ヘビメタとネットのサタニズム 結 論 解 説 訳者あとがき

ユーザーレビュー

  • 日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの

    Posted by ブクログ

    この本の素晴らしい所は、いままでの無宗教研究をまとめ、
    また明治-現代まで無宗教がどう語られてきたのか、その資料をまとめている点です。

    1.いままでの無宗教研究まとめ
    阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』と礫川全次『日本人は本当に無宗教なのか』が
    冒頭文で紹介され、こうした先行研究を踏まえていることが伺えます。
    実際本文でも前掲書の理論の簡単に紹介した後、その論理を歴史上の事実から難しいと指摘、
    その上で、より現実的な論理として「無宗教だから悪い」という欠落説、
    「無宗教だから良い」という充足説、「無宗教は日本固有の宗教」という独自宗教説という
    3つの分類で無宗教に切り込んでいきます。

    2

    0
    2023年06月05日
  • 日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの

    Posted by ブクログ

    明治時代からあった日本人は無宗教という説を、いろんなパターンに分けて系譜を追っていく形式。すごく丁寧で分かりやすい! 宗教的行事に参加する前に自分のスタンスを見つめ直すのに読んでも良いかも。

    『「戦前」の正体』一緒に読むのもおすすめ。戦前に国家神道がどう整理されたのかと合わせて、“日本人は無宗教”と言ってきた人がいるのかと考えると楽しい。

    0
    2025年05月04日
  • 日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの

    Posted by ブクログ

    この著者が本当に言いたい事は何か?
    それは、日本に西洋からなる宗教に対する概念を日本に適応させてしまっがために不適合を起こしてしまった。だから、宗教と無宗教の区分けをしている基準は何かそれを問い直し、日本独自の宗教に対する解釈を与えなければならない。これが、この著者が言いたいことである。
    多神教は、信仰はなく実践のみである。また、国教のものではなく、個人的なものである。だから、日本的宗教と言う概念を考えるならば、神道、仏教、などの日本古来の文化を大切にし、それを日本独自の宗教として価値あるものとすべきである。

    0
    2024年03月04日
  • 宗教と過激思想 現代の信仰と社会に何が起きているか

    Posted by ブクログ

    宗教において安易に混同してしまいそうな「過激主義」「過激派」「原理主義」「異端」をイスラム教のみならずキリスト教、日本神道、ヒンドゥー教や仏教等を事例に詳しく解説している。

    ―多くの人が「一理はある」と認めている思想を突き詰め、いさぎよく振り子を一方向に振り切ったもの、それが過激思想なのだ。(終章 宗教的過激思想とは何か【227㌻】)

    それを踏まえて言うならば、現代の日本社会には無宗教であるが故の過激思想が芽吹いている、否、既に蔓延し始めているとも言えるのか。

    0
    2024年01月17日
  • 日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの

    Posted by ブクログ

    一般的に日本人は無宗教であると考えられています。しかし、一方で初詣には神社に行き、大晦日には除夜の鐘を聞き、キリストの生誕祭であるクリスマスを祝う日本は多様な宗教の国であるようにも思われます。
    実は、こうした「日本人は宗教がない」という言説は幕末に来日した外国人以降、長らく多くの言論人によって語られ続けてきました。
    本書ではこうした日本人は無宗教であるという言説を中心に、近現代の日本人がどのように宗教と向き合ってきたのかを考察しています。

    【こんな人におすすめ】
    日本人の宗教観の歴史に興味がある

    0
    2023年11月22日

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