藤原聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本の素晴らしい所は、いままでの無宗教研究をまとめ、
また明治-現代まで無宗教がどう語られてきたのか、その資料をまとめている点です。
1.いままでの無宗教研究まとめ
阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』と礫川全次『日本人は本当に無宗教なのか』が
冒頭文で紹介され、こうした先行研究を踏まえていることが伺えます。
実際本文でも前掲書の理論の簡単に紹介した後、その論理を歴史上の事実から難しいと指摘、
その上で、より現実的な論理として「無宗教だから悪い」という欠落説、
「無宗教だから良い」という充足説、「無宗教は日本固有の宗教」という独自宗教説という
3つの分類で無宗教に切り込んでいきます。
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Posted by ブクログ
世間で「過激思想」と呼ばれているものの「正体」をつかまえようという本。イスラム過激派だけでなく(ここで最初にイスラムが出てくるのが既に偏見だが)、世界宗教のキリスト教、仏教、民族宗教からはヒンドゥー、ユダヤ、神道を取り上げ、「過激思想」と呼ばれるものの共通の特徴を探る。また「異端」や「悪魔崇拝(サタニズム)」にも触れる。
まず、イスラムとキリスト教の対比で、イスラムの過激思想は、抑圧されるものによる反体制運動で、政治的には左、宗教的には保守回帰のため右に位置する。それに対してキリスト教過激思想としてよく名指しされる「プロテスタント保守派(福音派)」は、政治的にも宗教的にも右に位置する。人工妊 -
Posted by ブクログ
近年、イスラム教過激派やアメリカの福音派など様々な宗教的過激思想がニュースを賑わせている。ニュースで断片的に触れているだけでは「理解の及ばない変な人たち」と片付けられがちな過激思想・派について、体系的に整理している。本書では各宗教の過激派とされる代表的な人物をピックアップし、1人1人概観する。最後にそれらの思想の共通点を抜き出し、過激思想とは何なのかについて迫る。この本を読めばニュースに出てくる過激派とされる人々を「理解できない」と突き離さず、その社会的な背景についてしっかりと理解して冷静に見ることができる。臭い物に蓋をする思考では問題は解決しない。過激思想が広がる今日、その問題への解決への第
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Posted by ブクログ
結論を先に言うと面白い新書でした。
タリバンがアフガニスタン全土を制圧し、イスラム教を巡る「過激思想」という言葉がメディアで見られるようになってきました。ただ、どのメディアもその内実については触れていません。「過激思想」をおさらいするにはいいタイミングと思い、本書を購入しました。
「はじめに」の中で「本書の目的は(中略)宗教に関して使われる『過激』という語の内実や『過激思想』の特徴を解明する」ことであるとし、「実際に起きたテロ事件などの行為の分析ではなく、思想の解読」が本書の中心になっています。
本書はイスラム教、キリスト教、仏教、ユダヤ教、ヒンドゥー教、神道などから、過激とされた宗教思想