150年といえば、今年は日本に鉄道が新橋〜横浜間に開通してから150年のメモリアルイヤーだ。
「自分磨き」が昔から好きな日本人。
明治から現代に至る自分磨きをテーマにして書いた本は珍しい。
明治の初めからキリスト教、仏教などの宗教が自己啓発に大きな役割を果たしていた。
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今でも、自己啓発というと「宗教臭」がすると思う人がいるのは、今に至る過程で宗教の果たした役割が大きいからなのか。
掃除やミスタードーナツで有名なダスキンは、宗教的な要素を取り入れていると知って驚いた。
ダスキン社内の勉強会や会議必ず全員で「経営理念」「般若心経」を唱和する。
そして、給与を「お下がり」、ボーナス「供養」と呼んでいる。
最終章では、オンラインサロンを取り上げている。その理由は、人材育成に会社が主導するよりも、個人で主体的に行うようになる傾向にある。
2021年の時点で、30以上の企業がオンラインサロンに参入している。
市場規模は、2019年に47億円、20年に74億円、2025年には183億円になると見込まれている。
著者は「満たされない気持ちを抱えて、心の隙間埋めるように、人は自分を磨き高めるための方法を探し求め、それを提供してくれる存在にすがりつくのだろう」と指摘している。
そうなると、「笑うセールスマン」の喪黒福造が「あなたの心の隙間をお埋めします」と近づいてくると、ついすがりついて最後には痛い思いをすることになる。
「自分磨き」はこれからも終わることがなさそうだな。
中国で話題になっている自分磨きしても意味ないから何もしないという「寝そべり族」の発想が世界に拡散しない限り。