作品一覧

  • 闇の奥(新潮文庫)
    3.7
    1巻605円 (税込)
    19世紀末。アフリカ大陸の中央部に派遣された船乗りマーロウは、奥地出張所にいるという象牙貿易で業績を上げた社員、クルツの噂を聞く。鬱蒼たる大密林を横目に河を遡航するマーロウの蒸気船は、原住民の襲撃に見舞われながらも最奥に辿り着く。そこで目にしたクルツの信じがたい姿とは――。著者の実体験をもとにし、大自然の魔性と植民地主義の闇を凝視した、世界文学史に異彩を放つ傑作。
  • ロード・ジム(上)
    -
    1~2巻880円 (税込)
    コンラッドはこの作品によって、海洋冒険物語を、名誉と勇気、忠節と裏切りの深い意味をもつ物語に変えた。理想主義肌の商船の一等航海士ジムは、沈没の運命にあった「パトナ号」と船客たち八百人を見捨てることで、若き日の栄光への夢を見捨てた。法廷で「臆病」の烙印を押されたとき、ジムは極東での放浪の暮らしに活を見出そうとする。スマトラのパトサンで原住民から伝説的な名声を得たジムは理想的な統治者としてふるまうが、悪漢ブラウンの出現で…。コンラッドの『闇の奥』と同じ語り手マーロウは、社会に拒否されながら、なお償いへの欲求につかれた男の、不可思議な心のうちに探りをいれていく。ポーランド生まれの英国の作家コンラッドの「密偵」「闇の奥」と並ぶ代表作。
  • ロード・ジム
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    東洋の港で船長番として働く男を暗い過去が追う。流れ着いたスマトラで指導者として崇められるジムは何を見るのか。『闇の奥』のコンラッドが人間の尊厳を描いた海洋冒険小説の最高傑作。

ユーザーレビュー

  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大自然の雄大さと人間の心の闇を世界に曝け出した問題作。

    世は植民地時代、主人公が血生臭い経験をしながら、アフリカ大陸奥地にある貿易会社の拠点に赴くと悍ましい光景が広がっていた。

    おおまかなあらすじはこの小説に辿り着いた読書人なら誰でも知っているかもしれない。
    しかし、その中の一定層は、この手の小説に冷ややかな視線を向けるのではないだろうか。

    「そういう重たい話は現実世界で十分だ」
    「読んでいて疲れるのにはうんざりしている」

    私はこのような気持ちから、発売直後に購入したにも関わらず、約三年もの間積読していた。

    重い腰を上げたキッカケは些細なものだった。なんとなく近代の海外文学を読みたく

    0
    2025年07月31日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    会話らしい会話もなく、ストーリーテリングではなく、1人の体験談として語られる植民地の状況。結局異常正常、常識非常識は絶対的なものがあるわけじゃない。本当に語りかけるような文体だからこそ、怖いし、他人事のようにも聞こうと思えば聞けるし。いやでもやっぱりこわい。異文化がではなく人間が。

    0
    2025年05月04日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大英帝国の繁栄を担う貿易商社員がコンゴの奥地のジャングルで目にしたものは、誰もが目を背けたくなるのような現実だった。19世紀のヨーロッパの植民地主義は、文明的、人間的に劣後した地域をキリスト教的な理想主義のもとに啓蒙するという高邁な使命によって、貿易利益の独占、資源的搾取を覆い隠すような陳腐なショーであった。クルツというヨーロッパ人を象徴として、人間性の闇、文明人が未開人になり、未開人が文明的になるその皮肉を、陰鬱で明快な表現で書き上げている極めて歴史的価値が高い一冊。ヨーロッパの植民地主義を人文的に一考する上で、欠かせない一冊であろう。

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    2024年11月09日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大自然を前に、人間の愚かさを直視したコンラッドでなければ書けない本
    植民地主義時代の価値観がとても丁寧に描かれていたし、マーロウと一緒に冒険している気分にもなれる
    『地獄の黙示録』同様、やっぱりクルツのインパクトは強烈だった

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    2023年02月21日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    予想以上に読み易く面白かった。小説の形を取りながらも著者の実体験に基づくことを註釈が補強し、コンゴの大密林への冒険記としても楽しめる。130年前のリアルな密林や植民地支配の空気感が伝わる素晴らしい本でした。

    0
    2025年11月26日

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