椎野直弥の作品一覧
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小説・文芸
Posted by ブクログ
吃音を抱える当事者として読みました。
吃音者の抱える悩みをとてもよく表している。
悠太くんの「本当に、自分にとって吃音よりつらいことなんてなかった。もし吃音が治るのなら、どんな苦しさや痛みにも耐えられる。どれだけ殴られたって、全身をナイフで切り刻まれたって、毒を飲めと言われたって、その先に普通に声を出せる未来があるのなら僕は受け入れる。むしろ進んでそうしたい。」という言葉。これは本当にその通り、みんなが当たり前に出来ることが自分にはできない。周りから笑われたり、「どうした?」って顔をされる恐怖。当事者として本当に実感できる。
私は幸い、成長とともに症状は和らいでいき、今ではたまに「言い換え」をするくらいでそこまで不自由なく話せる。それでも幼少期に受けた対人関係へのトラウマはやっぱり感じる。
一方で、吃音のおかげで「話す」「説明する」ということをずっと考えてきた。それが、今の教師という道につながっていたりするのかな、とも思う。
吃音は私にとってやっかいな障害だけど、私を形づくる重要な要素なんだなと感じた。
本書が素晴らしいのは、吃音に悩む悠太くんの周辺にとても光が当てられているところ。みんないろいろな悩みを抱えている中で、お互いを思い遣って生きている。悠太くんが周囲の優しさに気づき、成長していく姿がとても頼もしかった。
本書を読む人が増えて、吃音に対する理解が深まると良いな!